北新地競馬交友録

オッズ

寄る年波とはえいらいもので、目がてんでダメになる。
6と8とが微妙で、3と8も怪しい(・_・;
文字を見続けると、疲れるのが早くなるのも致した方ない事で、読書量が格段に落ちてしまっている。
更には少し難しい内容だと、考え続けるのがこれまた疲れる。
イメージとしては最盛期の5分の1ぐらいだろうか。
これ以上馬鹿になってたまるかと、歯を食いしばって文字を追うと、読書の楽しみからドンドン遊離していってしまうのを実感するのだ(~_~;)
そんなこんなで、最近読んでいるのは、芥川龍之介の『侏儒の言葉』に代表されるような箴言集風のものが多い。

「人生は一箱のマッチに似てゐる。重大に扱ふには莫迦々々しい。重大に扱はなければ危険である」
中坊の授業だかで教わったような記憶があるが、さすが天才である。
これぞアフォリズムの極致ではなかろうか。
世の中には拘り過ぎるのは莫迦々々しいが、拘らなければリスキーな事柄が沢山あり、その中で最たるものが人生だと云う事であろう。
翻って馬券愛好家が拘るのはもちろんオッズである。
何故なら、儲けるために馬券を買い続けているのだから。
オッズで馬券を決めると予想が曲がって当たりから遠ざかり、オッズを軽視すると儲けが出ない。
ニャンとも!扱いが難しいのである。

「ヤスナリの野郎なんで函館から中京くんだりまで出張ってくんだ?メインに乗るなら兎も角、9Rの500万下『清洲特別』が最上位たぁ〜相変わらず訳の判らねえ野郎だぜ。騎乗5鞍の中で1番来そうなのが、3Rのキョウワヒラリーだろう。ポン!とハナを切ったらオイデ、オイデの大楽勝だ。発表!枠連!キョウワヒラリー3枠から流す。相手は人気先行だがオッズと相談して、豊のサトノシュテルン4枠を厚めの2万。後は1.2.6.7枠に各1万で取ったも同然だ。4枠がぶっ飛びゃ〜いい配当にならあね」と結論付けた。
土曜日、オッズをキチンと見なかったが故に馬券が鼻もかめないゴミと化して、随分と慎重になっていたんだろうがこれが吉と出る。

「4コーナーから直線!前は2頭並んだ!僅かにサウンドビクトリー!追って!追って!キョウワヒラリー!」
ポンとスタートを切って、逃げるサウンドビクトリーをガッチリマークした岩田Jのキョウワヒラリーが抜け出す体制に、「おっしゃ〜!ヒラリークリントンいてこませ!当選確実!わっしょい!わっしょい」と大興奮のマスター。
「外からジワジワ!スターズバースが前の二頭に迫ってくる!内からはタガノハウオリ!その後方からサトノシュテルン!連れてプリセスヨークも脚を伸ばし来るが!先頭スターズバース!抜けた!スターズバース!ゴールイン!2着はキョウワヒラリー」

馬連の5ー14が1510円、枠連の3ー7が1540円で3000円余分に儲けて154000円の払い戻しに口を開けて大笑いのマスター。
「な!だから云ってるだろ。オッズをキチンと見なきゃ〜ダチカンゾ!てよ」
(土曜日地団駄踏んでたのは誰なんだ 笑)
「ね!ウインズ来て良かったでしょ」と競馬友達のK君。
「俺だって来たかったが、まだ右目が不自由で遠近感が狂ってるんだ。もし柄の悪ぃ奴にあや付けられたら確実に負ける。まあ〜そんときゃ〜可愛いオメー達が盾になってくれんだろうけどよ」
「まさか〜、逃げますよ」
「この俺がオソボにされててもか?」
「はい!それにイカツイ顔に真っ黒のサングラス。上下黒の恐ろしそうなマスターにつっかかって来るような命知らずはいないでしょ」

「もう一度だけ聞く、この俺がコテンパン太郎にやられてるんだぜ。ほっとけね〜だろが、な〜◯原さんよ〜」
「命あっての物種です。馬券で負けてテンパってるような人間を相手にするなんて自殺行為ですから。マスターなら大丈夫ですよ。二、三発は貰っても抱きついてのアナコンダ殺法チョークスリーパーがあるじゃないですか。大体がですね……..」
「あ〜そうですか。そんなもんですか。短けえ付き合いだったな。さらば皆の衆!」と神戸元町ウインズから踵を返すマスターを呆然と見る、まあまあ愉快な仲間たちだったが………。

「神戸サウナに行ってくる。寿司屋に5時集合。払いは自前!馬券負けんなよ」のLINEが◯原さんの携帯に入って来た。
「大将よ〜。もし俺が道であや付けられて殴られてるのを偶然見たらどうする?」
「そりゃ〜お世話になってるんですから止めに入りますよ。事と次第によっちゃ〜相手をシメます」
「だろう!それがマトモな人間だがね。それをこいつらと云ったら……..伝票は分けてくれ。奢る気は全く持ってねえからな。ほら!トロでもウニでも好きなもん頼まんかい!頼めったら!頼めよ」
「………………….」

マスター!それだけスネたらもう充分だろ。
本当恥ずかしい男なるなりである(≧∇≦)