北新地競馬交友録

出口

3メガバンクの2020年度の新卒採用が計約1700人になり、今年4月の入行者数に比べて約27%減と3割近く減る事が明らかになった。
採用数は4年連続で減少し、19年度に続いてリーマン・ショック後最少を更新する見通だ。
ニャンと!赤い看板でご存知三菱UFJ銀行は約45%も採用を減らす。
ITの進化と云う事もあるだろうが、最大の要因は、超低金利の継続で厳しい事業環境が続いているからである。

メガネの黒田が、「インフレ率が2%を安定的に上回るまでマネタリーベースを増加させ続ける。」と宣言してから、ついに7年目の春を迎える事となった。
必然的に、超低金利で利益が得られない銀行は苦しみまするで、街金顔負けで個人向けの融資に突っ走る事態が発生。
中には、カボチャだかナスだか知らないが、預金残高改竄に見て見ぬ振りをしてまで、業績を上げようと云う不届きものまで出る始末だ。

欧米の中央銀行は、おっかなビックリながら、金融引き締めを模索している。
もしChinaが踏ん張り切れなかったら、もしリーマン級のクライシスが起こったら………….日銀には打つ手がない。
セメント屋の大将が先日、「2%にこだわり過ぎるとおかしくなる」「2%に上がらなかったからけしからんと言っている国民はいないと思う」と発言。

遅い!今更ジロー!
出口がまるで見えて来ないのである。

「発表!『大阪杯』は、将雅のキセキと抱き合いだ。単勝に5万と9百、元返しで複勝に7万張り付ける。逃げ一車スタミナ抜群でスピードもあるキセキに鈴を付けにくる馬鹿はいねえだろう。ならばリーディングJ将雅の一人旅にならあね。スタートさえ下手を打たなきゃ大丈夫V!」と、1週間の予算と、僅かな土曜日の儲けも全てぶっ込んだマスターだったが……… 恐れていた事が起こった。

「あ!出遅れやがった!バッキャロー」
スタートで安目を売って、戸崎Jのエポカロードにハナを奪われたキセキ。
スローに落とされて、折り合いは付いているものの、早いラップで逃げて後続を封じるいつものパターンでないのを見て、いきなりショックを受けたマスター。
1000メートルの通過タイムを見て、「将雅!もういい圭太に付き合うな!まくって突き放せ!」とモニターに叫ぶも………。

「第4コーナーから直線!エポカロード頑張っている!エポカロード頑張っている!外に持ち出したキセキ!キセキが伸びて来る!内からアルアイン!内中外!大きく広がっての攻防!間からエアウインザー!残り200を通過!最内からワグネリアン!前の争いアルアインが先頭!アルアインが先頭!外からキセキ!キセキ!しかしアルアイン踏ん張った!先頭でゴールイン!アルアイン復活!」

1着 アルアイン 北村友J
2着 キセキ 川田J
3着 ワグネリアン 福永J

首差で単勝5万円分20万円のお宝がパーになった。
せめてもの救いは9番人気のアルアインと4番人気のワグネリアンが来たお陰で、キセキの複勝が180円付いた事ぐらいだ。
「なんなら!将雅の野郎!まともならテンのスピードは圭太より上、いくら逃げ宣言してようが無理したら潰れるのは判ってるから、チキンの圭太が喧嘩して来る訳きゃ〜ねんだ。百歩譲ってスタートで安目を売ったのは仕方ねえとしても、なしてまくって勝負掛けねえんだ。腰の引けた騎乗しやがって」憤懣やるかたないと、こき下ろす、こき下ろす。

「マスター、スローでも折り合える事が判ったんですから収穫はありました」は競馬友達のK君。
「テメーは馬鹿か!そったら先の事なんてどうでもいいんだョ!今日、今の諭吉が俺には必要だっちゅ〜の。」
「マスターさん、土曜日が2連勝、日曜日も的中さすがです。」とズケ取りに余念がない、熊本天草出身◯原さん。
「おちょくってんのか?土曜日と日曜日、こんだけ大騒ぎして儲けは2万と6千しかねえんだョ。花見で缶拾いしてる方が儲かってらあね。」
「…………………」

2月の声を聞いてから、買う馬券、買う馬券から絶縁状を叩きつけられ、フラフラのマスター。
やっと当たったと思ったら雀の涙より少しましな儲けに、神戸元町ウインズの低い天井を仰ぐしかない。
こらからを想像するだに恐ろしい日本経済じゃないが、出口が見えないのである。