北新地競馬交友録

底なし沼

ルーリーが袋叩きにあっている。
旦那が代表を務める太陽光発電をメインとする投資会社が、東京地検特捜部の家宅捜索を受けた事が発端。

ホームページで、“ガサ入れ”の事実を認めるも、自身の関与は完全否定したのだが………。
自分の会社と旦那の会社の住所が一緒。
お互いの会社の株をほぼ半分づつ持ちあっている。
旦那が代表の別会社の役員に実のシスターが名前を連ねていた等々。

更には、1か月の一度のお楽しみ、『朝まで生テレビ』でも、「うちは業者ですから、何が幾らかかるか全て判っているんです。」と、アゴラのお父ちゃんに噛みついてみたり、対談で、北野高校ラグビー部出身のハッシーと太陽光発電絶賛で意気投合してブックまで出している。

極め付けは、政府の『成長戦略会議』のメンバーに選ばれて、太陽光発電を推進する発言を連発。
「ゴルフ場を利用する場合、環境アセスメントを緩和すべき。」
「入札制度を簡略化すべきだ。」
「一定まで開発が進んでいる案件については、改正FIT法施行に伴う認定失効に対する猶予措置が必要。」

国会の参考人招致でも、人権問題にほっかむりして、太陽光パネルを作りまくっている彼の国が、ニホリカの土地購入している事を問題視する風潮に対して、「排除するのではなく、相互に依存していく関係を築くべきだ。」とぶち上げる始末。
そもそも国際政治学者と看板を上げながら、言語明瞭意味不明な人物を、誰が、どんな目的で『成長戦略会議』にぶち込んで、マスコミの売れっ子に持ち上げたのか。

休日はルイザワ1000坪の別荘で、朝からシャンパンをドリンキング。
「子育てには、これぐらいの環境がいりますよのオホホ!」ルーリーの上から発言の感じの悪さはモノホンである。
ここ数日、太陽光発電利権のみでなく、某壺製作所との関わりまで取り立たされ始め疑惑は底なし沼だ!

「瑠星!そっから伸びて来い!」
北新地の盆暗が『東京新聞杯』で、渾身のシャウトを発するも、うんともすんとも動かないピンハイ。
なんの事はない、終わってみれば、馬券圏内どころか堂々の8着ではなすすべがない。
マンションの低い天井を見上げて、「俺って馬券下手なのかも?」なんて呟いたと云うのだから、今更ジローならぬ、今更盆暗だ。
競馬友達のK君や、詫びを入れて関係を復活させた熊本天草出身○原さんが携帯を鳴らしても、無しの礫と化したのが先週の日曜日の話しである。

「マスターさん、おはようございます。来週はいよいよG1『フェブラリーS』。その前に一稼ぎで資金作りたいですね。」は○原さん。
「1月8日『ボルックスS』マイナス12000、1月15日『日経新春杯』マイナス50000、1月22日『東海S』プラス1000、1月29日『セントポーリア賞』マイナス50000、2月5日『東京新聞杯』マイナス50000。」
いきなり呪文のように唱える声が携帯の向こうから聞こえて来たのには○原さんビックリ。

「どうしちゃったんですか?」
「どうしちゃったんですかじゃねえだろう。年が明けてポヤポヤしていたら、あっと云う間に俺の懐からこんだけのお宝が飛んでっちまったって事よ。」
「なる程ですね。締めて。」
「バッキャロー!計算なんかしやがったら、一生縁を切る。俺ぁ傷ついてんだ。あ〜あ、競馬なんてもんを考え出した奴を恨みまするだっちゅうの。人類史上、最高に罪作りな奴だぜ。今年こそ除夜の鐘を聞けねえかもな。」と日曜日の朝のお約束で、ボヤキに熱が入る北新地の盆暗。

「後10か月以上ありますよ。これからこれから。」
「お宅は気楽でいいよな。仕方がねえから買うか。発表!『京都記念』4歳の番長ドウドュース信頼。なんせ『ダービー』では昨年の年度代表馬イクイノッスをイチコロパンでやっつけてるんだから!と云いたいところだが、身持ちの悪ぃおねーちゃんと一緒で、信じちゃ裏切られるのがアタシ前なのが競馬だからョ。」
「すいません。そろそろご飯炊けるんで結論宜しくです。」

「へ、相変わらず情のねえ野郎だぜ。馬単ボックス!帰って来た謙一のプラダリア、カザフスタンの突貫野郎ムルザバエフのキラーアビリティ、老いて盛ん豊ちゃんのドウドュース6点張り一目5千。ドウデュースが普通に勝つと厄だから、馬単でドウデュースから、プラダリアとキラーアビリティに各2千と5百買い足す。復活はまずねえと思うが転ばぬ先の杖、武史のエフフォーリアの単に保険として1万と5千!これで何とかして貰おう。」

「マスターさんに意見するのは憚られますが、ねらいがハッキリしない買い方ですね。勝負師ならビシッと軸を決めて…….」
「勝負師なんかじゃあるかいやの!アルカイダ。ただの馬券下手のオッサンだ。」
「……………………….」
ルーリーとタメを張るぐらい底なし沼に落ち込んだ北新地の盆暗。
何でもいい!当たりが欲しい!と、なりふり構わぬ買い方だが………さて。