北新地競馬交友録

予測不可能

どうしても捨てられない本をお待ちの方は少なくないと思うが、私の場合は漫画である。
『宇宙戦艦ヤマト』でお馴染みの松本零士先生の『ザ•コックピット』。
先の不幸な大戦をオムニバス方式で描いている。
中でも気に入っているのが、『悪魔伝の七騎士』。
トランシルバニア地方に、『ドラキュラ伝説』と共に伝わる古い伝説があった。
「戦いの終わりの時に悪魔伝の七騎士が空を駆けてゆく。そしてその時に戦う祖国が亡びる。悪魔伝の七騎士の先頭をゆくのは魔女である。」
第三帝国の敗戦が決定的になる中、ジェット機He162の7機の先頭を、見目麗しい女性中尉が駆け抜けて連合軍に突撃していくと云うお話し。

時は流れて今。
ロシアの対ドイツ戦勝記念日5月9日に世界中が注目している。
専門家の中には、「ウクライナに宣戦布告をする。」いや、「限定核を使用する。」e t c。
諸説プンプンだが、軍事パレードのリハーサルに、『終末の日の飛行機』が登場。
核戦争などの非常時に大統領が乗る飛行機で、ここから指示を出すと云う事になっているらしい。
かつてこの飛行機が軍事パレードに参加した事はなく、「ロシアは核戦争も辞さない」ことをアピールする狙いがあると云う専門家もいる。
「常識的に考えてウクライナとの戦争をする訳がない。」
開戦前に大方の専門家の見立てが大外れ。
どんな事をしでかすか?まるで予測出来ない北海の白熊の行動。
『終末の日の飛行機』が飛ぶ日が来ない事を祈るばかりである。

あちらと思えば、またこちら。
牛若丸に五条の橋の上でおもちゃにされた弁慶みたいに、ささらもさらにされているのが北新地の盆暗事マスター。
「『天皇賞』?タイトルホルダーとディープボンド?そんなに堅く収まるはずがねえ。」
G1をケンして、日頃お世話になっている馬主さんの愛馬ケンシンコウに肩入れするも、丸山Jが絶好のスタートから何故か後方2番手まで下げる不可解な騎乗。
直線で鬼のように突っ込むも、直線の短い福島では届く訳もない。
残念無念の4着で、「こんな馬鹿な事があるのか!」と天を仰いだそうな。

「マスターおはようございます。いい天気ですね。」は、競馬友達のK君。
「ああ、すんばらしい天気だが、俺のハートは真っ暗闇よ。元気の野郎何を考えてんだか。あったら競馬してたら勝てるもんも勝てねえじゃんか。普通に跨ってるだけでも3着は楽勝であったのに。土曜日に馬主さんと話したが、首を傾げるばかりで、はっきりした説明は聞いてないようだった。次は担いでも頭に来て貰わねえとダチカンぜ。」
「まあ、まあ、今日は『NHKマイル』面白いレースになりそうですね。」
「へい!ユー!面白いって。こんな大混戦予想不可能じゃねえの。」

「3着以内の括りなら福永Jのセリフォスがいいんじゃないかと。」
「5ヶ月ぶりだろ、ナンボ何でもいきなりはどうかな〜。俺ぁ不安を感じる。このレースどうしても馬券を買なきゃいけないなら、黙ってボックスじゃねえの。内から典のマテンロウオリオン、武史のソネットフレーズ、プリンスのセリフォス、レーンのインダストリア、将雅のダノンスコーピオンの馬連10点張り、一目5千てとこか。セリフォスが3着ならいい馬券になる。プリンス、レーンの一番人気でもほぼ元どりだ。」と結論付けた。

北海の白熊の行動並みに予測不可能なレース。
無理して買う事はないと思うが、やはりお祭りには参加したいようで…………。