北新地競馬交友録

浦島太郎とマスター

昔昔、浦島は
助けた亀に連れられて、
龍宮城へ来てみれば、
絵にもかけない美しさ。

乙姫様の御馳走に、
鯛や比目魚の舞踊、
ただ珍しくおもしろく
月日のたつのも夢の中

「マスター!何してんですか?明日は一年のスタート『東西金杯』ですよ」
「K君、明けましておめでとう。今年もヨロシコ」
「ヨロシコじゃないでしょ。ボケちゃったんですか(^^;;」
昨年末の31日から、沖縄に趣味のダイビングが目的で行っているマスターに、K君から連絡が入ったのは4日の夕方の事。
どうやら競馬の事を忘れちゃってたようだ。

「こんな暖かい正月は久々よ。毎年ボートの上で震えてるんだが…….。
5日間潜って、亀を30匹は見たかな〜。競馬ね〜、だって沖縄ではスポーツ新聞に競馬欄がねえんだもん。K君適当に予想しといてくんねえか。これから沖縄のお嬢さんと食事に行くからさ。悪ぃ〜な」
まるで、悪びれた風もない。
「そんな事云ってると、競馬の神様に愛想尽かされますよ」
「そ、それは怖い(; ̄ェ ̄)年間回収率50%なんて事になったら俺の場合生死に関わる」と、出馬表をおっとり刀でネットで見たんだが……….。

「なんじゃ!こりゃ?西はどんぐりの背比べで、勝ってもおかしくない馬が8頭はいるじゃねえか。こんなの当たる訳なんかんべ。東は?あちゃ〜こっちも難しいな。フルーキー、ベルーフ、ヤマカツエース、ブライトエンブレム、ネオリアリズム。西よりゃマシだがこっちも大混戦よ。K君、君の見解はどうない?」
「デムーロJが乗るフルーキーじゃないですか?」
「正月早々、外人て云うのもな〜。ここは紋付羽織袴が似合いそうな、謙一のヤマカツエースでいいんじゃねえの」
「…………..年が変わったと云うのに、相変わらずいい加減ですね」
「はい、はい申し訳ございません!これでいいんだろ!」

浦島太郎じゃないが、沖縄で亀さんや、乙姫様に癒されて、スッカリ競馬の事を忘れていたマスター。
ネットの出馬表を3分見ただけで当たるほど競馬は甘くないと思うんだが……..。
全く持って年明けから前途多難である。