北新地競馬交友録

責任

特攻隊の英霊に申す 善く戦いたり深謝す

最後の勝利を信じつつ肉弾として散花せり

然れ共其の信念は遂に達成し得ざるに至れり、吾死を以って旧部下の英霊と其の遺族に謝せんとす

次に一般青壮年に告ぐ

我が死にして軽挙は利敵行為なるを思い

聖旨に副い奉り自重忍苦するの誡ともならば幸なり

隠忍するとも日本人たるの矜持を失う勿れ

諸士は国の宝なり 平時に処し猶お克く

特攻精神を堅持し 日本民族の福祉と

世界人類の和平の為 最善を尽せよ


先の不幸な大戦で、戦争末期第一航空隊司令長官として、神風特攻隊を指揮。
敗戦直後、多くの若者を死に追いやった責任をとり、次長官舎で割腹自殺した、大西瀧治郎海軍中将の有名な遺書である。

方や『戦陣訓』で、生きて虜囚の辱めを受けるなかれと、自決を強要してきた東條英機は、拳銃で自決を試みるも失敗。
『東京裁判』では、「敗戦の責任は負う」と云いながらも、「この戦争は侵略戦争ではなく自衛戦争であり国際法には違反しない」と『国家弁護』を主張し続けた。

『東京裁判』自体が『平和に対する罪』と、かつて聞いた事もない概念を持ち出して、負けたJAPANを裁くと云うとんでもない代物であったのは間違いないが………。
やはり東條英機は、USAに吊るされるのではなく、大西瀧治郎のように、自らケジメを付けるべきであった。
それが、『戦陣訓』によって自決した兵士や、残された家族に対しての唯一の責任の取り方ではなかったのではなかろうか。

責任と云えば、今日、『東京電力福島第一原子力発電所』の事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長の勝俣恒久被告ら旧経営陣3人の裁判で、東京地裁が無罪判決を言い渡した。
公判では、原発を襲う可能性のある津波の高さを「最大一五・七メートル」と試算した東電子会社の社員が、証人尋問で「専門家の学会で使われている手法で計算したものだ」と証言。

沖合に防潮堤を設置すれば数百億円かかることなどが担当者から報告された会議で、外部機関に試算の根拠を再検討してもらうよう指示した武藤元副社長。
検察官役の指定弁護士に「対策の先送りではないか」と指摘されると「大変心外だ」と語気を強め、後は「知らない」「事故は防げなかった」などと繰り返すのみ。

傍聴した被害者の遺族によると、「反省や後悔の念は一切感じられなかった。受け答えはとても無機質で、犠牲者や遺族に申し訳なく思っている感情は全く伝わらなかった。自らの保身しか考えていないように思えた」そうな。
千葉でも大変な事態を引き起こしている。
要するにマニーで、公的事業であるとの認識や、責任感のカケラもない体質の会社と云われても反論出来まい。
情けなさここに極まれりなのである。

「中山のメイン『セントライト記念』1番人気のザダルを切る。怒涛の3連勝だがタイム差なしのセコイ勝ち方。最内枠で脩なら捌ききれず行方不明になる可能性なきにしもあらずだ。発表!3連複ボックス!内から野中の小倅オセアニアグレイト、生きる化石横典のリオンリオン、闘ってきた相手が違う正樹のニシノデイジー、意外性の漢裕信のタガノディアマンテ、手綱一番ルメ公のルヴォルグ、着取り名人プリンスのラフォザローゼスの6頭20点張り、一目1千と5百でどうだ。」と結論付けたマスター。

3日間開催、初日の土曜日、2日目の日曜日とワンツーパンチを喰らって息も絶え絶え。
普通に、買ってたら取り戻せないと無理筋を承知の助でザダルをぶった切ったのだが………。
「第4コーナーを回って直線!先頭はアトミックホース!外に出してリオンリオン!外からルヴォルグ追って来る!内からナイママ!ザタル!先頭はリオンリオン!外からルヴォルグ!ザダルも伸びる!サトノルークスが突っ込んで来た!リオンリオン先頭でゴールイン!2番手はザダルとサトノルークスの争い!」

1着 リオンリオン 横山典J
2着 サトノルークス 川田J
3着 ザダル 石橋脩J
低気圧のせいで、ジェットコースターのように揺れる沖縄のダイビングクルーザーの片隅で、膝小僧を抱えて実況を聞いていたマスターの首がガクッと落ちる。
「ダミダ!ダミダ!ダミダ!」虚しい叫びは、エンジンの音と吹き荒れる北風にかき消された。

元東電の馬鹿ども達は、まともに責任を取ろうとしないが、毎回自己責任を全身で受け止めるしかないのが馬券愛好家の宿命だ。
来週こそはいい風が吹く事を祈ろうではないか。