北新地競馬交友録

ダービー 老いたるマスターの悩み

いまを遡る事300年以上前。
ヨーロッパで一世風靡セピアしたのが、『若きウェルテルの悩み』
ゲーテが道ならぬ恋に翻弄される青年の心情を余す事なく綴った作品。
悲劇的な結末に、ヨーロッパでは影響された若者の自殺者が続出した。

競馬友達K君と、オークスが終わって、神戸元町『民生』で小さなフカヒレをつつきながらの反省会。
「マスター、何でココロノアイにしたんですか?」
「K君、ありゃゴルフで云う所の置きに行っちまった。Blogがあんまし当たんない、当たんないと云われるもんだから……生涯最大のミスよ」
「勝ったのはマスターの大好きな浜中Jでしたもんね」
「そうよ!すぐるちゃん!マスター!の仲だって云うのに……..」
「嘘だ〜〜〜」

株屋のセールスマンならコンプライアンスに引っかかる発言だが、馬主さんと一緒に『Palms』に何度か来てるし、マスターも京都での内輪の飲み会に参加してるんだから、かなりのオーバートークではあるものの、完全に嘘と云う訳ではない。
道ですれ違っただけなら微妙だが、競馬場でなら、鉄板で認識して貰えるレベルのお付き合い。

お世話になっている馬主さん、騎手、調教師さんの馬の馬券を買って、心の底から応援するのが正しい競馬。
「ダービーは初心に返る。皐月賞で3着に粘った、すぐるちゃんのキタサンブラックで勝負」なんて云ってたが…..。
ニャンと月曜日発売の雑誌では、北村Jへ乗り替わり。
「馬主の北島サブちゃんは大好きだけど、こりゃ〜いただけない。全く持っていただけない」と嘆くマスター。

想定馬柱をギロっと睨んで出した結論が、ドゥラメンテとリアルスティール。
「なんだ〜そりゃ!断トツ1番人気と2番人気じゃないか」って?理由はあるらしい。
先日、立ち寄ってくれた、イタリアの至宝デムちゃんと、最近はお見限りだが、以前お世話になった調教師さんが管理する馬の組み合わせなんだと。

「難しい気性だがインでデムちゃんがためにためる。直線馬群がバラけた所で抜け出しを図る福永Jのリアルスティール。一呼吸置いてデムちゃんが………2頭の叩き合いになるのがハッキリ見える」とマスター。
あ〜それなのに、それなのに。
木曜日の枠順発表では、2頭とも7枠だ。
リアルスティールはともかく、ドゥラメンテの折り合いに不安が残る。

「あれこれ悩んでも仕方ねえ。何の関わりもない馬の馬券を買って後悔するぐれえなら、この2頭と心中だ!」
「馬連一点!よ!男前」K君あたりから声が掛かりそうだが…….。
「競馬の事だからワイド、いや2頭軸の3連複…….3連単1.2着にリバース掛けて……….」
『若きウェルテルの悩み』なら様になるが、老いたマスターの悩んでる姿は漫画でしかない。

マスター!ワイド1点。
諭吉ドン一個小隊出動だ。
勝負!