はい!現場の大恵です


無観客競馬1日目と記念勝利

今日から当面、無観客競馬となったJRA。

残念ながらファンのみなさまは入場できないものの私は取材があったため
今週から開幕の阪神競馬場に向かっていると、
西宮北口駅などのターミナル駅でも無観客競馬の告知が行われていました。

 

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もちろん、仁川駅の改札を出た専用地下道入口にも。

 

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これらを見て、少し驚いた表情を見せる方もいたため
もしかすると、無観客競馬を知らずに来てしまった可能性もあるのかもしれません。

こちらは3レースの阪神競馬場パドック。

 

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静まり返っています。

馬主のみなさまも原則として出走馬主と同伴者(家族章着用者)に限るようで
今日の馬主席は閑散としていたと聞きます。

パドックや場内には規制線が張られ
必要最低限の区域にしか入れないこと、
またレストランや売店は基本的に閉店。
(検量室裏の業務用食堂などは開いていました)
感染拡大防止の観点からの措置ですね。

しかし、今日は四位洋文騎手引退という区切りの日でもありました。

今日の1鞍目、阪神3レースを早速ハンメルフェストで勝利。

 

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無観客ならではだったのは
四位騎手を慕うジョッキーたちがウイナーズサークルで観戦し
ゴールの瞬間は歓喜の声を上げていました。
中継にその声が入っていて、聞かれた方もいらっしゃるかもしれません。

写真は左から
酒井学騎手
高倉稜騎手
池添謙一騎手
竹之下智昭騎手
長谷川浩大調教師(元騎手)

 

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彼らが喜ぶ姿を見ると
四位騎手がどれだけ慕われていたかが伝わってきます。
そして、最終騎乗となった阪神12レースのヴィント。
こちらも同レースに騎乗のないジョッキーがウイナーズサークルで最後の騎乗を見届けました。

 

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さらに、引き揚げてくると
引退式のために用意された「オリジナルTシャツ」を着て出迎えるジョッキーたち。

 

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引退式の様子や、そこで流された映像などは
JRAの公式HPでご覧いただけます。
(ニュース一覧に2月29日の「開催競馬場・今日の出来事」内にあります)
胴上げでは5回、宙に舞いました。
中継で見逃したという方は、ぜひご覧ください。

 

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そして、栗東組で明日の出走が最後となるのは
作田誠二調教師と山内研二調教師。

阪神メイン・仁川Sでは
かつて作田厩舎所属でデビューした弟子の藤岡佑介騎手とのコンビで
ヒストリーメイカーが勝利しました。

 

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藤岡佑介騎手
「最後にチャンスのある馬を任せていただき
『決めたいところで決められるようになりたいな』と思っていました。
見えない後押しもあった気がしますし、馬が苦しいながらも最後までがんばってくれました」

 
最後に、無観客競馬について藤岡佑騎手のコメントを。

「初めてのことで、最初は戸惑いましたし、
いかに普段、いただいている声援が大きいかを感じました。
無観客はなんだか味気ないですね。
いつも声援がある中での競馬だったので
レース中も自分のムチの音がすごく大きく感じたりしました。
どれだけ恵まれた環境で乗っているのかを感じる機会になりました。
大変な状況ではありますが、1日も早く元に戻れるよう願いながら
今はファンの皆さんの心の中の応援に感謝しています」

明日も競馬は続きます。


無観客競馬 現時点まとめ

本日開催された新型コロナウィルス感染症対策本部の会合で
政府から今後2週間はイベントの中止や延期、規模縮小を要請する方針が表明されました。

それに伴い、夕方には各地方競馬から
「無観客競馬」実施のリリースが続々と出ています。

2月26日19時00分時点で
無観客競馬の実施を発表した競馬場をまとめておきます。

※あくまで参考です。
状況は刻一刻と変わりますから
都度、ご自身で公式情報のご確認をよろしくお願いいたします。

 
【無観客競馬の実施】
●帯広競馬
2月29日(土)から3月8日(日)

●大井競馬
2月27日(木)、28日(金)

