北新地競馬交友録

女帝は終わった。

『いっぽんどっこの唄』by きよこすいぜんじ

ぼろは着てても こころの錦
どんな花よりきれいだぜ
若いときゃ 二度ない
どんとやれ 男なら
人のやれない ことをやれ

涙かくして 男が笑う
それがあの娘にゃ わからない
恋だなんて そんなもの
いいじゃないか 男なら
なげた笑顔を みておくれ

何はなくても根性だけは
俺の自慢のひとつだぜ
春が来りゃ 夢の木に
花が咲く 男なら
行くぜこの道 どこまでも

細木数子が鬼籍に入った。
生まれは東京渋谷で、実の兄を筆頭に剣呑な輩に取り囲まれて育つ。
銀座のクラブをはじめ水商売で頭角を表し、
占いでは『六星占術』が大ベストセラーで大儲け、更に視聴率請負人としてテレビでは番組を席巻した。
45歳の時には、日本の黒幕の1人と云われていた85歳のおじいちゃんと再婚を画するも、認知症を患っているので婚姻は無効と主張する親族と大太刀回りを繰り広げる始末。

とにかく癖のある人間であったが、1番世間をビックリさせたのが、島倉千代子の後見人に内縁の夫を据え、16億とも云われている借金を整理屋まがいの所業で凌いだ事だ。
『ミュージックオフィス』という芸能プロを立ち上げ、3年間、すでに返し終わっているかもしれない借金のため、島倉を馬車馬のごとく働かせたそうな。
しかも、酷使するだけ酷使して、最後は島倉の興行権を日本コロムビアに2億円で売り飛ばしたと云うのだからやる事がエゲツない。

そんな細木数子の半生を、ノンフィクションライターの溝口敦が週刊誌で連載。
よからぬ斡旋やその筋との深い関係、 占いパクリ疑惑を指摘し裁判にまで進展した。
バット!分が悪いとみるや和解と云う名の撤退。
まさに、昭和と平成でやりたい放題の女帝だったのは間違いあるまい。
「アンタ死ぬわよ。」
おい!細木数子!勝手に人の生き死に決めるなよ!

「マスター、おはようございます。やりましたね『エリザベス女王杯』。でもどうして買えたんですか?ルメールJのレイパパレが一押しだったのに。」は日本で3番目にオツムのいい学校を出て、堂々一部上場会社勤務。
寄らば大樹の陰で、コロナにほとんど影響されてないK君だ。
「打ち抜き馬券を買ってた頃から数えると43年競馬と取っ組み合いしてんだ、知り合いも増えるってもんだろう。『エリザベス女王杯』の2日前の金曜日、たまたまアカイイトのオーナーと会う事があって、こりゃ〜何かのサインじゃねえかと。しかし、単複1千円だけとはョ〜情けねえ。嫌だね集団ヒステリーの新型コロナ禍でボンビーこいちゃってるからコシャな馬券を買うのが精一杯。いい頃の俺なら黙って5千円づつ買ってるっちゅ〜の。」と、まだ夜も明けきらぬ内から泣きが入っているマスター。

「贅沢云っちゃあダメですよ。取ると取られるのとでは、上下大きいんですから。今週の『マイルCS』でドンと増やしていい正月迎えましょう。」
「へ!ボーナスが満額出る上級国民様は前向きだね。俺っちなんぞは去年の11月末から11カ月ヒザを抱えて、やっと緊急事態宣言が解除されたと思ったら、10時過ぎると、どいつも、こいつも家路を急いじゃってお先に真っ暗だ。週末こそそれなりの人出があるが、平日の上通りなんて、暇を持て余した黒服が集団で屯してんだから最悪ョ。無事に正月を迎えるためには、馬券で何とかしなくちゃいけねえが、こう云う追い詰められた時はまず当たねえもんな〜。」
「まあ、まあ。マスターの大好きなグランアレグリアが出るじゃないですか。軸なら鉄板でしょう。マイルで他馬の後塵を拝する事は考えられません。」

「単勝2.3か。寒いよな〜この秋のG1は1番人気が全部飛んでんじゃん。しかも引退レースだろ。『天皇賞』で本気出して走っているから、中二週じゃ間隔が短いような気もする。ならば、伸び盛り、育ち盛り、名馬への道を猫まっしぐらならぬ、馬まっしぐらのシュネルマイスターの方がいいんじゃねえかな。屋根の武史もいい波乗ってんね!の○ァッキングラビッツだしョ。単勝が4.5つくなら上等だろう。発表!シュネルマイスターの単勝に2万!元返しで複勝に3万で絵にして貰おうじゃねえの。」と結論付けた。

マスター、細木某じゃないが、女帝の出番はもう終わった。
きよこすいぜんじ風に云うなら、若いときゃ 二度ない どんとやれ 男ならで、3歳馬シュネルマイスターが横山武史Jを背に、いっぽんどっこの走りを見せてくれるとの見立てのようだが………..さて。