閉じる

リレーコラム我ら淀人(よどんちゅ)

コラムニスト プロフィール
氏名:赤見 千尋(あかみ ちひろ)
職業:競馬レポーター


1998年、高崎競馬場で騎手デビュー。2005年、北関東の全競馬場が廃止となり騎手を引退。グリーンチャンネル『トレセンTIME』美浦担当。秋田書店プレイコミックにて、原作を手掛ける漫画『優駿の門アスミ』を連載中。この春、早稲田大学人間科学部に入学。現在、女子大生を満喫中。

第2回

「可愛い子には旅をさせろ 」

先週の金曜日から日本を飛び出して、香港に行って来ました!
2008年の香港ダービーを見に行って以来、2度目の訪香です。
イギリス文化と中国文化が交じりあっていて、イルミネーションがキラキラ輝く超高層ビル群あり、薄暗い路地裏に突き出している洗濯物あり、喧嘩してるのか?と思うような人々の喧騒あり…と、独特の雰囲気を醸しだしています。綺麗に整っている美しさよりも、ちょっとアンバランスでダーティな所もある香港が、私は大好きなんです。
今回の旅の目的は、もちろん香港国際競走を見ること。4頭の日本馬たちがどんなレースをするのか、そして、世界の名馬名手がどんな火花を散らすのか。生で味わう国際競走は最高に興奮するし、いつも以上に愛国心も強まって、至福の一時でした。
日本馬の中でまず最初に登場したのは、香港ヴァーズ出走のトレイルブレイザー。
初めての海外遠征にも臆することなく、パドックでは堂々と歩いているように見えました。レースはスタートで後手を踏んでしまい、この馬の競馬をすることは出来なかったけれど、最後の直線は外から伸びて6着まで追い上げました。
続いて登場したのは、香港スプリントに挑むパドトロワとカレンチャン。2頭とも、抜群のスタートを決めてパドトロワが逃げ、カレンチャンも好位からの競馬。カレンチャンが5着に踏ん張り、パドトロワは最下位という成績でしたが、積極的な競馬で見せ場たっぷりのレースを見せてくれました。

最後に現れたのは、香港マイル挑戦のアパパネ。日本にいる時と同じように、唇をパクパクさせながらリラックスしてパドックを歩く姿に、改めて感心させられました。サラブレッドと人間という違いはあれど、同じ女子としてとても憧れる性格をしています。どこにいっても動じることなく、自分をしっかりと持っていて芯がブレない。私もそんな女性になりたいな…と、29歳も年下のアパパネさんを見て思うのでした。レースでは、いつものような伸びが見られず13着でしたが、他の3頭と同様、さらなるパワーアップに繋がる素晴らしい経験だったと思います。
「可愛い子には旅をさせろ」とはよく言ったもんで、強い馬たちと戦ってたとえ惨敗したとしても、その経験を糧に強くなる馬たちはたくさんいます。人間もそうですが、精神的な部分を鍛えるのは本当に本当に難しいこと。周りは試練を作ったり見守ったりすることしか出来ず、馬自身が乗り越えてくれないことにはどうしようもありません。その試練をどう作るのか、そしてどう見守るのか…、悩ましいところですよね。馬も人間と同じで、怒られて伸びるタイプと、褒められて伸びるタイプ、放っとかれたいタイプと構われたいタイプなどなど、性格によってもその日の気分によっても違いますから、接する方も大変です。いくら体が仕上がっていて、どんなに能力が高くても、気持ちがついていかなかったらレースで力を発揮することは出来ませんから。ここの部分が、競馬の「キモ」ではないでしょうか。
今回の香港国際競走。上位の着順ではなかったけれど、目に見えない部分での収穫はいくつもあったはず。日本とは違う雰囲気の中で、いままでにない競馬を経験した4頭。この試練を乗り越えて、この先どんな走りを見せてくれるのか…、今からとても楽しみです!

ページの上部へ