北新地競馬交友録

競馬は『オーラの泉』よりも深い

スーパーに買い物に行くと、おせち料理予約のポスターがあちらこちらに張られている。
もう世間様は年末年始を意識したモードに突入だ。
年末と云えば、国民的番組『紅白歌合戦』の司会をタモリさんが断ったそうな。
アリアリは流石余裕がある。
並の芸能人なら土下座してでもさせて貰いたいだろうに。
もっともここ10年ぐらいはまともに見た事がない。
お子ちゃまの学芸会のような飛んだり跳ねたりは、馬鹿馬鹿しくて見るだけ時間の無駄とマスター。

そのマスターが珍しく「う〜ん」と唸ったのが3年前の美輪明宏さん。
『ヨイトマケの唄』には強烈なインパクトがあった。
77歳となった美輪明宏さんが年齢を感じさせない声で歌い上げたのだが、ご本人の人生の重みを感じさせる歌声は巧拙を超えた世界を作り出していた。
この美輪明宏さん、江原啓之さん、国分太一さんが出演していたのが、『オーラの泉』
胡散臭さ満載の番組だったが、たまに美輪明宏さんがポロリと発する言葉には含蓄があった。

その中でも記憶に残っているのが、「一番肝心なことは、悪いことが起きたからといって、嘆き悲しむことはないということです。悪いことは長く続きませんから。そのかわり、良いこともまた長くは続かない……..」
悪い事と良いことは代わりばんこにやって来るから、一喜一憂してアタフタしなさんなと云う意味だろう。
まあ〜普通なら納得で、随分と気分が楽になる言葉だが、競馬の場合は少し違う。
どうにも予測は不可能だし、悪い事の後に良い事がくるかどうかなんて誰にも判らない。
うっかりすると、平気で悪い事が続くのが競馬だ。

「ここじゃどうかな?元々ダートしか走らねえし芝はからっきし。8着以内に来りゃ上等だろう」
その昔、日本の総理大臣がスローガンにした『所得倍増計画』をパクリンチョ。
『雄太貯金倍増週間』と銘打って、「今週は儲け倒してやるぜ!」と意気込んだマスター。
新潟9Rのアースコネクターで冷や汗をかきながらもプラス計上だ。
「今日の中谷Jは6Rのランドオザリールで勝ってますし、アースコネクターもこれ以上はない乗り方で3着。ロケットダッシュも怖いんじゃ?」
「無理!無理。最終ケントオーまでじっと我慢の大二郎、チャンの仕事は刺客ぞ〜な〜てなもんよ」
競馬友達K君の進言を一蹴した。

「残り200を切った!外ラチ沿いをエルカミーノレアル、最内レッドキャンティー、ロケットダッシュも突っ込んだ〜!」
ニャンと!中谷Jのロケットダッシュが2着。
誰しも考える事は同じで12番人気と、まったく売れてなかったもんだから、さ〜大変だ。
複勝1710円、馬連が61300円、3連単702150円の大万馬券。
もちろん人気薄で2着に来たのは嬉しいが、こんな事ってΣ(゚д゚lll)
「マスターさん、中谷J絶好調ですね。最終も楽しみです」○原さんの信頼は更に強まったようだが……..。

「いやな予感がする」
「マスターさん風邪ですか?」
「そりゃ悪寒だ。6Rが5番人気で1着。9Rが3番人気で3着。10Rは14番人気で17着だが、メインが12番人気でハナ差の2着。いくら乗れてるからって……………」
「マスター!何悩んでるんですか、締め切りまで5分切りましたよ」
マスター携帯の向こうで「う〜ん」と唸ったきり無言。
テレビやラジオなら立派な放送事故だ。
「ケントオーの複勝2万。9Rで浮いた分だけ張る。このレースも馬券になるとは……..」
「え!たった2万ですか?マスターさん今日の中谷Jは絶好調ですよ」
「…………..」

「エイブルボス!エイブルボス!外からオンタケハート!」
後方から馬群を捌いて内へコース取りをしたケントオー。
「差せ!雄太!差してくれ!頼む〜」
マスター、K君、○原さんの絶叫がこだまする、○灘区と元町ウインズ午後4時過ぎ。
残念無念の6着だ(≧∇≦)
新潟で中谷Jが大活躍したのに、結局利益は僅か1940円とは泣けてくる。
救いは最終Rでドカン!と購入しなかった事ぐらいだ。

「マスター、今日はレース選択間違えて儲けそこないましたね」
「ば!馬鹿野郎!競馬はいい事が一回ありゃ、悪い事が3〜4回続くのがあたり前よ。トータルで損しなかっただけメッケもんだ。雄太は間違いなく乗れてるぜ。明日の日曜日に勝負を掛ける。○原さんフラフラすんじゃねえぞ。真っ直ぐ帰って座禅でも組んどけ!」
「へい、へい」
「何だ!その物云いは!俺を馬鹿にしてんのか 怒」
「………………」
美輪明宏さん、全く持って競馬は『オーラの泉』よりも深いんですわΣ(゚д゚lll)

お付き合いありがとうございました。
明日は、ご贔屓浜中のスグルちゃんのお話しです。
宜しくお願い致します。