北新地競馬交友録

いたずら

「ハードボイルドだど」、知ってる方は知っている、ハードボイルドに精通していた故内藤陳さん。
ご自分でも東京でお店をなさっていた。
それこそ星の数ほどあるハードボイルド小説で必ず出てくるシュチュエーションがBAR。
BARでいっぱしの立ち振る舞いが出来てこそ大人の漢なのである。

「NHKの『モフモフもふもふ』いいよな〜。あれ見てると心が洗われるぜ」
マスターが唐突にバーテンダーに話しかけると、カウンターの端に座っていた、チョイといい女があら不思議「私も毎週見てます。堤さんいいですよね」
「だよな〜、イメージとのギャップがいいやね」
ちゃんと見たのは一回だけの癖に……独りぼっちの女性に動物ネタは鉄板だ。

「そうかい!同じ動物好きだ。好きなもの飲みなさいョ。それにしても、あの、猫ちゃんがいたずらするのなんて、たまらねえ〜な〜可愛いたらありゃしねえ」
「私も猫飼ってるんですよ。名前はジェイソンです」
「は〜あ、何でジェイソンなの?」
「厚切りジェイソンがデレビに出だした頃に貰ったんですが、ヤンチャで、ヤンチャで、いたずらばかりやってます」

「ふ〜ん、そのジェイソンに会いに行こうかな」
「あ、すいません。うちのジェイソンは男性が大嫌いで」
「…………….」
そんなに物事がトントン拍子に進む訳がないのは当然だが、まっこと、動物がはしゃいでいたずらする様は可愛いのである。

「マスター、おはようございます。土曜日メイショウコゴミ4着でしたね」
「う〜ん、グンバツのスタートを切ったんだから、道中もう少し前に押し上げて行ってくれたら3着はあったかもな。仕方ねえョ競馬だから。もっともジェントル幸ちゃんも俺が買ったら来ねんだから、嫌になっちまう」といきなり泣きが入っている。

「そうですね。それはそうと今年最後の沖縄、楽しんでますか?」
「それョ!それそれ!語るも涙、聞くはザマーミロの大雨と強風。朝の9時半に那覇について、いきなり出船中止のコールだ。仕方ねえから、何時ものホテルのフロントに土下座して、11時から部屋を使わせて貰う始末。酷ぇ目にあったぜ。こんな事なら夕方の便で来りゃ〜良かった」

「明日はダートの3連発。馬券はどうされますか?」
「スプリントとレディスは難しい。11Rのクラッシックにしよう。それはいいがこの前、面と向かって『マスターはいいですね。1番人気、2番人気、3番人気の馬連か枠。ないしは3番人気までの単複しか買わないですから。時代は3連系なのに』と揶揄されてョ。あったま来たから、このレースはチョイといたずらしてやろうかと」

「どのように?」
「3連単フォーメーション、1列目と2列目に内からルメールのサンライズソア、プリンスのケイティブレイブ、竜二のオメガパヒューム。三列目にプラス、拓弥のサウドトゥルー、ウチパクのノンコノユメ、フル吉先輩のテイエムジンソク、デムーロのアポロケンタッキー4頭の30点、一目2千張り。サンライズソア、ケイティブレイブ、オメガパヒュームの馬連ボックスに一目4千でご機嫌伺いだ」と結論付けた。

猫ちゃんのいたずらは可愛いが、馬券オヤジのいたずらは………。
年内最後の愛しの愛ちんとのドリンキングが楽しくなるかどうかは、『JBCクラッシック』の結果次第なのだが…….さて。