北新地競馬交友録

盲亀の浮木、優曇華の花

深夜NHKを見ていたら、弘法大師空海がChinaから持ち帰った、『密教』特集の再放送を流していた。
こりは、現在東京国立博物館で開催されている、『国宝 東寺ー空海と仏像曼荼羅』をNHKプロモーションが主催しており、その援護射撃の意味があるのであろう。
先日、その展示内容をケーブルテレビの番組でも紹介していた、数々の仏像の表情の何と豊かな事か。

仏教と云うのは実に奥深い。
宗派だけでも、華厳宗、法相宗、律宗、真言宗、天台宗、日蓮宗、浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗、時宗、曹洞宗、臨済宗、黄檗宗の13宗があるのだが、其々誰が開祖であり、どのような特長があり、どう違うのかを説明出来る人は、我がJAPANにもごくごく少数しかおるまい。

そんな難しい事は、天井裏にでも置いといて、仏話や説話なら取っつきやすい。
初期仏教の経典である『阿含経』の中に、『盲亀の浮木、優曇華の花』と云う言葉が出て来る。
大海の底にすみ、百年に一度だけ海面に出てくる盲目の亀が、海面に浮かぶ一本の木に出会い、その木のあいている穴に入ることは容易ではない。
『優曇華の花』とは、三千年に一度咲くという想像上の吉兆の花の事だ。

転じて、出会うことが甚だ困難であることのたとえ。
また、めったにない幸運にめぐり合った事として使われる。
この盲亀の浮木、 優曇華の花を地で行ったのが、大阪北新地で吹けば飛ぶようなBARを身過ぎ世過ぎとしているマスターである。

「う〜し!信二!そっから伸びて来い!」
日曜日の午後、神戸元町ウインズでシャウトしたのは、G1『ヴィクトリアマイル』で、ご贔屓川島Jのミエノサクシードの複勝を1万円握りしめていたマスター。
単勝108.1倍、複勝が12.8ー17.7。
18頭立ての17番人気が、最後の直線でインに切れ込んで、渾身の追いを見せているのだから熱い。

結果は6着だったが、「よく走ってる。あったらハイペース、追走がやっとの展開。脚を貯める暇がねえんだから、並みの馬なら最後方!そのまんま〜で終わるところだ。それを最後あんだけ詰めて来んだから半端ねえ根性をしてる。ペースが少し遅けりゃ〜3着は余裕であったはずだ。もう6歳の姥桜だがまだまだ走るぜこの馬は」と、取られて納得のレースとなった。

「狙いのレースは東京最終だ。今をときめくレーン様。ダートでのパフォーマンスは芝よりチイとばかし落ちるが、イーグルバローズが復活の狼煙を上げるエスコートをしてくれるらぁね。1600万に昇級してからの2戦は、人気を裏切る凡走だが、こんなところで足踏みしてる場合じゃねえぞ。俺ぁ〜末はG1の1つや2つは取れる逸材だと思ってんだ。強敵は皇成のハルクンノテソーロと拓弥ドリュウ、康成のグロワールシチーってところか」と、複勝に10万、単勝に2万4千を張り付けた。

「うげ!なんじゃ〜こりゃ!」スタート直後、思わず横の○原さんにブルドッキングヘッドロックを掛けるマスター。
堂々の出遅れに僅か1秒で馬券がゴミになったと思ったのだが……….。

「第4コーナーを回って直線!先頭はウォリアーズクロス!アーバンイェーガ楽な手応え並んで来た!外からは5枠の2頭!ルッチェーロ!グロワールシチー!その直後前が壁になっているのがハルクンノテソーロ!残り300!馬群の外からイーグルバローズが猛然と追い込んで来る!」
「キタ!キタ!キタ!レーンまとめて面倒みちゃれ!」
大出遅れでどこさもないと思ったイーグルバローズが飛んで来たのだから半狂乱のマスター。

「200を通過!先頭アーバンイェーガ2番手グロワールシチー!外から一気イーグルバローズが内の各馬を捉えた!2番手はアーバンイェーガ!イーグルバローズ突き抜けました!」
1着 イーグルバローズ レーンJ
2着 アーバンイェーガ 戸崎J
3着 グロワールシチー 岩田J
単勝 320円 複勝190円
「こんな事ってあっか!ダート1400絶望的な出遅れを物ともせずの差し切り勝ち。俺ぁ感動したぜ。普通のジョッキーなら諦めてグルっと関西で回って来てお終ぇョ。それがどうでぇ!レーン様は痺れさせてくれるぜ」

払い戻しの27万に少し欠ける諭吉で、ビシバシ○原さんの頭をしばき上げながら狂喜乱舞のマスター。
「K君!大将に繋ぎ入れんかい!シースじゃ!シースじゃ」
馴染みの寿司屋で大盤振る舞いのいい夜となった。
『盲亀の浮木、優曇華の花』
本当にこんな事があるんだな〜(╹◡╹)