はい!現場の大恵です


退院

前回のブログで書いた藤井勘一郎騎手が今日、リハビリ病院を無事、退院したそうです。

埼玉県の病院から実家のある奈良県まで
ご家族は「手伝おうか?」と心配したようですが
「少しでも自立したいという思いから、一人で新幹線に乗って関西に帰ることにしました」と藤井騎手。

その言葉に、ものすごく強い決意を感じました。
前を向いて歩く姿って、本当にかっこいいですね。


ダート路線の整備

今夏、地方競馬全国協会から3歳ダート三冠の整備と、その三競走においてJRA所属馬が出走できる旨が発表されました。

発表時期が6月下旬と、本格的なセリシーズン到来直前とあって
今年のセリではダート血統の馬が高値で取引されるケースも見られ
特にセレクトセールでダート血統馬が例年より高額で落札されたのを見た時には
時代の流れにフィットする早さに驚かされました。

そして先日、3歳ダート三冠の詳細や、古馬も含めた全日本的なダート体系の整備策が発表されました。

ジャパンダートダービーが名称を変更し、秋に移動することはすでに発表されていましたが
ダート三冠に向けた前哨戦の整備
そして、古馬では年間を通したローテーションを組みやすいように
ダートグレード競走の施行時期がいくつか動かされました。

特に、TCK女王盃は施行時期が1月中旬から4月上旬に変わるだけでなく
開催場が大井から園田に変更され、「兵庫女王盃」として歩みます。

また、名古屋グランプリと名古屋大賞典は開催時期が入れ替わる形で
しばらくは頭がこんがらがりそうです。

とはいえ、現状では特定の時期にダートグレード競走が偏るなどしていたため
この改革でダート路線の整備が一歩進んでくれることでしょう。


FUJII CHALLENGE

レース中の落馬事故により脊髄を損傷し、車いすで入院生活を送る藤井勘一郎騎手と先日、久しぶりに電話でお話しました。

もうすぐ退院を迎えられるとのことで
いまは車の手動運転の練習をされているそうです。

アクセルやブレーキを足で踏まなくとも
手でレバーを操作して運転できる車があると知ったのは
昨年、東京パラリンピックが開催されていた時に
NHKに出演された岸田奈美さんを偶然お見かけしてからでした。

エッセイストの岸田さんは
お母さまが病に倒れて車いすユーザーになられたとのこと。

インターネットで岸田さんのことを色々と調べていくうち
彼女が書いたたくさんのエッセイに出会い
下半身に麻痺が残るお母さまが自身で車椅子から車に移乗し
運転席から手を伸ばして車椅子を畳み、
全身と座席のリクライニングを上手く使って後部座席に車椅子を積み込む様子
そして、手動のアクセル・ブレーキ装置を知ることができました。

30年以上生きてきて、初めて知ったことたち。

車椅子の人も生きやすい世の中になればいいな
とはボンヤリ思っていても、本当に何も知らなかったのだな、と反省しました。

そして藤井騎手との電話でも
「きっと岸田奈美さんのお母さんのように、慣れれば上手に運転されるんだろうなあ」
なんて軽く考えていたら、どっこい。

「振り返ることができないので、バック駐車する時はミラーとモニターだけが頼りなんです。
これまでは振り返って直接後方を確認して駐車していたので
この感覚にもっと慣れていく必要があります」と。

あぁぁ。
たしかにそうです。
一切、後ろを振り返らずに駐車してみて、と言われたら怖くてとてもできません。
こんなところにも違いがあったんですね。

ただ、藤井騎手がすごいのは
「少しずつ手動運転にも慣れてきたので
『せっかくなので教習で近くの観光地とかに行ってみたいです』とスタッフの方に伝えたら
『それいいですね。探しておきます』って言ってくださったんです。
楽しみです」
と、置かれた環境を全力で楽しんでらっしゃること。

「こないだ大分で車椅子マラソンの有名な大会があって
世界各国から選手が来ていたんですけど
彼らは極限まで車椅子を軽量化したり空気抵抗を考えて改良しているみたいなんです」

という話も、聞いているだけで新しい世界が広がっていく感覚でした。

藤井騎手はこれまでと変わらず「FUJII CHALLENGE」を体現するようなアクティブな方なんだな、と改めて感じました。

それは、「障害を持った方とどう接していいか分からない」と無意識のうちに恐れていた自分自身への気づきでもありました。
障害を抱えていても、その人の素敵な面は何一つ変わらず、輝き続けています。

このチャレンジの先に、また競馬界に戻ってくる日がくることを願っています。


改めて強さ感じた京都ジャンプS

京都ジャンプステークスを勝ったホッコーメヴィウス。

これまで重賞2勝を果たしたレースぶりから
溜め逃げのタイプではなく、わりと道中は流しながら逃げるタイプなのかな、と感じていました。

ところが、今日は序盤から2番手以下がピタリと来る展開。
それを見て、「あら?今日は溜めて逃げる作戦なのかしら」
と思っていたのですが
レース後のコメントを見ると
「楽に逃げられると思いましたが、外から結構プレッシャーを受けていました。(中略)終始、他の馬がいて、抜けるところがない展開でした」
と黒岩悠騎手。

溜めていたのではなく、単勝1.7倍で他馬からキツいマークを受ける中でも
勝負所から後続を離していっての勝利だったんですね。

今回はわりとレースを間近に控える中での帰厩でしたし
夏からほぼ月イチのペースでの出走。

その中でもしっかり結果を残していて、改めて強さを感じる一戦でした。