北新地競馬交友録

披露宴にて その1

普段何気なく使っている『冠婚葬祭』
漢字1文字づつに意味がある。
『冠』は成人式を意味し、かつては15歳に元服し冠を頂く事から来ている。
「今日からユーも大人ですよ〜」
『婚』は文字通り結婚を意味し、バードで云えばツガイになりましたと世間様に発表する儀式が結婚式。
「これから2人で人生を歩んで行きます!」
『葬』は葬式の意味で、故人と遺族ないしは残された知人との別れの儀式。
「故人は素晴らしい方でした 涙」
『祭』は先祖の霊をまつる事全般をさし、法事やお盆などがこれにあたる。
「もう三回忌とはあっと云う間ですな〜」

まともな人間ならこの『冠婚葬祭』に関わる機会が数多くあり、おめでたい結婚式なんぞは、頑固炉端「喜んで!」なのだが、まともでないのがマスターである。
若い頃から『冠婚葬祭』が大の苦手で、逃げ回っている。
挙げ句の果てに、自分の父親が死んだ時でさえ、「葬式どうしても出んといけんの?ユー達で適当にやっといてくんねえかな〜シクヨロ」
「あんた長男やろが!」マミー芳子ちゃんが激怒したのは記憶に新しいところである。

そんなマスターが今週の日曜日結婚披露宴に出席する事となった。
新郎は京都馬主協会のお偉いさんが運営する医療法人で重責を担っているY君。
4年チョットの間に、クリニックを新たに7つも立ち上げ大躍進を遂げた立役者だ。
無類の競馬好きで、マスターとの付き合いもかれこれ8年になり、新婦は調剤薬局に勤める才女である。

「なんだかこのテーブルだけ浮いてませんか?」
「そんな事ないんやないか」
「ですかね〜。だって周りは新郎新婦の仕事の絡みで、医療関係の方が多いせいか、いたって大人しそうな人ばっかですよ。バット!このテーブルは馬主さんが5名。北海道の牧場関係者が2名、でわたしでしょ。何か違和感があんですよね〜」とマスター。
確かに京都馬主協会会員のMさんなどは、披露宴が始まるまで、披露宴会場の前におかれたソファーにどかっと腰掛け、『競馬ニホン』と睨めっこしているのだから異質と云えば異質である(≧∇≦)

「そんなんどうでもええがな。ご祝儀で馬券買うで。こう云う時は当たるからな。マスター京都10Rは何がええんや?ヨヨギマック買いたんやけど」と、iPad miniを片手に阪神馬主協会会員のNさん。
「そのレースは簡単です。実力1番は『平城京S』を一発叩いた、よついのトップディーボォ、相手は6枠2頭で、弘平のマイティーティーと幸四郎のコクスイセン。前々で太のアドマイヤシャイまで。叩き3戦目のヨヨギマックを買うなら3連系の馬券しか可能性がありません」
「マスターの贔屓中谷Jのリーゼントロックは?」
「あ〜無理!無理。ここではまだ家賃が高すぎますよ」と講釈を垂れたのだが……。

1着 マイティーティー 松山J
2着 リーゼントロック 中谷J
3着 ヨヨギマック ジェントル幸J
馬連が8120円、3連単は69120円と荒れた。
美味しい料理をパクついていたマスターに、「リーゼントロック来たがな!2着やで」とお怒りのNさん。
「マ!マジカルですか。雄太の野郎、ハマの番長と個人的に仲がいいもんだからシャカリキになりやがったな。普段からそれぐれえの気合いで乗れってんだよな〜。今度意見してやんなくちゃ」
自分が馬券を買ってないもんだから、ビールを馬鹿飲みして与太を飛ばしているとは、マスターはどうしようもない人間なるなりである(~_~;)

そんなこんなで式も進み、披露宴最大のクライマックス。
新婦が読み上げるご両親への手紙を迎える事となる。
午後1時15分から始まった披露宴。
ニャンと!そのクライマックスが秋の大一番『天皇賞』のスタートと被さったからさあ〜大変だ。
感激してハンカチで目元を拭う招待客がワンサカの場面で、マスターのテーブルだけは………….。
そのお話しは明日です。

皆様、お付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます。