北新地競馬交友録

春一番

『春一番』 by キャンディーズ

雪が溶けて川になって 流れて行きます
つくしの子がはずかしげに 顔を出します
もうすぐ春ですねえ ちょっと気取ってみませんか
風が吹いて暖かさを 運んで来ました
どこかの子が隣の子を 迎えに来ました
もうすぐ春ですねえ 彼を誘ってみませんか
泣いてばかりいたって 幸せは来ないから
重いコート脱いで 出かけませんか
もうすぐ春ですねえ 恋をしてみませんか

2月14日の日曜日。
気温はドンドン上昇して、春一番が吹き荒れた。
神戸もそこはかかとなく春の気配が漂い出していたのだが…….。

「上がり最速を連発しているレーヴミストラル。京都の2200は最近スローなレースが増えて、以前ほど差しが圧倒的優位と云うほどじゃ〜ねえが、やっぱ末が切れなきゃ話しにならねえ。このメンバーなら託して安心◯東健託よ。末はG1の一個や二個は取れる力がある」
「マスター、馬場がかなり悪いですが大丈夫ですか?」と競馬友達K君。
「問題はそれよ!パンパンの良馬場がキボンヌだが、重馬場『AJCC杯』の走りを見る限り、ノメって走り辛そうにしてる訳でもねえ。普通に中段やや後方に付けれてんだから大丈夫だろ。相手は難しいが差し比べなら『有馬記念』でいい末脚を繰り出した老いて盛んトーセンレーヴ、同じく『有馬記念』4着マリアライトにクビ、ハナまで『エリザベス女王杯』で肉薄したタッチングスピーチ。楽逃げでノコッタ!ノコッタ!のスズカデヴィアスかな。バット馬場が悪ぃ〜と紛れもあるから、レーヴミストラルの単勝でいいだろう」とマスター。

「な!なんじゃ!コリャ?」
モニターを見て、『太陽にはえろ』ジーパン刑事こと故松田優作の殉職シーンのような声を発したマスター。
ニャンと!レーヴミストラルの単勝が4.5倍も付くなんて信じられないと、我が目を疑って何度もまばたきを繰り返している。
1番人気はヤマカツエースである。
「俺ぁ〜『中山金杯』で取らして貰ったから、ケチは付けたくねえが、スローペースの楽な競馬での勝利。
相手関係も弱っちかったぜ。いくら馬場が悪くても末が甘えしな。レーヴミストラルと比べたら可哀想よ。まだ4歳だから先々は強くなるだうが、今回は鴨がネギどころか、白菜まで背って来たようなもんよ!」と一刀両断。
最終的にはレーヴミストラルが1番人気になったが、レースの前からもう取った気でいたとはオベデタイ限りである。

いきなり出遅れたレーヴミストラル。
◯原さんがチラリとマスターを見るも、「慌てるな!先は長えんだ!」と余裕をかましている。
バット!1000mの通過タイムが1.03.6の表示を見て、「おい!そろそろ行けよ!届かねえぞ!」
先頭から大きく離された最後方( ̄(工) ̄)
馬群のお尻からでも4馬身以上はあるんだから流石に焦り出した。
「あんにゃろう!何やってんだ!オラ!行けよ!行けってんだ!」
頭から湯気出して怒り爆発だ。
「200を切った!堂々抜けた7番サトノクラウンが先頭だ!外からヤマカツエースが追ってくる!更にはタッチングスピーチ!ヒストリカル!内は2番アドマイヤデウス!これらは2着争いまで!7番サトノクラウンが3馬身リードでゴール」

レーヴミストラルはまるでいいとこなしの12着。
こんな酷いレースになるなんて、お釈迦様でも弁天様でも夢にも思うまい。
「信じられねえレースしやがって!頭がグラグラよ。買った俺が馬鹿と云ったらそれまでだが、ありゃ許されねえよ。な〜◯原さん!」
◯原さんこう云う時は近寄らないのが1番と、後ずさりしながら、両手を広げてドウシヨウモアリマセンのポーズ。
マスターの怒りに油を注いだのが、レース後のコメントだ。
「この馬場では全く無理でした」
「また言い訳かよ!無理なら出るな!」

台湾料理『◯玉食堂』で、紹興酒の入ったグラスをテーブルに打ち付ける、神戸元町午後5時前。
店の外は春一番が吹き荒れているが、マスターの春はまだまだ遠いのである(≧∇≦)

皆様、お付き合いありがとうございました。
明日は、思い出の『フェブラリーS』です。
宜しくお願い致します。