北新地競馬交友録

雄太貯金 その2

TPP交渉がやっと大筋合意に達した。
本当に「国家100年の計であり。私達の生活を豊かにしてくれる」かはさて置き、甘利さんはヘトヘトになるまで頑張った事は確か。
TPP構想のスタートから5年。
我がJAPANが参加してから2年以上に渡り揉めに揉めた。
今後の世界を左右すると云っても過言ではないTPPを引き合いに出すのはおこがましいが、マスターの始めた『雄太貯金』もいきなり揉めに揉めた。

「諸君!まずは阪神土曜日の1Rキョウエイギアで勝負を掛けたいと思う。阪神ダート1800新馬戦のリプレイを10回は見たが、3角を回る時点では最後方の絶望的な位置よ。普通ならそのままなだれ込んで、あ〜あダメだ〜となるところだが、そっから渋とく伸びての3着だぜ。末脚があるのは間違いねえし、スタミナも半端ねえ。クレバーな雄太の事だ、今回は少々馬が嫌がっても好位に取り付くだろう。叩き合いになりゃ〜勝てる。怖いのは芝からダート替わりの馬だが………」

「さすがマスターさんです。リプレイを10回も見るなんて凄いですね」
「あたりめ〜よ。皆の大切なマニーを賭けるんだ、生半可な事じゃ推奨しねよ。単複でいいと思う」
「激しく同意します!」とK君。
「意義なしです」と○原さん。
10回見たから当たるなんて事はないが、マスターの熱のこもった説明に一同納得だ。
ここまでは良かったんだが……..。

「じゃ〜K君、土曜日、朝イチからご苦労だが、神戸元町ウインズで単複各1万購入してくれ。宜しく哀愁だ」
「ちょっと待った〜!」
大昔、一世風靡セピアした『ねるとん紅鯨団』のようなLINEが。
「最初から2万円も買うんですか。5万もあれば、一週間1千円なら一年楽しめますよ。いきなり外れたらどうするんですか」
日頃、自己主張を殆どしない○原さんから待ったが掛かった。

「○原さんよ〜。『雄太貯金』は楽しむためにやるんじゃねえんだ。増やすためにやるんだぜ。最低これぐれえは賭けなきゃどうしようもねえじゃん。単に楽しむだけならリーディング上位ジョッキーの、勝ちそうな馬の単複を500円ずつ買ってりゃ、100回に90回は当たるだろうが……..」
「でも5万の内の2万も一回に賭けるなんて危険ですよ。マスターもよく云ってるじゃないですか、競馬は1キロ以上走ってクビ差、ハナ差で天国と地獄。人智の及ばぬ世界だって」
TTP交渉で云うなら、ニュージーランド並の粘り腰で異議を唱える○原さんΣ(゚д゚lll)

「そこまで云うなら、もういいや。○原さん抜けなよ」
シ〜ン。
あれ程賑やかにやり取りしていたLINEのグループトークが沈黙した。
そこで、「こりゃいけない」と時の氏神になったのがK君だ。
「○原さんの気持ちは判ります。僕もそう思いますが、マスターがここまで自信があると云ってるんですから、初回は顔を立ててあげましょう。ハズレたら次回からは、○原さんの云うように少額購入と云う事で。マスター!それでいいですね」
「雄太に馬担いででも来て貰うから俺はいいぜ」
「……………..」

スタートして5〜6番手に着けたキョウエイギア。
「3.4コーナーの中間、残り600を切った〜、キョウエイギアが先頭に並び掛けて行く」
さすがクレバー中谷Jだ。
新馬戦とは打って変って、好位から早めの仕掛け。
「直線を向いた〜、キョウエイギアがアメリカンイナズマを交わす。突き放した!突き放した!2馬身、3馬身、4馬身!楽勝だ〜!」

さすがに土曜日の1Rは起きれないと、○灘区のマンションでグリーンチャンネルを見ていたマスター。
「どんなもんだい!雄太が1着になるのは江戸時代から決まってんだ」なんて、ありもしない事を云って大騒ぎ。
神戸元町ウインズでは、K君と○原さんが「中谷J!日本一!」
単勝530円、複勝140円付いたんだからこれは美味しい。
2万円が6万7千円になった。

お詫びと感謝のLINEを一生懸命打つ○原さん。
バット返信どころか、既読の文字すらつかない。
ニャンと!マスター、携帯の電源を落としてたって云うんだから意地悪たらありゃしない。
必死でLINEを打ち続ける○原さんは哀れの極みだ(≧∇≦)
まあ〜それほどマジに反論されて、マスターも傷付いたって事だろうが……。
大人げないな〜(笑)

お付き合いありがとうございました。
明日も続きます。
皆様、宜しくお願い致します。