北新地競馬交友録

デストロイヤー

50歳を過ぎてからダイビングを初体験したマスター。
きっかけは当時付き合っていた女の子がダイビング好き。
グァムに旅行に行った時に、女の子はダイビング、マスターはビーチで砂遊び。
「高え〜マニー出して海外に来て、おっさん1人で砂遊びとは、情けなくて涙がちょちょぎれるぜ。ライセンス取るしかなかんべ」
そう、基本ダイビングはライセンスがないと出来ない。
その3ヶ月後無事ライセンスを取得したものの、女の子が行方不明になった。
簡単に云えば振られたのである(笑)
それでダイビングと縁がなくなるかと思いきやこれが嵌った。

ニャンと!既に潜ったタンクの本数は500本を越えている。
お金に換算するとタンク代金だけでも250万以上。
旅費を含めると1000万は優に越えているんだから随分高くつく遊びである。
25Kgを超える機材を背負って海の中に飛び込めば、完全に無重力の世界。
聞こえるのはレギュレターから吐く泡の音のみだ。
頭の中を空っぽにして、お魚と戯れ自然と一体になる。
日頃の憂さを全て忘れられる遊びなのである。

「生まれて初めてクジラを海の中で見た!マンモスラッキー!」
「いや〜楽しかったね〜。沖縄はやっぱ透明度が違うわ」
「アオウミガメが可愛いかった〜」
那覇から高速クルーザーで1時間。
慶良間諸島で潜った帰り、船の上は自然にすっぽり抱かれて、ダイバー全員が幸せな気分でその余韻に浸っているのだが………2階のデッキでアイホンに耳を当て仁王立ちしている男が1人。
もちろん欲と二人三脚、大阪北新地最狂!馬券オヤジのマスターである。

「さ〜直線!内ラチ沿い逃げるマイネルハニー!振り切って2馬身のリード!追っている8番のプランスシャルマン!差を詰めにかかる200を切った!」
先手を奪った柴田Jのマイネルハニーが逃げる!逃げる。
「おっしゃ!大知!大知!逃げろ!逃げやがれ!そのまんまじゃ〜」
他のダイバー達が汚いものでも見るかのように、眉を顰めてマスターにシャープな視線を注ぐが、そんな事は歯牙にも掛けない。

「1番のマウントロブソン外に出して3番手!その外からロードクエスト4番手から3番手を伺っている!逃げる4番マイネルハニー!1番のマウントロブソン!並んだ!並んだ!ゴールイン!」
クラッシックの前哨戦『スプリングS』で、複勝を買っているマイネルハニーが馬券になった。
「人気があるのは強いから」
1番人気大好きマスターとしては5番人気を仕留めたんだから大金星である。

「マスターさん!おめでとうございます。マイネルハニー2着は確保してますよ」
神戸元町ウインズの○原さんから携帯に連絡が、「あたしまえよ〜。だから俺が云っただろ。8枠に追いやられた謙一ロードクエストと豊大明神ドレッドノータスは寒いとよ〜。オメー達も取ったんだろうな?もし買ってなかったら承知しねえぞ!」
クルーザーのエンジンの音も吹っ飛ぶぐらいの大声でべしゃりまくるマスター。

「マスターKです。220円付きましたよ」
「安っすいな〜(`_´)ゞやんなっちゃうぜ。ロードクエストなんて飛びゃ〜良かったんだ。謙一の野郎余計な事しやがって、ね〜皆さん!」
と他のダイバー達に同意を求めるも、完全にシカトされている。
「220円しか付かないんですよ。にひゃくにじゅうえん!」
またまた当然シカト(≧∇≦)
マスターは、自然に抱かれた幸せな気分を壊すデストロイヤーだ。

誰だ!こんなオッさん船に乗せたのは!自然を愛するダイバーの皆さんの、怨嗟の声が聞こえて来るようである(((o(*゚▽゚*)o)))

皆様、お付き合いありがとうございました。
明日は久振りに『雄太貯金』発動。
12万1点張りの顛末でございます。
宜しくお願い致します!