北新地競馬交友録

同情するなら

「やられたら倍返しだ!」
「承知しました」
「謎はすべて解けた!じっちゃんの名にかけて」
「この紋所が目に入らぬか」
「夢にときめけ!明日にきらめけ!」
「このバカチンが!」
「人と云う字は………..」
この決め台詞はご存知過去のドラマで発せられた名言だが、今から読み返すといたってノーマルだ。

翻って異次元の強烈な印象を受けた決め台詞と云えば、そう、めんこい安達祐実ちゃんが『家なき子』の中で発した「同情するならカネをくれ!」
小学生の主人公が、不遇な環境の中でも困難に負けず力強く生きていく様を描いた物語だが、平均視聴率24.7%、最高視聴率37.2%という驚異の視聴率を記録。
「同情するならカネをくれ!」がその年1994年の『新語・流行語大賞』に選ばれるなど、文字通り社会現象となった。

「阪神で開催される『きさらぎ賞』てぇのは変な感じだが、今年はユダヤのダイヤモンド職人が仰け反るぐれぇ堅い馬がいる。
もちのロンで豊のマチカネジンダイコだ。え?単勝1.3ですよってか?あたし前よ〜豊が鼻唄歌いながらでも勝つんだからよ。相手は勝一のメイトウリュウオウ、滋彦のイイデライナー、克己のパリスケイワンの3点。厚薄を付けて買ゃ〜お帳面のレースだろう」昔から堅いレースが大好きだったマスターが、冬のど真ん中阪神競馬場で、誰も聞いてないのに講釈を垂れていたのだが……..。

「直線コースに向いた!サムソンビッグ先頭!サムソンビッグ先頭!外からマチカネジンダイコ!間からメイトウリュウオウ!更にはタイキデューク!イイデライナーも突っ込んで来る」
「よっしゃ!豊!豊!豊!ズブズブに差しちまえ」とマスター。
「サムソンビッグまだ先頭!外からイイデライナー!イイデライナー!マチカネジンダイコは4番手!サムソンビッグ粘る!粘る!イイデライナー!タイキデュークが迫る!接戦!3頭並んでゴールイン」

1着 サムソンビッグ 田所秀孝
2着 イイデライナー 岸滋彦
3着 タイキデューク 内田浩一
4着 マチカネジンダイコ 武豊
勝ったのは、ニャンと!最低人気のサムソンビッグ。
単勝17200円
複勝2330円
枠連4780円
馬連39660円
とんでもない大万馬券が飛び出した(・∀・)

「なんで!あんなちんマイ馬が勝つんだよ〜。しかも暮れの『朝日杯』ではナリブーから2.8も離されたブービー。『シンザン記念』でもこれまた堂々のブービーだぜ。こったら馬が勝つなんて何かの間違ぇだろう。買い間違いしなきゃ〜絶対取れねえ馬券だ。俺ぁ競馬もう止めるぜ」とマスターがボヤくのは当然である。
最低人気の激走に歓声どころか、静まり返る阪神競馬場。

それにしてもこのサムソンビッグ。
名前とは裏腹に、420キロを切るぐらいの驚くほど小さな馬であった。
パドックでは常にドナドナ状態で、ヤル気のカケラも感じさせなかった。
バット!『皐月賞』『ダービー』『菊花賞』とクラッシック皆勤賞。
しかも走りも走ったり平地27戦、障害8戦である。
もっとも、そのほとんどが二桁着順で、見ているこちらが目を覆いたくなる成績であった。
そんなサムソンビッグが唯一度輝いた1994年の『きさらぎ賞』

安達祐実ちゃんが、「同情するならカネをくれ!」なら、サムソンビッグは「同情するなら引退させてくれ!」だったのかも知れないな〜(≧∀≦)