北新地競馬交友録

マスター即死を喰らうの巻 その3

神戸元町ウインズの周りには、沢山の食べ物屋さんや、喫茶店がある。
居酒屋、定食屋、並んでいる小鉢やお皿から好きな物を取る昭和の香りがプンプン匂う食堂まで。
日曜日のお昼に開いているそんな店に共通しているのは、ほぼ100%テレビが置いてあり競馬中継が流れている事だ。

3Rで即死を喰らったマスターとK君が、気分転換にと少し早い昼ごはんを食べていたのだが……..。
「マスター!中谷Jが………….」
お腹がくちくなって居眠りをしていたマスターを揺するK君。
「なんだよ!人がいい気持ちで寝てるのに」
「逃げてます!」
「そりゃ〜逃げる時もあら〜ね競馬なんだから……………なぬ!」

メイクデビュー5R。
ポンと飛び出した雄太が……..2着に残った。
ニャンと!単勝104倍15番人気のラッキースピードだ。
1番人気のキリシマオジョウとの馬連が、もう一度、ニャンと!16500円と云う仰け反りの配当。
「くそ〜、買いそびれた。昨日は予想紙見て、美浦からなんでこんなレースに出してるのか不思議だと思ってたんだ」

貧すりゃ鈍すとはまさにこの事で、3Rのショックでまるで頭から吹っ飛んでいたそうな。
「こら!いつまでぼんやりしてんだ。6Rは雄太が『浜の番長』の馬で勝負を掛けるはず。行くぞ!いつまでも死んでられっか。あ、それとな、ここの支払い宜しく。ごっそさんでした〜」
「マスター!ズルイですよ」
「はい、はい、どうせズルイですよわたくしは」

おっとり刀でウインズに取って返す『I LOVE DOMAGETI』のTシャツを着た2人。
外は35度とクラクラするような暑さだが、小走りのマスター。
そんなに慌てなくても馬券は売り切れないよ(笑)
即死を喰らっても平気で生き返る。
あんたはゾンビか!

まだ、続きます。
暑いのにスイマセン。
明日も、お付き合い宜しくお願い致します。