北新地競馬交友録

競馬とノーベル賞

ノーベル賞週間が終わった。
今年も文学賞を期待された村上春樹さんは落選。
有力候補と云われながら10年連続アウトである。
文学オタクのマスター。
もちのロンで全作品を読んでいる。
過去日本人で受賞した、大江健三郎さんと比べてみると、朧げながらその理由が判るような気がするそうな。

一言で云えばメッセージ性の欠落。
つまり、この資本主義社会に生きる人間の喪失感、孤独感、絶望感を描くことに関してはまさにジーニアス。
世界各国の若者を中心に『ハルキスト』と云う人種が蔓延するのは、至極当然だ。
しかし、そこには社会へ•人へのメッセージはない。
置き換えて云うならば、共感の文学とも云える。

大江健三郎さんの作品をマスターが読みだしたのは、読売テレビで『11PM』と云う番組が夜中に放送され、マミーの目を盗んでウォッチングしていた頃。
夜な夜な妄想に苛まれていた中坊時代だ。
『芽むしり仔撃ち』と云う作品がトッパシ。
体制と個人との関係を問題提起、そして自分の立ち位置を見事に表現していた。
その後の作品でも、常に社会にメッセージを送り続けている。

村上春樹さんが『共感の文学』なら、大江健三郎さんは『発信の文学』
どちらが上と云う事はない。
ノーベル文学賞選考委員の趣味じゃないかと思う。
そんなこんなで、村上春樹さんが連続して落選するのには勝手な理由付けが出来るのだが…….。

「マスター、デムーロ乗せるで」
「そうですか!そりゃ何よりです。元々1000万クラスで2.3着に来てましたし、降級500万を勝ち上がるのに3戦を要する馬ではありません。1000万でもいいレース期待してます」
「おう!」
週の半ばマスターと馬主さんとの会話。
京都馬主協会のお偉いさんの愛馬ガンジーが、月曜日京都9R『円山特別』に出陣だ。

「マスター、ガンジー来ますかね?」
「そりゃ来るだろ、イタリアの至宝デムーロを配して万全の出走。しかもノーベル賞で盛り上がったところだしな」
「それ関係ありますかね〜?」
「ある!大いにある。競馬と世の中の事とは常に連動してっからよ」
「馬券の種類はどうしますか?」
「どうしますか〜?だ〜?馬鹿じゃねえの。豊様のスーサンジョイって怪物がいてらあね。9回走って新馬の4着以外は1着3回、2着4回、3着1回だぜ。末はオープン間違いなし。馬連1点勝負と行きたいところだが、安全策でワイド1点だ。○原さん幾ら付く?」

小猿のようなスピードでアイホンを操作した○原さん。
「4.7〜5.5です」
「お〜いいじゃねえか。上等!上等!福島上等カレーよ。苦しゅうないオメー達も乗れ」
好スタートから好位に付けたガンジー。
インをピッタリ回って直線。
先行したスーサンジョイが抜けるも、必死でデムーロJが追う。
その外から優作Jのアクションバイオがビッシリ馬体を併せて来たから、さ〜大変Σ(゚д゚lll)

「ピンチ!ピンチ!デムーロ抜けろ!この野郎!抜けろってんだ!」
マスター、K君、○原さん。
3人とも同じ馬券を持っているもんだから、床を鳴らして渾身の応援だ。
「よっしゃ!デケタ〜!さすがデムーロよ」
外から被せられても何のその、力強くインから抜け出した。
ダイリュウキセキの秋山Jが追い込むも、はい!ご苦労さんてなもんだ。
配当が4ー12番で470円。
3人揃って万歳三唱だ。

「マスターのお世話になっている馬主さんなら勝って欲しかったですね」
「もちろんそうよ。バット!豊様の馬はとっとと上のクラスに行って貰や〜いいんだ」
「そう云えば、ガンジーさんてノーベル平和賞取りましたっけ?」とK君。
「村上春樹の10回にゃ負けるが、4.5回候補になった。当時は国際情勢が微妙でよ〜……..。今なら5万%受賞してらあね。その点競馬は公正でいいや。な〜○原さん」
「ピース!です」

お付き合いありがとうございました。
明日は、いよいよ中谷Jニシケンモノノフのお話しです。
宜しくお願い申し上げます。