北新地競馬交友録

抱き合い

1週間に一度のお楽しみNHKの大河ドラマが大変な事になっている。
2020年東京五輪・パラリンピックを盛り上げるはずだった『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』が、低視聴率に喘いでいるのだ。
それに追い討ちを掛けたのが、ラグビーワールドカップ。
俄かファンがどぶのボウフラのように湧いて、10月13日の放送では、視聴率が3・7%の最低記録を樹立した。
視聴率が上がらない理由はあれこれ云われているが、小難しい理屈は天井裏にでも置くならば、ちっともドキドキしないのである。

その点、昨年の『西郷どん』では2回に1回はハートを直撃された。
中でも記憶に残っているのは、西郷隆盛(鈴木亮平)と月照(尾上菊之助)の絡み。
人生の全てを懸けて慕っていた斉彬の死に直面し、絶望する西郷の前に現れた月照。
「私と寝はりませんか」と西郷を抱きしめる。
差別主義者との謗りを受けるのは覚悟の上だが、「NHK!これいいのか!マジカル大丈夫か!」
薩摩藩に裏切られ、再び絶望した西郷に付きそう形で、抱き合いながら海に沈み、心中を図るシーンは今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。

クドカンさん!NHK大河には、役者が飛んだり跳ねたり、独りよがりで興奮しているなんて云うのはそぐわないなるなりである。

「マスターおはようございます。土曜日デムーロJダメでしたね」は競馬友達のK君。
「ダメなんてもんじゃねえぞ。メインこそ必死のパッチで3着を確保したが、2レースでは1番人気で8着、6レースがこれまた1番人気で7着。返す刀で10Rでは4番人気で10着だぜ。オゼゼが幾らあっても足りゃ〜しねえ。あれじゃ〜減量のアンちゃんとどっこいどっこいだ。まさかあのデムーロがここまで酷くなるなんて、お釈迦様でも夢にも思うまいて」
「メインの乗り方は悪くなかったですが、ケチが付くとあんな事になるんですかね?」
「そう云う事った。せめて2着は確保しねえといけねえ馬だぜ」

「今日のメイン『エリザベス女王杯』はどうしますか?ラヴズオンリーユーが単勝1番人気で2.5ですが」
「うむ、よっぽど友君のクロノジェネシスを軸にしようかと思ったが、もう一度だけデムーロに賭けてみる。発表!枠連!4ー6が大本線で3万3千、元返し1ー6、6ー8に各8千、3ー6に5千、2ー6、6ー6に3千でいてこます。こうなりゃ毒皿でデムーロと一蓮托生だっちゅ〜の!」と結論付けた。
西郷隆盛と月照じゃないが、デムーロJと抱き合い心中を覚悟のマスターだが…………さて。