北新地競馬交友録

一点

安倍晋三元首相の国葬儀を実施する、しないで大荒れである。
とにかくマスコミが先頭で旗を振りまくっているのだから検討史も苦しい。
あくまで個人の推察ではあるが、当初、国葬儀をぶち上げたら、国民に受けるのではないかと云う思いがあったのではないかと思う。
ところが、オットット!ややこしい宗教問題も噴き出して、風向きが変わって来てしまった。

防戦一方の検討史は、記者会見で、安倍元首相の国葬儀をおこなう理由として、『憲政史上最長の8年8カ月にわたり重責を務めた』『内政や外交で大きな実績を残した』『国内外から哀悼の意が寄せられている』『民主主義がテロなどの暴力に屈しない決意の発信』最初の3つは首を傾げる点や、突っ込みどころ満載だが、4つ目のテロ云々は正論。

民主主義の根幹をなす選挙中に、安倍晋三元首相が凶弾に倒れた、この一点は誰が何と云おうが厳然たる事実なのである。
世論がいくら反対しても、国葬儀が開催される事は間違いないが、安倍晋三元首相も、「まさか政争の具にされるとは。」と草葉の陰で嘆いておられるはずだ。
毀誉褒貶相半ばする人物ではあったが、亡くなられた方は全て仏様。

合掌なのである。

「おい、おい、マルコメ何やってんだ」最初は軽くモンチを垂れていたが、「ふざけんな!この野郎!舐めんじゃねえぞ!」
単勝1.7倍、前に行くはずのジャスパーブレイドが馬群の中でスキップしているのだから非常事態発生。
見せ場がまるでないままに、7着に沈んでしまった。
勝った7番人気タイセイスラッガーも紐で買っていただけに、頭から湯気を出して怒り狂う北新地の盆暗。
走る前は取った気でいたのだから傷は深い。

「マスターさん、おはようございます。先週は酷い目に遭いましたね。まさか単勝1.7倍のジャスパーブレイドがあんなレースをするなんて!」と、携帯の向こうで、笑いを噛み殺して慰めているふりをしているのは、熊本天草出身の○原さん。
「俺も長年馬券買ってるが、あんな馬鹿げたレースを見るのは年に何回もない。なんなら!あの野郎。絶対乗り替わりだろう。馬主さんや、テキが許しても俺が許さねえ。」
許すも許さないも、何の権利もない人間が笑止千万なのだが………..。

「まあ、まあ。今日取り返しましょう。ご贔屓のメイケイエールの出る『セントウルS』ですね。」
「もちのロンだ。このレースのポイントはソングラインにも乗れる謙一が、メイケイエールを選んだその一点。この距離ならとの事だろうし、もしソングラインの後塵を拝するようなら、競馬場で穴を掘って隠れなきゃならねえ事態になる。勝負師謙一の事だ、そのへんは百も承知だろう。自信があるんだョ。発表!何が起こるのか分からないのが競馬。狙いを一つ下げて謙一とルメールのワイドに10万勝負。こんな固いレースは半年に一回しかねえぞ!」

安倍晋三元首相が凶弾に倒れた事を引き合いに出すのは憚られるが………。
ワイド一点に何年かぶりの大枚を賭けた北新地の盆暗。
馬券がゴミになって荒れ狂うのだけは見たくない。