北新地競馬交友録

同調圧力

『隣組』

とんとん とんからりと 隣組
格子を開ければ 顔なじみ
廻して頂戴 回覧板
知らせられたり 知らせたり

とんとん とんからりと 隣組
あれこれ面倒 味噌醤油
御飯の炊き方 垣根越し
教えられたり 教えたり

とんとん とんからりと 隣組
地震やかみなり 火事どろぼう
互いに役立つ 用心棒
助けられたり 助けたり

とんとん とんからりと 隣組
何軒あろうと 一所帯
こころは一つの 屋根の月
纏められたり 纏めたり



先の不幸な大戦中、ニホリカ全土で歌われた歌である。
ウルトラフレンドリーな歌詞だが、裏読みすれば「勝手な事をするな、何をしてるか見ているぞ。」監視社会奨励である。
今回の新型コロナウイルス騒動でも、『自粛警察』と云うような、嫌な事をする人間が増えて来ている。

更には、この騒動で強まっているのが、『同調圧力』。
本来怒りは、訳の判らないマスクを何百億もかけて配るような政府に向けるべきなのに、同じような立場の人間に、意に沿わぬと圧を掛けて溜飲を下げるのは、情けなさの極みであろう。
ニャンとも、息苦しい世の中になったものである。

「弘平!割って来い!」。
『オークス』での最後の直線、デアリングタクトが大ピンチ。
相手は判らないと、赤面ものの枠連流しを敢行したマスターが吠える、神戸東灘午後4時前。
デアリングタクトは強かった。
儲けは僅か2万円ながら、取るのと取られるのは大違いである。

「ステーキごちしてやっから、5時に三ノ宮西口集合だ。」の念達に、「来週はダービーですから、少しでもお金を温存なさったらいかがですか。暑くなって来たので鍋の季節も終わり。僕が材料買って行きますから、マスターの家で名残の鍋パーしましょう。」は、ニホリカで3番目にオツムのいい学校を出て、堂々一部上場会社勤務のK君。

「そうよな〜。皆んなでデアリングタクトと弘平を称えながらドリンキングでもすっか。ユーにおんぶに抱っこ肩車で心苦しいが、苦しいついでにヴーヴクリコも買って来てくれ。長い間おシャンパン飲んでねえからョ。」
「イオンで売ってるシャンパンではダメですか?」
「くぬ野郎!そんなもん飲めるか!面倒見るなら、最後まで見んかい。」
「………………….」
先週の日曜日、相変わらず無茶苦茶のマスターなのであった

「マスターさん、おはようございます。雨がシトシト降ってますが東京は曇り。良馬場なら『ダービー』は、コントレイルで何にもないですね。」は熊本天草出身○原さん。
「ああ、『皐月賞』では下手乗りプリンス何するものぞ!ズンナイ脚での勝ち切り。2着のサリオスとは着差以上に力に差がある。10回走ったら9回は勝つだろうョ。一千万馬券愛好家の絶大な支持は前売りのオッズ1.5にも表れている。バット!競馬に絶対はねえぞ。俺ぁ〜サリオスを買う。」

「単勝にドカンですか。さすが勝負師ですね。」
「たわけ!そんな恐ろしい事できっか。コントレイルが9割方勝つのに。サリオスの単勝に2万。保険の元取り複勝に5万だ。」と結論付けた。
先週の家飲みで浮いた2万円を予算の5万円に上乗せして、サリオスに張り付けるマスター。
無条件に人へ右へ倣え、昨今の流行なら『同調圧力』はごめんだとの馬券だが………..さて。