北新地競馬交友録

松坂大輔とサイレンススズカ

プロ野球のキャンプが佳境に入っている。
そんな中、事件が起こった。
中日の松坂大輔投手が、沖縄県北谷町でのキャンプでファンと接触した際に右腕を引かれ、その後に違和感が出たのだ。
「米大リーグ、日本でのキャリアを通じ数多くのけがに対処してきたが、こんなのはなかった」。
一時は開幕投手もあるのではないかと云われた松坂投手大ピンチである。

その松坂投手であるが、横浜高校時代の呼び名は『平成の怪物』。
圧巻だったのは、『第80回全国高等学校野球選手権大会』だ。
準々決勝でPL学園高校に延長17回という長丁場の試合に250球を投げ完投勝利。
翌日の準決勝、明徳義塾戦でも1イニングに登板し、逆転劇を呼び込む。
そして決勝の京都成章戦では59年ぶり史上2人目となる決勝戦でのノーヒットノーランを達成し見事優勝する事となる。
この年の高校野球は、松坂投手に始まり、松坂投手に終わったのである。

「『中山記念』は、『バレンタインS』で復活したサイレンススズカが、本物かどうかを見極めるレースだ。なんせ前走の『バレンタインS』は相手が軽過ぎた。2番人気が幸雄のメイショウデンゲキで、3番人気が浩輝のホーセズネックだってんだから、オープンたって1600万に毛が生えた程度の面子。今回の『中山記念』で圧勝してこそ、完全復活と云えるんじゃねえか。相手筆頭は人気ではエビショーのイシノサンデーだが、屋根が洋文からエビショーへの乗り替わりだってョ。何とも屋根にツイてねえ馬だ。俺ぁ〜一銭も買う気はねえな。ならば屋根はこれまた気に入らねえが、横典のローゼンカバリーの方がチイとはマシだろう。お父さん!何点も買っちゃ〜何にもならねえ裏庭の柿の木。豊のサイレンススズカと横典のローゼンカバリーの一点勝負が男の子!」聞かれてもいないのに長講釈はマスターの昔からの悪い癖である。

「4角を回って直線!サイレンススズカのリードは2馬身!蛯名正義イシノサンデーが差を詰めにかかる!外からローゼンカバリー!ローゼンカバリー!インタークレバー!ジェラスガイ!4頭でごった返している!」
「オラ!オラ!オラ!横典!行け!負けんじゃねえぞ!横典!」
サイレンススズカの逃げ切りはまず間違いない。
問題は2着と、マスターが渾身の声援を送る梅田ウインズ午後4時前。
一点勝負はさすがに心臓に悪い。

「サイレンススズカ先頭!サイレンススズカ先頭!リードは2馬身!差は詰まらない!2番手はローゼンカバリーかジェラスガイか!サイレンスズカ見事逃げ切り!2着争いは微妙です!」
1着 サイレンススズカ 武豊J
2着 ローゼンカバリー 横山典弘J
3着 ジェラスガイ 的場均J
馬連4ー9 二番人気350円
「横典の野郎ドキドキさせやがる。一瞬均のジェラスガイにやられたと思ったじゃねえか。スパッと差さんかい!ズバッと!ョ。サイレンススズカはこれで完全復活だろう。差は2馬身だが地球を10周してもこの2馬身は詰まらねえョ。今年の主役は豊とサイレンススズカで決まりだ」

サイレンススズカは、その後、『小倉大賞典』『金鯱賞』『宝塚記念』『毎日王冠』と連勝。
残念な事に『天皇賞 秋』で還らぬ馬となるのである。
高校野球は松坂大輔投手が大活躍、競馬はサイレンススズカが大活躍し話題を独占した1998年。
もう21年も前の話しである。