北新地競馬交友録

逃げ切り

昔の諺に『柄の無い所に柄をすげる』がある。
無理な言いがかりをつける、無理に言いがかりを付けて理屈を捏ねる事を云う。
このような所業は大概が、社会にとって好ましからざる方達のお家芸なのだが、天下の国会議員にもいたのだから、驚き、桃の木、山椒の木である。

9年も前の放送法解釈をめぐる総務省文書を唐突に持ち出して来て、我らが早苗ちゃんを糾弾。
この騒動で自分の名前の出る4つの重要な文書に身に覚えがなく、自分への総務官僚による放送法解釈についての説明会合、礒崎陽輔首相補佐官、安倍晋三首相との電話などによる打ち合わせ全てを否定し、文書は捏造だと早苗ちゃんは断言。
それもそのはず、どう考えても、トップ同士の電話の内容など木端役人が知り得ようもないし、知っているなら盗聴である。

そもそもこの4枚を読んだが、何の問題があるのかがさっぱり判らない。
ごくごく常識的な話しでしかないのである。
しかも、これ以後放送法の解釈は1ミリも変わっていない。
更に云うならば、公文書漏洩は国家公務員法違反罪に問われる立派な犯罪である。
そんな事は無視とばかり、目を血走らせて意味不明な言葉を喚いていた某国会議員であったが、ここに来て攻守が逆転した。

衆院憲法審査会が週1回のペースで開催されていることについて「サルがやること。」、「誰かに書いてもらった原稿を読んでいるだけ。」、「何も考えていない人たち、蛮族の行為だ。野蛮だ。」とボロカスに批判。
轟々と湧き上がる批判に、所属する党の党首も、参院憲法審の野党側の筆頭幹事から外すことを明らかにした上で、「事実上の更迭とみていただいて構わない。」と匙を投げた。

普通、「申し訳ございません。口が滑りました。」だろうが、本人は息盛んでツイッターでは、「NHKとフジテレビに対し、あらゆる手段を講じて報道姿勢の改善を求めたい。」などと投稿し、報道機関への圧をかけ続けている。
(それ、おまゆう?)
何とか逃げ延びる事を選択しないばかりか、その場に踏みとどまって闘うと云うのだから、常人には計り知れないオツムの構造だと云う事であろう。
オールマスコミを相手にして勝てるはずがない。

謝って逃げるしかないのに愚か者め!

「やっぱり止めときゃよかった。」と『高松宮記念』の結果を見て、深い溜息を北新地の盆暗がついた。
馬柱を上からみても、逆さから見ても、何が来るやら見当も付かないレース。
こんなレースは買わないのが、少しばかり年季の入った馬券愛好家でも、G1の冠にお尻を押されて買ってしまうのが悲しい性である。
「へ!12番人気の大成が頭、2着のスグルちゃんはいいとしても、13番人気3着8歳馬祐次のトゥラヴェスーラなんて出てるのさえ知らなかったぜ。」と、『北新地麻雀倶楽部』の月例会でボヤキにボヤいたのが、先週の日曜日の話しである。

「マスターおはようございます。」
「はい、おはようさん。」
「あれ、『高松宮記念』でやられたのに、妙に声が明るいですね。」
「溜息ばっか付いていたら、幸せが逃げて行く。無理くりでも明るくあるべきと、何かで読んだちゅ〜の。泣いてマニーが戻るなら、山のカラスはお大尽!カー!カーてなもんよ。しかも今日の『大阪杯』はムチャンコ自信がある。俺の狙いはズバリ……。」

「みなまで云わないでください。武豊Jのジャックドールでしょ?」と盆暗の言葉を遮るように云った競馬友達のK君。
「何で?何で判かんだよ〜?」
「名人は同じ間違いを犯さない。香港でへぐった武豊Jが今回は決めます。しかもパンサラッサみたいな逃げ馬は手薄。このメンバーなら楽に鼻を切れますしね。ならば逃げ切りもありじゃないかと。しかも3ヶ月以上の休み明けは三戦三勝と、鉄砲かけはドンと来いですから。」

「ヘイ!ユー。俺の云いたい事を先に全部云ったらダチカンぞ。衰えたりとは云えニホリカの至宝豊様。無理に競り掛ける奴はいまい。しかもルメールのスターズオンアースは後ろからだしな。発表!豊!信頼も枠連でも付く。1ー5、3ー5、5ー6、5ー7を平に1万。2ー5、5ー5をこれまた平に5千でご機嫌伺いだ。」と結論付けた北新地の盆暗。
四面楚歌の某議員は、自ら死地に飛び込んでしまって逃げ切る事は不可能だろうが、武豊Jは華麗な逃げ切りを決めるとの見立てのようだが…………..さて。