北新地競馬交友録

思い上がり

西村寿行と云う作家がいた。
香川県男木島の出身で父は元満州馬賊と云う環境で育ったタフガイ。
動物に対する造詣が深く、『犬笛』を始めとする一連の作品にそれが色濃く流れている。
その西村寿行の作品の中でも、随分と話題になったのが『蒼茫の大地、滅ぶ』
中国大陸で大量発生したトノサマバッタが日本海を渡り、東北地方に襲いかかり農作物を食い尽くす。
やがて東北地方のみならず、日本全体に飢餓の危険が迫る。
この未曾有の自然災害にあっても日本政府は、人々が飢え故郷を捨てるに至った東北地方を最優先に救済することなく、ついに東北6県は「奥州国」として日本国からの独立を図ると云うストーリーだ。
狂言回しとしてトノサマバッタにスポットを当てながらも、日本の地方自治政策が抱える問題点と中央集権の施策を批判している秀作である。

『新潟ショック』と云うワードがマスコミを賑わせている。
先日の新潟県知事選で、与党が押す候補がコテンパン太郎に敗れた。
争点は『柏崎刈羽原発』の再稼働だ。
再稼働を是とする与党が押す候補者に、新潟県民は、現状のままではNOとの判断を下した。
滋賀、鹿児島に続いての3連敗に、和歌山の暴れん坊は「原発にもっと理解が得られるよう努力することも重要だ。即刻、敗因を検討したい」と述べたが、ピントがズレている。
表だった争点は『柏崎刈羽原発再稼働』だが、何年経っても復興しない福島の惨状と、「自分達さえよければ、地方の事なんか知った事じゃない。その代わりに交付金をやってるじゃないか」そんな腹の中が透けて見える中央への反発が根っこにはある。

選挙公示直後は大楽勝ムードながら、途中の世論調査で野党候補の急追が報じられ大慌て。
応援のテコ入れのみならず、現知事を党本部に呼び付け、圧を掛けたと思われても仕方がない所業に及んだのであるから、なにをか云わんやである。
それに輪を掛けて酷いのが、自らをどじょうと称した元総理と蓮舫ちゃん。
接戦と知るや、支援団体の顔色を伺って、立候補するなら党籍を離れろと離党させ、推薦もなしと切り捨てた候補者の応援演説に駆けつけたと云うのだから、人を馬鹿にするにもほどがある。
どじょう元総理の言い草が仰け反る。
「『オール新潟』で戦った結果だ。安倍政権に対する県民の怒りの声も表れたのではないか」
オールも何も、元々新潟5区の国政選挙で推薦する予定の候補者を推薦せず、自主投票にした事にほっかむりをしているのだから、開いた口が塞がらないとはこの事である。

今回の選挙に限らず、沖縄の基地問題でも、「結局金目でしょ!」だけでは、もう済まされない時代になっている事がハッキリしている。
以前、あの橋下さんが、全国知事会で「沖縄の負担軽減のために、米軍の訓練を八尾空港で……..舞洲に米軍基地を…….」と発言したら、それまで「沖縄ばかりに苦労させるのは忍びない」と云っていた知事連中が貝のように押し黙ったと云うのは有名な話し。
地元を大切にするのは結構だが、それではこの国は変わるまい。
国民も一部の政治家もその事には気付きだしていると思いたい。
昔から「人の痛いのは100年我慢出来る」と云う言葉がある。
もちろん私も含めて、快適さを享受している都市の人間は、いやな物を地方に押し付けて「金を出してるだろ」と云う思いが上がった姿勢を、真摯に反省せねばなるまい。
国政政党は余りにもだらしない、西村寿行の『蒼茫の大地、滅ぶ』では東北6県がスクラムを組んだが、是非、全国規模で心ある政治家がスクラムを組んで貰いたいなるなりである。

「へへ、『スプリンターズS』から『平城京S』『毎日王冠』『京都大賞典』『府中牝馬S』と5連勝。外れる気がしねえよ」とそっくり返っていたマスター。
「ボックス馬券でいてこましたらんかい。内から叩いてどうかデムーロのジュエラー、差し脚一番豊大明神のレッドアヴァンセ、前走不利を受けたプリンスのヴィブロス、1000勝ジョッキーの仲間入りウチパクのデンコウアンジュ、勢いなら圭太のビッシュ、折り合いさえつけばでよついのカイザーバル、栄彦久々の晴れ舞台ダイワドレッサーの7頭、3連複ボックス35点張り。ガミもあるが高目で決まる可能性もある。それにもう一頭!怖い康成のクロコスミアが全然人気がねえから複勝で押さえれば何とかなるんじゃねえか」とG1『秋華賞』に4万円を張り付けた。
口では難しい、難しいと云いながら、18頭の内複勝も入れたら8頭も指名しているんだから、なんか当たるだろうとタカをくくっていたのだが……….。

「さあ!直線!粘り込みを図るクロコスミア!外からカイザーバルが突っ込んで来る!パールコードも脚を伸ばし来た!内からジュエラー!内からジュエラー!」
「おっしゃ!四位!追え!追えよ!デムーロ来い!ズブズブに差しちまえ!」と神戸元町ウインズで大絶叫。
「お〜外を突いてヴィブロスが伸びて来る!パールコード!ヴィブロス!パールコード!ヴィブロス!先頭ヴィブロス!ゴールイン!2着パールコード!3着カイザーバル」
1着 ヴィブロス プリンス
2着 パールコード 川田J
3着 カイザーバル 四位J

「ねえよ!ねえ!3番がねえ!」とマスター大騒ぎ。
「そりゃ〜買ってないんだから、ある訳ないでしょ」と云いたいところだが、そんな事を云った日にゃ〜、かかと落としの連発を喰らうのは火を見るより明らかで、◯原さんもK君も下を向いて床に散乱している馬券をじっと見つめている(~_~;)
「パールコード?なんじゃい!こんな馬出てたのか。俺ぁ聞いてねえよ〜」
(ユー!ダチョウ倶楽部か 笑)
「マスター、4番人気です」
「マジカル(≧∇≦)あ〜あもうちっと真面目に馬柱見るんだったぜ」
(金曜日から穴を開くほど馬柱を見てましたけどね 爆)
さすがウン十年負け続けてるだけあって、案外あっさりと敗北宣言だ。

チョイと当たりが続いたからと云って、思い上がっていた様は、どっかの国の政治家とクリソツ。
マスター!心を入れ替えて、真摯に競馬をやんないとダチカンゾ!

明日も書かせていただきます。
お付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。