北新地競馬交友録

自己肯定

大相撲の初場所で初日から3連敗し、16日に引退を表明した横綱・稀勢の里関が、東京・両国国技館の相撲教習所で会見を行った。
「私、稀勢の里は、今場所をもちまして引退をし、年寄り荒磯を襲名し、精進していきます。大変お世話になりました。ありがとうございました。横綱として、皆様の期待に応えれなかったということは非常に悔いが残りますが私の土俵人生において、一片の悔いもございません」と述べ引退を発表した。
16年ぶりに誕生した日本人横綱として、重圧と闘って来たファイテングスピリットに心より敬意を表したい。

会見での、横綱としては悔いが残るが、土俵人生において一片の悔いもないとの発言。
横綱として結果を出す事は出来なかったが、自分は精一杯頑張ったと云う意味であろう。
人は自己肯定力、これがないと白装束に足袋を履いて、マリリンモンロー!ノーリターンで帰らざる川を渡る事となる。
サラリーマン時代は弾けていて、今は北新地で吹けば飛ぶようなBARを生業としているマスター。
当時、馬券代は1週間で30万円、北新地にお客として週4回は通う放蕩の日々。
自分の月給の何倍も遣っていたのだからコリは苦しい。
天文学的負債を抱えて四苦八苦だ。

「泣けてくるぜ。月給は月に1回なのに、詰めなきゃいけねえお足の支払日が週1回は最低ある。チワワかなんか抱いた親父が借りろ、借りろと尻かくもんだから大変な事になっちゃったじゃねえか」
寝ても覚めても気になるのはマニーの事ばかりで、毎日が綱渡りの日々なのだから普通はノイローゼになっても何の不思議もないが、それこそ自己肯定力では横綱クラス。
「まあなんだ〜、こんだけ借りれるんだから俺には信用があるって事かも知んねえな。な〜に懐は北風ピーピューでも親から貰った頑健なボディーがあらあね。いざとなりゃ〜マグロ漁船でケリ付けりゃあいいだろう」と煙草をくゆらしていたのだから肝は座っていた。

とは云うものの、そんな事が現実に出来る訳もなくいよいよ進退極まり、仏さんのような今は亡きパピーに負債を全額面倒を見て貰い楽になったマスター。
現在はカードと云えば銀行とTSUTAYAのみで心静かに暮らしている。
バット!ピントがズレていても自己肯定力が低かったならば、上田正樹悲しい色やねんで、墓石を抱いて大阪湾にダイブしていてもおかしくなかった状況であったのだ。

「オールインワン先頭で4コーナーから直線!2番手にアンヴァル!外からグランドボヌール3番手!更にコウエイタケル!ナインテイルズが迫る!馬群の中ダイメイフジが追い上げる!最内からビップライブリ!アンヴァル抜けた!抜けた!外からナインテイルズ!ナインテイルズ!後方からエントリーチケット!ティーハーフも突っ込んで来た!ナインテイルズ先頭でゴールイン!」
1着 ナインテイルズ 岩田J
2着 アンヴァル 酒井J
3着 ティーハーフ 池添J
4着 エントリーチケット 和田J

「マスター、3着が痛いですね。エントリーチケットなら3連複も的中で5万以上の払い戻しになったのに」と競馬友達のK君から携帯に繋ぎが入った。
「当たりは枠連の1千と5百のみのみか〜。ああ、大ガミ興行になっちまった。謙一も余計な事をしやがる。あったらシャカリキに突っ込んで脚でもいわしたら、馬主さんにどう言い訳するんない。プラス18で34.0の上がりだってョ。ミナミのラ・ポッチャポッチャじゃねえってえの」とボヤいても時すでに遅し。
「マスター、怒らないでくださいね。昨日の『日経新春杯』グローリーヴェイズは軸不動の見立てで、相手に5番人気岩田Jのルックトゥワイスも引いていたんですから、ムイトオプリガードとのワイドじゃなくて枠連を買ってたら1280円の直撃でした」

「結果論だョ」
「でも、今日も3連複なんか買わないで枠連に絞ってたらプラスでしょう。この3日間開催、初日のイーグルバローズは目すりでどうしようもないですが、日月ゲット出来ていたらトータルで勝ってます。あれだけ馬券は枠連て云ってたのに………….」
「いいって事ョ。これで俺の枠連至上主義が証明されたって事じゃねえか。次から気を付ければいい。まあ、チイとばかし高い授業料になったがな」
「…………授業料って!マスター何年競馬やってんですか?」
「うん、40年と少しかな」
「本当にダメな人ですね(//∇//)」

マスター!何でも自分に都合いいように解釈してると大変な事になるぞ。
自己肯定と自己弁護は違う。
反省しろよなƪ(˘⌣˘)ʃ