北新地競馬交友録

轍鮒の急

『轍鮒の急』

荘周家貧。
故往貸粟於監河侯。
監河侯曰、「諾。我将得邑金。将貸子三百金。可乎。」
荘周忿然作色曰、「周昨来、有中道而呼者。周顧視車轍中有鮒魚焉。
周問之曰、『鮒魚来、子何為者邪。』
対曰、『我東海之波臣也。君豈有斗升之水而活我哉。』
周曰、『諾。我且南遊呉越之王。激西江之水而迎子。可乎。』
鮒魚忿然作色曰、『吾失我常与、我無所処。吾得斗升之水、則活耳。君乃言此。曾不如早索我於枯魚之肆。』」

週初めから非常に迷惑なのは承知の助でまたまたChinaの故事(・∀・)

貧しかった荘子は食べる物が無くなり、友人で地方の君主に穀物を借りに行ったが、「数日後に領地から税金が入るで、その金を貸そう」と云われてブチ切れ。
「ここに来る途中、轍にいるフナが私に助けを求めた。近いうちに西江に行って水をたくさん持ってきてやろうとフナに言ったら、フナは怒って「今わずかな水があれば助かるのに、そんな悠長なことを言われても困る。それを待っている頃に、自分は干からびて干物になってしまう」。私は、そのフナと同じ心境だ。今直ぐなんとかしてくれ」
(本当に偉そう、誰かみたい 笑)

この故事から転じて『轍鮒の急』とは危険や困難が目の前に差し迫っている事を云うのである。

この日曜日、ダースベイダーのテーマ曲に乗って、「ムシャクシャすっから叫び倒してやる」と、マスターが神戸元町ウインズに着いたのは3時少し前。
「マスターさん何してたんですか!『紅梅S』の買い目はどう変更するんです?もう時間があまりないですよ」と熊本天草出身○原さん。
「なんで変更しなくちゃならねえんだ?」
「だって枠の1ー8は2.4しか付きません。当たったってトータル5万円の投資ですから、儲けは僅か1万円です」
「冗談は芳子さんだがね。10時に確認したら4.3付いてたぜ」
「それから無茶苦茶売れてるんです。シグナライズの単勝は1.6ですから」

「1枠1番ルメールのシグナライズはど鉄板だろう。9頭立てなんであれもこれもじゃ馬券にならねが、枠連で1枠からデムーロのモルトアレグロ8枠が大本線で2万5千、豊のピエナミントの7枠に1万と5千、将雅のラヴカンプーの6枠へ5千、マルコメから竜二に乗り替わり5枠のモズスーパーフレアに5千。締めて5万でいてこまそうと思う」と結論付けたのは、何が何でもストレス発散に叫びたい故で、倍になれば良しとの算段だったが、1枠からバカ売れでどれが来てもほとんど儲けがない。
これにはマスター慌てた!慌てた。
「馬鹿野郎!何で直ぐに繋ぎを入れねえんだ。こったら馬券買えるか」
「もう来るだろう、もう来るだろうと思ってましたから。まさかこんな直前に来るとはね」と競馬友達のK君の突き放すような言葉に憮然とするマスター。

「単勝1.6じゃ〜、単複、馬単、3連単は、はなから無理筋だ。でもって馬連も絞り切れなきゃダメだしよ〜。○原さん締め切りまで後何分ある?」
「10分切りました」
「マスター、こんな時は無理して買わない方が、買い方が難し過ぎます。メインは厳しくても、最終ならルメールJのブラックプラチナムで何とかなるでしょう。ゆっくり考えた方がいいです」とすかさずアドバイスを送るK君。
「たわけ!敵に後ろ見せられっか!」とオッズと睨めっこするマスター。
『轍鮒の急』に敢然と立ち向かうところまではカッコ良かったのだが……..。

続きは明日です。
皆様、お付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます。