北新地競馬交友録

マスター即死を喰らうの巻 その1

賭け事は結局、薬局、郵便局で運に尽きる。
「験を担がずして何を担ぐんだ」が口ぐせのマスター。
恥ずかしくて、おじさんペアルックなんて着れないと云ってたくせに、競馬友達K君と『I LOVE DOMAGETI』のTシャツを着て、ホームグラウンドの神戸元町ウインズに朝から出陣。

「マスター!やめましょうよ。同じTシャツで行くのは、恥ずかしいです」
「ば!馬鹿野郎!これのお陰で先週は大儲けしたんだろうが。当たってる限り、ヨレヨレになろうが、破れようが、雪が降ろうが、ヤリが降ろうが着続けるからな」
当日の朝一悶着あったそうだが、マスターに逆らえるはずもなく……..。

「よ!お二人さん。今日も暑いな〜」
「は〜?誰だよ?気安く話しかけやがって。シッシーあっち行けよ」
「先週、大儲けしたやろ若い方のお兄さんが、ほれその時の……ワシ◯原云いますねん」
「はい!はい◯原さんまたな」
「冷たいな〜」

先週、ハナズリベンジのレース直後にK君を褒め倒した、小猿みたいなお父さんが近づいて来た。
まあ〜ウインズで、1人で馬券を買ってたら、誰かと話したくなるのは人情だし、マスターも自分がヨイショされてたならやぶさかじゃないんだろうが……。

「今日は何かええのあるか?教えてえな〜」
「何もない森進一よ」
「????」
「お父さん知らねえの?森進一の『えりも岬』。
えりもの春は〜何もない春ですって歌があんだろが。競馬って云うのは瞬きするヒマない間にお馬さんがゴールに殺到するんだ。先週はたまたまよ。悪ぃ事は云わない。家帰ってかあちゃん孝行でもしな」

マスターにじゃけんにされても、まとわりつく小猿◯原さん。
それを無視して、『明日のすぐるちゃん』で、NASAが開発したウルトラ合金より堅いと自信のショウナンハルカスのオッズをモニターで見て仰け反った。
ニャンと!単勝が1.5倍とはΣ(゚д゚lll)
ナンボ堅いと云ってもリスクが高過ぎるし、売れ過ぎなのも気になる。
不安を覚えたなら、やめりゃ〜いいのに……..。

お話しの続きはまた明日です。
皆様、お付き合い宜しくお願い致します。