北新地競馬交友録

一分

昨年はSMAPが解散して大騒ぎになったが、解散後、中居君のようにバライティーのレギュラー番組がある人はたまにテレビで見かけるが、木村君や稲垣君はあまり見る事がない。
元々影の薄かった稲垣君はさて置き、木村君の場合、司会とかは出来ないので勢いドラマかシネマと云う事になる。
バット!顔がいいだけで、演技が泣けてくるほど下手なので、熱烈なファン以外はノーサンキューとなる。

そんな木村君でも、脚本が良ければ何とかなる見本が、2006年に公開されたシネマ『武士の一分』
時は幕末、お毒味役の木村君はつぶ貝の毒に当たり失明し、家禄を保つために奥さんが藩の上役に弄ばれる事に。
それを知った木村君、盲目ながらもその上役との果たし合いに臨み、片腕を切り落として、切腹に追い込み遺恨を晴らす事となる。

『一分』とは一身の面目の事である。

「この『七夕賞』の眼目は福島初お目見え豊のメイショウカイドウが、康成のコンゴウリキシオーに勝てるかどうかそれだけだ。お父さんもご存知メイショウカイドウは小倉の鬼。京都、阪神の中央場所じゃ〜分が悪ぃが、ことローカルとなると半端ない強さを発揮する。展開は圧倒的にみちのくひとり旅のコンゴウリキシオーが有利で一番人気。二番人気は正樹のグラスボンバーだが、いくら福島が得意と云っても、正樹じゃ〜豊や康成と比べたら2馬身は腕が落ちる。現在三番人気のメイショウカイドウの単勝が7倍も付くなんて、小倉じゃ有り得ない配当だぜ。ここは一番!飛び込んでみるのも有りだろう」と聞かれてもいないのに長講釈はマスターの昔からの悪い癖だ。

「さ〜直線!コンゴウリキシオー粘っている!外から武豊だ!ムチを入れた!またムチを入れた!内からグラスボンバー!今日は内から飛んで来た!ホーキパウェーブも追い込んでくる!残り100!メイショウカイドウ!コンゴウリキシオーを捉えた!メイショウカイドウ先頭だ!メイショウカイドウ!ゴールイン!さすが武豊!さすがメイショウカイドウ!小倉だけじゃない!福島でも強かったメイショウカイドウ!」

3コーナーのカーブからムチを飛ばした武豊J。
いつもこれぐらい真面目に乗れよ!と云うぐらい追いに追い、コンゴウリキシオーをキッチリ捉えて先頭でのゴールインに、マスター大興奮。
「よっしゃ!豊の野郎もやりゃ〜出来んじゃねえか。あれでいいのョ!あれでな。お父さん!だから云ったじね〜の。へ!こんな簡単なレースで単勝が7倍も付くなんて、テメエでテメエのホッペを抓りたくなるぜ」

さしずめ木村君が『武士の一分』なら、メイショウカイドウは『ローカルの一分』と云ったところであった。
2006年、もう12年も前の話しである。