●名古屋競馬
2月27日(木)から3月13日(金)

●佐賀競馬
2月27日(木)から当面の間

 

これに伴い、場外発売所の中には
入場ができない所、無観客競馬の馬券購入ができないところもあります。
万が一、行く際には事前のご確認と
なるべくならば電話・インターネット投票の利用が推奨されます。

詳しくは各主催者の公式ホームページをご確認ください。

 

そして気になるのは週末のJRAがどのような形で開催されるのかということ。

すでに指定席ネット予約発売は見合わせられています。

今週は土曜日に四位洋文騎手の引退式が阪神競馬場で予定されていますし
引退される調教師の方々、
そして日曜日には晴れてデビューを迎える新人騎手のみなさんも。

まずはみなさんの健康と安全を第一に、
決められた観戦方法をしっかり守りつつ
自粛ムードで暗くなるのではなく
競馬が開催されるのであれば存分に楽しむことができればと願っています。

人生の節目を迎えられる方々
週末のレースに向けて今朝、追い切りを行い
態勢を整えている馬たちがいますからね。

JRAからの正式発表を待ちましょう。


ケイティブレイブ・長岡禎仁騎手

東京競馬場で行われた今年最初のGⅠ・フェブラリーSを
制覇したのはモズアスコットでした。

 

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2018年の安田記念を制覇した馬が
ダートGⅠも制覇して“二刀流”となりました。

前走・根岸Sを初ダートながら快勝してここへ駒を進めてきましたが
矢作芳人調教師は
「年齢を重ねて多少変わってきた部分があって
以前はスピード勝負で芝のマイルがいいと思っていましたが
最近は体形的にもパワー型になったと自分なりには分析しています」と。

クリストフ・ルメール騎手も
「モズアスコットはダートでまた強い馬になりました」
と笑顔。

「芝・ダート問わず本格的な二刀流として
この馬を育てたい」(矢作調教師)
とのことですから、今後ますます楽しみです。

 
さて、個人的に熱く語りたいのは2着ケイティブレイブ、そして鞍上・長岡禎仁騎手のこと。

最低人気・単勝142.6倍の馬と、GⅠ初騎乗ジョッキーのコンビが
熱い戦いを見せてくれました。

 

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美浦所属でデビューするも
度重なる落馬負傷で戦列を離れ
特に2017年4月の落馬では腎臓破裂で半年近くの休養を余儀なくされた長岡騎手。
これまでの復帰時とは違い
長期の戦線離脱により騎乗馬が手元から離れてしまい
ゼロからのスタートになってしまいました。

「美浦でも支えてくださった方々がいたので
かなり勇気がいりました。
でも、“やらない後悔”よりも“やる後悔”の方がいいと思って」
と、このタイミングで栗東に拠点を移しました。

その頃から調教に乗っていたのがケイティブレイブ。

苦労してきたぶん、手を差し伸べてくれる人たちのありがたみを深く感じていて
「レースで乗らない馬でも、調教で一生懸命乗ることで
少しでも恩返しができるように」
と考えていました。

だから、ケイティブレイブがドバイで開腹手術を乗り越えて
昨年11月、浦和記念で復活V(鞍上:御神本訓史騎手)を遂げた時は
「調教に僕も乗っていたので余計に嬉しかったです。
ちょっとずつ結果を出さないと、恩返しができないと思っているので」
と、ケイティブレイブの活躍を喜んでいました。

 
そんな長岡騎手に突如巡ってきたGⅠ騎乗のチャンス。
関係者への感謝の言葉を何度も繰り返す彼に
先週水曜日、栗東トレセンでこんなことを聞いてみました。

「ケイティブレイブは逃げても差しても勝ったことがありますが
現時点ではどんなレースをイメージしていますか?」

返ってきた答えはこう。

「どちらでも競馬ができるようになりましたよね」

「では、レースのイメージは固定せずに臨みますか?」

「そうですね。まずは馬がやる気を出せる、走りたいと思えるような競馬をしたいと思っています」

 

