北新地競馬交友録

運について

少し前、国内大手の旅行会社H.I.S.が企画した、ハワイでの結婚式を含む260組分のツアーが、式場の工事の遅れによって急きょ中止された事が大々的に報道された。
H.I.Sの社長と云えばご存知、澤田秀雄さん。
ハワイの結婚式プランでは味噌を付けたが、万年赤字だった『ハウステンボス』を再生させた事で一躍名を馳せた、なかなか面白い方である。
「人生の90%は運に左右されている」「運の悪い人には近づかない」「新規のプロジェクトは強運な人間で固める」等々。
兎に角、運に対する拘り具合が半端ない。

随分と変わった方だなあと思うかも知れないが、経営者には運に拘る方がモリモリ森昌子。
例えば、町工場から日本のいや世界の松下を立ち上げた、松下幸之助さんもその1人。
面接の最後に必ず「あなたは運がいいですか?」と質問し、「運が悪いです」と答えた人は、どれだけ学歴や面接結果が良くても不採用にしていたのは有名な話しである。
そう考えれば、2キロ走って、僅か1センチで天国と地獄に生き別れの競馬。
結局は運なのかも知れない。

「マスター、昨日の『府中牝馬』馬連でも良かったですね」は競馬友達のK君。
「ユーも40年以上息してるのに判ってねえな〜。もし馬連を買ってたらデムーロのリスグラシューが、正義のフロンティアクイーンに差されて3着になっちまってる」
「それって非論理的な話しですよ。現実にリスグラシューが2着なんですから」
「ああ、理屈じゃねえ〜んだ競馬は。運をどう扱うかが肝。馬連一点勝負なんて欲をかきゃ〜運が逃げちまう。ユー達が陰で、馬券下手と俺の事を馬鹿にしてるのは知ってるが、大した稼ぎもねのに、渋とく生き残ってるのは、その辺りが判ってるからだっちゅ〜の」
「そんなもんですかね?」
「そんなもんなんだョ!競馬はョ〜」

「今日の『秋華賞』はどうされます?」
「おう!アーモンドアイを外した馬券がゴミになるのは、芦○崇信幼稚園ひまわり組の真司君でも知ってらぁ〜ね。1.3だから単系の馬券を買う馬鹿はいまい。馬連でいいんじゃねえか。相手は運気アゲアゲの馬と騎手だな。内から1枠2番いいところを引いた豊のカンタービレ、モレイラが騎乗停止で手が戻った謙一のサラキア、脩の怪我でお鉢が回って来た友のラッキーライラック、北海道で怒涛の3連勝しかも屋根がニホリカ人ではNO1将雅のミッキーチャーム、スタートに難あり8枠16番大歓迎ヒロシのプリモシーンまで」

「5点も買ったらアーモンドアイとラッキーライラックで決まるとガミりますよ」
「そったら事は判ってる。誰にものを云うとるんなら〜。あ〜ん。7ー11を5万、11から2.5.13に各2万と5千。11ー16を1万と5千押さえる。どれも大して儲からねえが競馬は当たってナンボだ」と結論付けた。
「マスター、運を大切にするのは判りましたが、抽選待ちにも関わらずデムーロJがチョイスしたダンサールが怖くないですか?その昔、武豊JのG1初制覇も確かそんな流れだったような話しを読んだ事が」
「くぬ野郎!縁起でもねえ事を云うんじゃねえ。ユーが厄だ。レースの時きゃ〜俺の10m以内に近寄るんじゃねえぞ!」
「はい、はい仰せの通りに」

旅行だ、台風だ、で1カ月ぶりに神戸元町ウインズに出張るマスター。
「競馬は最後は運!今週はいける」と、土曜日の勝ち4万円と1週間の予算10万円を突っ込むと気合十分なようで。
勝てば、南京町で開催されているイベント『神戸 満福キッチン』に突撃するらしいが、さて……………。