2011年に休刊となった情報誌『ぴあ』が、8月末にスマホアプリとして復活するそうだ。
まだ若かりし頃、関西の情報誌と云えば、この『ぴあ』と『プレイガイドジャーナル』略して『ぷがじゃ』の二誌。
「俺は『ぴあ』派や」
「軟弱なやっちゃな〜、そら断然『ぷがじゃ』やろ」
誌面の構成や、フューチャーする話題などで、明らかに毛色が違っていた。
素直に青春を謳歌している若者は『ぴあ』で、どこか斜に構えている若者は『ぷがじゃ』
『ぴあ』が洗練されていたのに対し、『ぷがじゃ』はカウンターカルチャーの色が半端なかった記憶がある。
特にコラムの執筆人には錚々たるメンバーがいた。
井筒和幸、香川登志緒、中島らも、マーキー谷口、流山児祥、鴻上尚史、そしてあの村上春樹も。
イラストレイターや漫画家も、南伸坊、いしいひさいちを始め個性的な方が多数。
演劇では、黒色テント、劇団維新派、寺山修司、プロジェクト・ナビ、つかこうへい劇団、東京ヴォードヴィルショー、自由劇場、劇団青い鳥、結城座、竹内銃一郎、山崎哲、第七病棟、筒井康隆大一座、五月舎、満開座、第三エロチカ、ブリキの自発団等をプロデュース。
シネマでは井筒和幸監督が世に出る作品となった『ガキ帝国』を送り出し。
なぎら健壱、友部正人、松井計井子、上田正樹、みなみらんぼう、憂歌団等のライブにも深い関わりを持っていた。
若い頃、鬱々とした日々を送っていた私の精神安定剤『ぷがじゃ』
ひと昔前は、そんなモラトリアムな日々にどっぷり浸かっているような人間にも居場所があり、それを「人それぞれ生き方や考え方があっていいんちゃうか」と教えてくれた、『ぷがじゃ』が旗頭となっていたカウンターカルチャー。
まごう方なき落ちこぼれなのは、今も昔も少しも変わりはないが、そんな時間に恵まれたお陰で、人間に少しだけ深みが出たかも知れないとは、手前味噌過ぎるのだろうが…….。
「マスター、○原さん真っ青になっていましたよ」と競馬友達のK君。
「そりゃ〜そうだろう。自信満々サロン満、中京7Rブレイニーランが勝ったものの、紐が抜けての大外れ。好枠を利して先行出来る1枠をぶった斬っちまってんだからョ。完全にブルっちゃって『マスターさん、すいません』のLINEが一本あったきりだ。今日会ったら全然怒ってねえからとユーから伝えてくれ。仕方ねえョ競馬だもんな。まだタマの方は余裕があっから、『函館記念』でも買ってみっか」
「どの馬ですか?」
「混戦だろうが、ルメ公のトリコロールブルーが一枚上との見立て。野芝にも実績があるし、函館にたんといるジョッキー、謙一、康太辺りがリーディング争いをしているが、CoCo壱番で当てになるのはルメ公だろう。発表!トリコロールブルーの単勝に2万、複勝に4万を張り付ける。これが外れりゃ〜当分競馬は休みだ」との覚悟だとか。
「柴田Jのブレスジャーニーが復調気配らしくて、怖くないですか?」
「そりは大丈夫!タフな野芝、馬がバテる前に屋根の善臣大先生がバテちまう」とひとっぱたき。
このせちがない現代、『ぴあ』がネットで復活しても、『ぷがじゃ』が復活する日が来るはずはないとしても……..馬券だけは復活して貰いたいものである。