今日は好スタートを決めたケイティブレイブと長岡騎手。
差しても勝っているとはいえ、逃げ・先行で圧倒的に結果を残してきた同馬ですが
パトロールビデオを見ると
スッと控えてすぐに内に切り込んでいこうとしていました。

戦前、オーナーや調教師との作戦もあったでしょうし
すでにこの時点で、馬のリズムで脚を溜めて乗ろうとしていたことが窺えます。

控えつつもリズムよく道中を運び、直線で外に持ち出した時には
「勝てるんじゃないかって思う手応えでした」
と、外から脚を伸ばしました。

残念ながら2馬身半、モズアスコットには届かず
「勝ちたかったです」
と顔をクシャクシャにして悔しがる表情も見せました。

一方で、出迎えた瀧本オーナー一団は
「よくやった!
2着だけど、勝ったも同然ですよ」
と笑顔で引き揚げてきたケイティブレイブと長岡騎手を出迎えました。

 

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「(ケイティ)ブレイブがやる気を出してくれたのが結果につながりました。
最近はしまいに頑張れていないイメージだったので
手応えを残して直線に向かうイメージでした」
と長岡騎手。

 
レースを終えて一段落して、改めてGⅠ初騎乗をこう振り返りました。

 

「緊張はなくて、冷静に乗れました。
調教にずっと乗せていただいていたので、馬を信じるだけでした。
瀧本オーナーと杉山先生が
『思い切って乗っていいよ』とおっしゃってくださったことも大きいです。
レースで初めて跨ったブレイブは気合いが入っていて
調教とは違う背中の感じでした」

 
勝負師にとって2着は悔しいことでしょう。
しかし、GⅠ初騎乗で注目を集めた一戦。
そこで前評価以上の結果を残したことで大きな爪痕を残すことができました。

「同期で一番最後のGⅠ初騎乗なんです」

トレセンでの取材の最後
ポツリとそう呟いていましたが
誰よりも輝いたGⅠ初騎乗だったのではないでしょうか。


ダイヤモンドS

今週土曜日は長距離重賞・ダイヤモンドS。

3400mのハンデ戦は展開などを考えるだけでワクワクします。

55kgで出走予定はメイショウテンゲン。
昨年は弥生賞を勝って、クラシック三冠すべてに出走しました。

お母さんのメイショウベルーガがそうだったように
エンジンがじっくりかかるタイプの馬。

「東京は直線が長いですし
じっくり乗って行けたらって思います。
長くいい脚を使うタイプなので距離ももつと思います」

と池添兼雄調教師。

実際、前走のステイヤーズSでは4コーナーで
少し外に弾かれながらも上がり2位の末脚でグングン伸び
勝ち馬から0.4秒差の4着でした。

弥生賞を勝った後、陣営は
「良くなるのは秋以降と思っていたのが
春のうちに重賞を勝ってくれました」
と話していたように、
「少しずつ精神面も成長していて、これからの馬です。
まだ一生懸命走らない幼さがありますが、お母さんも奥手でしたからね。
どこかで大きいところを獲らせたいんです」
と池添調教師。

バテない末脚は長距離戦では魅力的です。


GⅠの足音

先週木曜日は雪模様だった栗東トレセン。

 

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今日は同じ0℃スタートではありましたが
暖かな空気に包まれていました。

来週に今年初のGⅠ・フェブラリーSが迫り
トレセンがこれまでよりも活気づいてきた、ということも暖かく感じる理由の1つにあるかもしれません。

登録馬たちは今週から特殊ゼッケンを着用しての調教です。

こちらは地方競馬から移籍初戦を迎えるブルドッグボス。
昨年のJBCスプリントで御神本騎手とともに鮮やかな差し切り勝ちを決めたことは記憶に新しいところです。

 

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転厩初戦ともあって
陣営は状態比較ができない面もありますが
順調に時計を重ねています。

あとは地方競馬と違って多頭数で一気のメンバー強化、
ペースが速いこと、1600mへの対応などが鍵となるでしょう。