北新地競馬交友録

復活

ラグビー人気の陰でひっそりと終わった『日本シリーズ』だが、野球はまだまだこれからと、『侍ジャパンシリーズ2019』でカナダと対戦して1勝1敗だった侍ジャパン。
『WBSCプレミア12』で来年のオリンピックを見据えた闘いが始まる。
そんな華やかな話題の裏でひっそりと復活を期しているのが、日本ハムの元ハンカチ王子事斎藤佑樹投手。
あっと気が付けば10年が過ぎ、結局泣ず飛ばずである。
「そもそも、プロ野球で活躍出来る力はなかった。いつまで続けても無駄。客寄せパンダの効果も既にないんだから、早く球団が引導を渡すべき」なんて辛辣な声もあるが、頼もしい援軍が。

来季から日本ハムの一軍投手コーチに武田勝氏が就任。
あまり知られてはいないが実は両者は親交が深い。
日本ハムでは斎藤投手が入団した2011年から、武田氏が引退する16年まで6年間、同僚として過ごした。
斎藤投手は「プロ1年目からとてもお世話になった方。球宴に出させてもらった時には、右も左も分からない中、面倒を見てくれたのは勝さんです。よく相談にも乗っていただいていました」と、武田氏への感謝の思いを口にしている。
昨今は入団当初からの気心の知れた選手・関係者らが数多くグラウンドを去っていく中での武田氏の現場復帰。
腹を割って話せる相手が増えたことが、復活への一助になると良いのだが。

「マスターおはようございます。昨日のラグビー決勝凄かったですね。南アフリカの強さには驚きました。展開が早いのでトイレに行く暇もありませんでした」は、競馬友達のK君。
「へ!余裕のある人間はお気楽なこって。南アフリカが凄かろうがヘタレであろうが、俺には何の関係もねえョ。応援したらマニーでも降ってくるならともかく、一銭にもならねえのに大騒ぎして何になるんだ。ああ云うのは騒げれば何でもいいって輩に任せておきゃ〜いいんだ。それよか昨日は驚いた。常日頃お世話になっている京都馬主協会会員さんの愛馬が、東京2Rで皇成を背に持ったまんまで7馬身差の大楽勝。まず負けねえとは思ってたけどあそこまで強いとは。単勝170円でも黙って買っとけ!てんだ。日頃からの調教師、ジョッキーとの信頼関係を築いて来た成果だろう」とひとくさり。

「見てました。売り出し中のヘニーヒューズの産駒ですし楽しみですね。ところで本日の馬券は?昨日も見てるだけ〜だったようですが」
「先立つものがな〜。知り合いのコンビニの親父に65歳から気合い入れて5年は働くから、100万ばかし前借りさせてくれと頼んだが、鼻でせせら笑われてジエンド。せちがねえ世の中になったもんだ」
「……………….普通だと思いますが」
「たわけ!冗談に決まってんだろうが。それぐれえ馬券に三下り半を突き付けられて困窮してるって事ョ。まあいいや、今日は淀のメイン『みやこS』で勝負する。狙いはデムーロのワイドファラオだ。ついこの間まではルメ公とタイマン張ってたのに、今じゃ〜月とスッポン、釣鐘と提灯、くじらとめだかぐれえの差が付いちまった。絶不調と外野がうるさいが、こんな時こそ狙い目だ」

「いい馬だと思いますが、1ハロン長いんじゃないですか?」
「確かに距離の不安はあるが、ここで走ってから慌てて買っても時既に遅し。美味しいのは今回だ。発表!馬連!ワイドファラオから大外が厄でもまともならぶっち切る将雅のインティと、祐介がテコでも離さねえスマハマが本線で各1万と5千。ダートのオニ拓弥のアナザートゥールスへ3千、先週サートゥルナーリアで大損させられたスミヨンのウエスタールンドに2千。タテ目インティとスマハマを押さえで1万と5千。締めて5万両で何とかして貰おう」と結論付けた。
「マスター、御高説は伺いましたが、何で急にデムーロJを応援するんですか?」
「それは云わぬが華ョ」
「……………….」

漏れ聞くところによると、先週、京都馬主協会の会員さんがマスターの店に、我がジャパンのレジェンドとイタリアの伊達男を連れて来てくれたそうな。
レジェンドはUSAで元気元気だが、伊達男が全然元気がなくて、俄然応援する気になったんだとか。
斎藤佑樹投手の復活は、いかに親しい人間がコーチになったとしても難しそうだが、伊達男の復活を熱望しようではないか。