北新地競馬交友録

K君、オークスに散る

『男と女のラブゲーム』日野美歌&葵司朗

飲みすぎたのは あなたのせいよ
弱い女のいとしさを
飲みすぎたのは あなたのせいよ
可愛いおまえのつよがりを……..。

マスターのBAR『Palms』がある大阪北新地は恋の街。
紳士とホステスさんが、年がら年中恋愛ごっこを繰り広げている。
ヒエラルキーの頂点、クラブなら座っただけで、4万だ、やれ5万だってむしり取られるんだから、いくら紳士と云っても、何の楽しみもなけりゃ、馬鹿馬鹿しくて通ってられないと云うのは人情だ。

そんな男と女を見続けているマスター。
「女は魔物よ。関わり合ったら傷を負うのは必至。特に海千山千のホステスにかかったら、純な男なんてイチコロパンだぜ。クワバラクワバラ桑原和男。世の中から女がいなくなりゃ〜、争い事の大半はなくなる。もっとも北新地もなくなっちゃうから困るんだけどよ」だとか。

「マスター、モテないでしょ。顔が怖いもん」
「ああ、モテねえよ。産まれてこのかたモテた記憶がまるでねえ。バット!100人も声掛けりゃそそっかしい女が1人ぐれえ引っかから〜ね。女にゃ苦労したこた〜ねえよ」
(それを苦労してるって云うの 笑)
そんなマスターも50歳を過ぎてからは、浮いた話しの一つもない。
いい歳こいて、理解不能な女を信じ振り回されるのは真っ平。
男と女は同じ人類でもまるで別物なんだと。

「横典〜!横典〜!伸びろ!伸びてくれ頼ム!あ〜ダメだ〜」
神戸元町のウインズで、いい泣きが入ったのはマスターじゃなくて競馬友達のK君。
マスターのBlogを信じて買った馬券が、鼻も噛めないゴミと化した(≧∇≦)
「お〜、お〜気合い入れちゃって。ココロノアイでおっ死んだか?どれ馬券見せてみ」
「ほっといてください!マスターに云われたくありません。嘘つき!」

馬券をひったくるようにして確認したマスター。
単勝、複勝、馬連はココロノアイからBlogの6頭流し。
更に3連複1頭軸で、これまた相手6頭の15点まで買っていた。
「ありゃま!こんなに買っちゃって、馬鹿じゃねえの?俺なんかコレだけよ。コレだけ」
K君の鼻先で馬券をヒラヒラさせるマスター。
ニャンと!単複のガンバレ馬券、一目千円合計2千円だって云うから、これには温和なK君も怒った。
「日本一の乙女を決める最終決戦だ!」なんてラッパ鳴らしてたのに、云ってる事とやってる事がまるで違う。

「マスター!卑怯じゃないですか。2千円てなんですか、2千円て。恥ずかしくないんですか」
「全然、オークスは所詮女の闘いよ。気まぐれ、嘘つき、何でもありで理解不能。人間もお馬さんもそれは同じ。命より大切なマニーを、そんなあやふやなレースにつぎ込めるかってんだ」
逆ねじ喰らわされて、半分ベソをかいているK君。
2分半にも満たない時間で、普通のサラリーマン一ヶ月分のおこずかいが吹っ飛んだんだから同情に値する。

「まあ〜そう怒んなって。お詫びに中華でもご馳走すっからよ」
「どうせ王将でしょ」
「馬鹿野郎!誰に向かって口聞いてんだ。『第一楼』はチョイと敷居が高いが、『民生』なら死ぬ程食っていいからよ」
「エビチリ頼んでもいいですか?」
「お〜頼め!頼め!ついでにフカヒレのちっこいのも頼め」
(フカヒレの小さいの?マスターケチだな〜 笑)
2人でもう食べれないとお腹さすって、お会計が1万とちょい。
「馬券に比べたら、食いもんなんてほとんどタダみたいなもんだぜ!」だと。

ダービーは自信の馬から大勝負をかけると云うマスター。
儲けて、K君を『第一楼』に連れてってやれよ。
ついでにAKB48のCDも宜しくだ!