若いっていいな
先週は2000勝以上を挙げたベテランが集う「ゴールデンジョッキーカップ」
今日は減量ジョッキーである若手たちによる「ヤングジョッキーズシリーズ」の取材でした。
ゴールデンとヤング、ものすごくギャップがあって、その雰囲気の違いも楽しいなと感じます。
ゴールデンジョッキーたちは勝負の世界に20年以上身を置き、トップクラスの成績を残してきた人たちばかり。
レース前はピリッとした雰囲気がありながらも、順位が確定する頃には
「いやあ、あの人はジョッキーレースのポイントの稼ぎ方がうまいよね」と称えたり
「え!そっちは●ポイントしかなの?(笑)。そういえば、ゴールして振り返ったらいつも後ろにいた(苦笑)」
と長年一緒に戦ってきた同士だからこそイジり合ったり、和やかな雰囲気。
対してヤングジョッキーはレース前から盛り上がることが多々。
そこはやはり若者のノリだな、と思います。
私自身が一般人であるがゆえ、ついその常識の範囲内で彼らを測ろうとしてしまうのですが
若いうちはあらゆることで型にハマらず、飛び出しているくらいの方がきっと大成するんだろうなあ
と思いつつ、叔母さんになった気持ちで見つめています。
そのあたりは人生経験豊富な読者の皆様の方がよくご存知だと思うので、お知恵を拝借したいです。
あとやあっぱり思うのは、「若いっていいな」(笑)。
みんなホント「いま」が楽しそうで、生き生きとしています。
ヤングジョッキーズシリーズは佳境にさしかかり、12月のファイナルラウンドに進出できるメンバーがだいぶ見えてきました。
若いうちしか出場できないこのシリーズも、全力で楽しんんでほしいなあと思います。
小倉2歳S兄弟制覇
先週の小倉2歳ステークスはアスクワンタイムの見事な差し切り勝ちでした。
今年の夏の小倉開催は1開催4週のみでしたが、最終週となる先週は外が伸びる馬場。
それを追い風に後方から一気に差したのがアスクワンタイムだったのですが、レース前の陣営は「まだまだ伸びしろがたっぷりあって、ちょっとゆっくりなタイプかな」と話す中での重賞制覇でした。
それだけポテンシャルの高さと、この兄弟を大切にしてきた梅田智之厩舎の思いが結実した結果だったと言えるでしょう。
「この兄弟」というのは、全兄ファンタジスト(2018年小倉2歳S)、ボンボヤージ(2022年北九州記念)などのこと。
小倉芝1200mの重賞にとても強い血統で、かつ兄弟のほとんどは梅田厩舎に預託されています。
ファンタジストは19年京阪杯のレース中に急性心不全で倒れ、その衝撃と悲しみを覚えている方もいらっしゃることでしょう。
梅田厩舎の方々、特に担当厩務員や調教に乗っていた方々は深い悲しみに包まれていたのですが、
そんな時、入厩してきたのがファンタジストにそっくりな性格を持ったアスクワンタイムだったのでした。
奇しくも、ファンタジストが初勝利を挙げたのと同じ日と同じコースで初勝利を挙げ、重賞初制覇のレースまで同じになりました。
大切な家族や大好きだった競走馬が亡くなった時、「夢でもいいから会いたい」と願ったことが何度かあります。
梅田厩舎にやってきたアスクワンタイムは陣営にとってそんな思いも叶えてくれたことでしょう。
それだけでなく、兄とは違った面も見せたり、末脚が武器だったり、彼なりの良さも併せ持ち、新たな物語を紡いでいこうとしています。
成績欄だけでは分からぬ思い
8月最終日は佐賀競馬場へサマーチャンピオンJpnIIIの取材に行ってきました。
重賞未勝利なのが不思議なくらい、ダートグレード競走で常に上位争いを繰り広げるヘリオス
夏にグンと調子を上げるレディバグ
ハンデからも好勝負が期待できるオマツリオトコなど
好メンバーが揃った中、勝ったのはこれがオープン初勝利でもあったサンライズホークでした。
この馬、成績を見ただけでも「すごい・・・」と感嘆の言葉が漏れる馬で、初勝利はなんと3歳未勝利最終週。
まさに今週と同じ状況で、背水の陣といった状況でした。
加えて、デビュー2戦目で初ダート。
