北新地競馬交友録

同じ差し馬でも…….

『人間見水 天見瑠璃 餓鬼見火 魚見宮殿』
仏教の経典に書かれている一文である。
現代語に置き換えると、「 人、水を見れば水と思い、天 、水を見れば瑠璃と思い、鬼、水を見れば火と思い、魚、水を見れば室と思う。」
同じものでも、見る人が違えば見方が異なるという意味であろう。

「豊大明神のアウォーディーが強いのは、芦◯崇信幼稚園ひまわり組の真司君でも判らあね。死角があるとしたら抜け出してからソラを使う事だろう。過去のレースの着差を見てもそりは間違いねえ。前に行く馬で太刀打ち出来るのはいねえから、金星を上げるなら後ろから突っ込んで来る馬だ。俺ぁ去勢明けを一発叩いて馬体も回復基調、屋根が世界NO1と自他共に認めるムーアのノンコちゃんがいいと思う」とマスター。
その見立ては大筋間違いではなかったのだが……。

「第4コーナーを回って直線モンドクラッセ先頭!400を通過!アスカノロマンが追って来る!外からゴールドドリーム!コパノリッキー!その外!アウォーディー」
スタートはまずまずのノンコノユメだったが、ムーアJが押しに押すがどうにも前に進まない様を見たマスター「ゴラァ!何やってんだよ!行けよ!この野郎!あ、もう野郎じゃねえか!何でもいい!行けったら行け!情けねえったらありゃしねえ」とボヤキ倒している。

「先頭はモンドクラッセ粘っている!外から鞭を振るってアスカノロマン!200を通過!更にその外アウォーディーだ!アウォーディー先頭!サウンドトゥルー!追い込んで来る!サウンドトゥルー!サウンドトゥルーだ!一気に捉えて先頭!ゴールイン!豪脚一閃!」
1着 サウンドトゥルー 大野J
2着 アウォーディー 豊大明神
3着 アスカノロマン 和田J
6着 ノンコノユメ ムーアJ

「ムーアの野郎、世界イチとか煽てられて調子こいてんじゃねえか。ナシはナシでも来たのは拓弥のサウンドトゥルーの方とはよ〜。あんたなんてまだまだ青臭いわ。私の方がキャリアが長いのよ!てか。新宿二丁目じゃねえって〜の」といい泣きが入っている横で、「いくら付きますかね?」と競馬友達のK君。
「ナヌ?君サウンドトゥルー買ってたのか?」
「枠連です。2枠は鉄板でしたから、追い込み馬2頭が同居する5枠との一点買いですよ」と馬券をヒラヒラさせているんだから立派なものである(^O^)/

「僕もマスターと同じくアウォーディーと勝負になるのは後ろからの馬と思ってました。上がりの脚ならゴールドドリームも怖かったんですが、古馬と走ってボロ負けしたキョウエイギアにちぎられてますから、人気先行との読みです。ならば残るは5枠の2頭じゃないかと…………」延々と続くK君の講釈にブチ切れ寸前のマスター。
「大した!たまげた!驚いた!今日の反省会は馬券の天才にゴチになるか。蟹も解禁になった事だし『西村屋』でいいや」

「お屋形様!ご無体な〜。儲けが吹っ飛びます。『くら寿司』でご勘弁のほど」
「バッキャロー!俺に回ってる寿司食えってえのか?まさか、まさか冗談だろ」
「魚◯辺りで手を打ってくださいよ」
「ぶっちぎり寿司か?あ〜あノンコがぶっちぎってくれてたらよ〜……..」とどこまでもしつこいマスターなのである。
同じ差し馬と思っていても、一頭に絞るのは危険と一枚落として枠連を選択したK君。
君は偉い!

皆様、お付き合いありがとうございました。
またのお付き合い宜しくお願い申し上げます。