北新地競馬交友録

輝ける年のはずが

『東京五輪音頭』by ハルオ ミナミ

ハアー
あの日ローマで ながめた月が (ソレ トトントネ)
今日は都の空 照らす (ア チョイトネ)
四年たったら また会いましょと かたい約束 夢じゃない
ヨイショ コーリャ 夢じゃない
オリンピックの 顔と顔
ソレトトント トトント 顔と顔

ハアー 待ちに待ってた 世界の祭り (ソレ トトントネ)
西の国から 東から (ア チョイトネ)
北の空から 南の海も こえて日本へ どんときた
ヨイショ コーリャ どんときた
オリンピックの 晴れ姿
ソレトトント トトント 晴れ姿

ハアー 色もうれしや かぞえりゃ五つ (ソレ トトントネ)
仰ぐ旗みりゃ はずむ胸 (ア チョイトネ)
すがた形は ちがっていても いずれおとらぬ 若い花
ヨイショ コーリャ 若い花
オリンピックの 庭に咲く
ソレトトント トトント 庭に咲く

ハアー きみがはやせば わたしはおどる (ソレ トトントネ)
菊の香りの 秋の空 (ア チョイトネ)
羽をそろえて 拍手の音に とんでくるくる 赤とんぼ
ヨイショ コーリャ 赤とんぼ
オリンピックの きょうのうた
ソレトトント トトント きょうのうた

「もはや戦後ではない。」
1956年7月に発表された経済白書の結語である。
これまで経済成長を牽引してきた復興需要が落ち着きをみせ、今後の経済成長は社会の『近代化』によって支えられるものであり、その『近代化』もまた経済の安定した成長によって成し遂げられることを宣言するものであった。
そしてその8年後の1964年、その宣言を証明するかのように開催されたのが『東京オリンピック』である。

「国際オリンピック委員会、第32回夏季オリンピック開催の都市を決定しました。TOKIO!」
その発表に狂喜乱舞する招致委員会のメンバーがテレビに映し出された。
それに遡る事、数ヶ月前、「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません。」
アンダー・コントロールと英語で強調する我らが安倍ちゃんの姿がTVの映像で流れた。
オリンピックを招致したい、位置づけは復興五輪。
何が何でもオリンピックを開催して、歴史に名前を残したい、そんな邪な考えを実現するための嘘であった。

人はマネーの力で何とかなっても、お天道様は騙せない。
新型コロナウイルスの影響で、当面は一年の延期となったが、まず、開催される事はあるまい。
封じ込めの方法もまるで見えず、経済対策は遅々として進まない中、延期の日程を即座に決定する理解不能な展開。
輝くべき2020年のはずが、新型コロナウイルスが猛威を振るい、戦後最悪と云うべき年となった我がJapan。
再スタートを切れる目処さえ、現実はまるで立たないのである。

「マスター、おはようございます。土曜日はダメでしたね。8RのデムーロJを買っていたら大当たりだったんですが。」
「悩んだんだョ。7Rにするか8Rにするか。前に付けれる分だけ7Rのヴェンチュラスターの方がいいと思った俺のミスチョイス。ついてない時はこんなもんョ。下がっちゃ怖い柳のお化けたぁこの事だ。」
朝からお約束の嘆き節である。

「今日はもちろんG1『大阪杯』ですよね?」
「ああ、いっとう買いたいのは、ダノンキングリーだが、屋根が老後の楽しみ、趣味で馬に跨っているような典だからどうしたもんかと。相手は充実一途、『京都記念』でズンナイ競馬をしたクロノジェネシス。これを買いたいが、屋根の友が去年クラブのお偉いさんに気に入られて大躍進。今年はどんだけ勝つかと思いきや、年明けから勝てねえ、勝てねえ。挙句の果てにゃ〜騎乗停止まで喰らってやがんの。馬券でも肩入れして随分とやられたぜ。」

「先週の『高松宮記念』では馬券になりました。」
「それよ、それそれ。3連単のボックス。乗れてねえからと、4番人気のダイヤトニックを切って、11番人気若武者弘平のアウィルアウェイをチョイスしたら、ズバコンで来るんだもんな。やってられねえぜ。」
「今回もクロノジェネシスは切りですか?」
「テレコ、テレコ、五条の橋の弁慶になりそうな気がするが、友に賭けてみよう。単勝に2万、複勝に3万だ。」と結論付けた。

輝ける年となるはずの2020年、どん底につき落とされた我がJapan。
更なる飛躍を約束されたような2020年だったのに、期待を裏切り続ける北村友J。
どちらも噴飯物だが、マスター、一生懸命乗っている北村友Jにもう一度賭けてみるようだが…….さて。