単勝は158.4倍という評価でしたが、ダート1000m戦で鋭く差すと初勝利を挙げ、さらに3連勝で一気にオープンへと上り詰めたのでした。
タラレバを言うならば、もしもあの時、最後の未勝利戦を勝てていなければ、いまごろはJRAに在籍していなかったかもしれません。
競走馬の運命はふとした瞬間に大きく変わるのだな、と改めて感じる1頭です。
そして、陣営の大胆な判断もまたサマーチャンピオン制覇を手繰り寄せたように感じます。
というのもオープン入り後は、それまでの4連勝で見せた鋭い末脚を生かせない競馬が続いていたのが、サマーチャンピオンでは思い切った逃げの手に出たのです。
これには本当に驚いて、「えぇっっ!!」と声を上げてしまいました。
また、盛岡のクラスターカップから長距離輸送を挟んでの中1週での佐賀だったのですが牧浦調教師は臨戦課程をこう話します。
「クラスターCは硬さなどは抜けて体調面は良くなっていたのですが、休み明けで仕上がり面でもう一歩。
そこを叩いていいステップになった感じで、馬がもう一段階上がったので間隔は詰まっていましたが出走を決めました」
状態の良さ、そして長らく1200mを使ってきていたのを200m距離延長し、初ブリンカーで集中力を増して序盤からの積極策に出られたのでした。
何も知らずに成績欄だけ見ると、「未勝利最終週にギリギリ勝ち上がった」「強行ローテで初距離に挑戦」
と、ともすればネガティブに捉えてしまう可能性がありますが、
そこにはサンライズホークを何とか勝たせたい、という陣営の思いが詰まっていたのだな、と改めて感じたサマーチャンピオンでした。
暑い北海道
ワールドオールスタージョッキーズの取材で北海道に行ってきました。
先月、門別競馬場に行った時も暑いなあ、と感じていましたが、今回はそれ以上。
前週に行われたサマーセールでは猛暑と長時間のセリで、かなり過酷な5日間だったことをSNSなどで見聞きしていて、その先入観もあったかもしれませんが、やっぱり暑かった。
幸い、札幌競馬場はクーラーが効いていましたが、日曜の午後には豪雨とバリバリッという音とともに雷が落ちたのには驚きました。
数年前から本州では夕方にスコールのような雨が降ることが増えましたが、そんな感じだったのでしょうか。
北海道はクーラーのない家やホテルもそれなりにあると聞きます。
知人宅も1階リビングにはクーラーがあるものの、2階の寝室にはなくて、暑くて眠れないとのこと。
地球温暖化で今後も北海道で暑さが続くようなら、クーラー需要が高まりそうです。
そして、それは競走馬に対してもそう。
新潟や小倉は馬房にクーラーがついていますが、この暑さだと北海道の競馬場にも必要になってくるでしょう。
牧場でもミストやクーラーが必要になってくるかもしれません。
人も馬も、熱中症にならぬよう、安全な範囲で活動をしていく工夫が他にも求められていくのでしょうね。
YouTube配信
コロナを境にYouTubeによる競馬の生配信が急激に増えました。
それまでは公に認められた配信はなかったのですが、2020年8月に高知競馬が「ヨルノヲケイバ」という生配信をスタート。
出演者があーでもない、こーでもないと雑談しつつ、時に過去の取材情報を入れつつ馬券を買う配信で、視聴者がチャット欄にコメントを書き込み、双方向でコミュニケーションが図れるのが魅力の一つです。
元々はボートレースでとても盛んな手法で、それにより売り上げが大幅アップした競艇場もある、なんて風の噂も聞こえてきます。
地方競馬でも高知が先んじて始めると、大井や佐賀も続き、今ではJRA-VANなど中央競馬でも生配信が取り入れられる一大ブームとなっています。
また、出演者がいない純粋な中継をYouTubeで生配信する競馬場も増えました。
JRAも試験配信などを行っていましたが、地方競馬ではほとんどの競馬場が導入。
昨日、クラスターカップが行われた盛岡競馬場も例に漏れずで
私もクラスターカップを見ようと岩手競馬の公式YouTubeから中継映像をつけたところ、同時視聴者が約1万2000人も!
