北新地競馬交友録

茶腹も一時

歳を取るの比例してなくなって来るのは体力と根気とは、巷よく云われる事である。
その顕著な例の一つに、あれほど好きだった小説を読み切るのに恐ろしいほど時間かかる。
5分読んではタバコを吸い、15分読んではコーヒーを淹れに立ち、1時間も文字と向き合っていると、突然睡魔に襲われる。
それこそ若い時は、一晩読み続ける事も一向に苦にならなかったのとは、隔世の感があるのだ(・∀・)
因みに最近、マスターの店の手伝いを始めたハルキストのあやかちゃんなどは、どれだけ本に没頭し続けてもまるで平気の平左らしい。

話しは脇道にそれたが、小説は集中して読んでないと筋が判らなくなって、ついついページを戻して読み直す羽目になる。
そんな中、たまに寄る『古本市場』で発見したのが『故事熟語辞典』
作者は池田四郎次郎さん、非常に胡散臭いペンネームであるが、これがどうしてなかなか面白い。
何より短い文章の中に、「あ!そう云う事がある、ある」なのが、長い文章を読むのが辛くなった身にはありがたい。
「えいや!」で適当にページをめくってみると『茶腹も一時』
今週この故事を地で行ったのが、馬主さん達が集う北新地のBARのマスターだ。

「今週の『弥生賞』は、そだね〜とちゃらけるのも恥ずかしいぐらい堅い。2着以内の括りなら地球を100周しても、ルメ公のオブセッション、プリンスのワグネリアン、将雅のダノンプレミアムで決まる。発表!馬連ワグネリアンとダノンプレミアムが大本線で5万と3千5百、オブセッションからダノンプレミアムに2万、同じくオブセッションからワグネリアンに1万と5千で勝負を掛ける」と結論付けた。
レースは一瞬恐れていたサンリヴァルの前残りで、失神するような事態に陥るのだが……..。

「さ〜第4コーナーから直線!内ラチ沿いサンリヴァル!離れた外からダノンプレミアム!交わして先頭!1馬身リード」
「よ!よっしゃ〜!前はもういい!プリンス、ルメール来い」と吠えるマスター。
「ダノンプレミアム突き放しにかかる!馬場の真ん中からジャンダルム!内でサンリヴァル粘っている!ワグネリアン4番手!3番手!前を捉えにかかる」
「ゴラァ!祐介!豊!遠慮しろ。プリンス!プリンス!プリンス」と更に吠えるマスター。

「抜けた!抜けた!ダノンプレミアム!これぞ王者の走り!1着でゴールイン!2着はワグネリアンかジャンダルムか!」
1着 ダノンプレミアム 川田J
2着 ワグネリアン プリンス福永J
3着 ジャンダルム 武豊J
4着 サンリヴァル 藤岡祐介J
「マスターさんおめでとうございます」と熊本天草出身○原さん。
「まあな、馬連の配当は僅か300だが本線で5万と3千5百持ってるからよ」と格好を付けるマスター。

「これぐらいで喜んでる場合じゃないでしょ。年明けからどんだけヤラレてるんですか」は競馬友達K君の厳しい指摘。
「相変わらず冷てぇ事云うな君は。こんな時ぐれぇ褒めるとか何とかねえの?」
「一切ありません」
「………………….」
『茶腹も一時』池田四郎次郎さんによれば、わずかなものでも一時しのぎにはなるというたとえだとか。
ちょっとは元気出たか!マスター(笑)

皆様、お付き合いありがとうございました。
明日も続きます。