盛岡の正確な数字は分かりませんが、西日本の地方競馬場だと普段の日は数千人ほどですから
JRAから有力馬が参戦するダートグレード競走がいかに注目を集めているかを実感しました。
もう一つ興味深かったのが、その視聴者の減り方。
私もその一人なのですが、クラスターカップでリメイクが1着でゴールし、掲示板に馬番が灯ったあたりで「さあ、仕事に戻ろう」とYouTubeを閉じようとすると
さっきまでいた視聴者が4000人近く減っていたのです。
お盆だったり、台風が関西に上陸したりで休日の方も多かったとは思いますが、カレンダー上は平日。
もしかしたら私と同じように仕事中で、会社でパソコンやスマホからレースだけ見に来ていた人も多かったのかもしれませんね。
どこにいても競馬が楽しめる時代になりました。
エルムステークス
先週のエルムステークス。
武豊騎手とセキフウの逆算しきったような差し切りはお見事でした。
あまりの素晴らしさにグリーンチャンネルの控室で「武豊騎手~!!」と叫んだほど(笑)。
この日は中央競馬全レース中継の直後の番組「地方競馬中継」に出演するため、東京のグリーンチャンネルへ行っていました。
コロナになって以降、感染防止の観点から関東圏に在住していない人はスタジオへの出入りを禁じられていたため
関西在住の私は必然的にリモート出演となっていたのですが、このたびスタジオ出演が解禁され
3年半ぶりにスタジオからの出演となったのでした。
で、その久しぶりの控室でのシャウトが冒頭。
セキフウは海外でも惜しいレースをしていましたし、特にコリアカップ(3着)で韓国に滞在した際にはラプタスを落ち着かせてくれた偉大な存在だったと聞いていました。
ラプタスは普段からテンションが高いタイプなのですが、関係者はこう振り返ります。
「ラプタスは韓国でセキフウにすごく懐いていました。
セキフウは3歳馬だけど、サウジにも行って慣れてたのか落ち着いていて、セキフウがいなかったらどうなっていたか。
だから、僕たちはコリアカップでセキフウをめっちゃ応援しました」
それだけ頼もしい存在だったセキフウが、21年兵庫ジュニアグランプリ以来の重賞制覇。
おめでとうございました。
さて、2着ワールドタキオンと3着ロッシュローブはJRA未勝利から地方へ転出し
園田・姫路競馬で勝利を挙げてJRAに再転入した馬でした。
近年、地方競馬は重賞レースを中心に賞金が増額されたことで
JRAダートで実績を持つ馬の移籍が目立つようになりました。
また、下級条件の賞金や出走手当てのアップもあり、サラブレッドオークションも活況。
地方競馬に完全移籍する馬も以前に比べて多くなった印象を持っていたので
「近年の傾向を考えると、マル地って珍しいような・・・」
と思っていたのですが、新たな気づきを与えてくださったのはワールドタキオンを管理する斎藤誠調教師。
この馬は体質的に弱いところがあり、3歳4月にデビューするも、レース後に骨折が判明して地方へ移籍、そしてJRAに再び戻ってきた馬なのですが
「近年、競馬全体のサイクルが早くなっているので、この馬のように『成長してから』というタイプには辛いですが
だからこそマル地で花を咲かすのかな、と思います」
と斎藤調教師談。
骨折が判明した時点で、全治する頃には未勝利戦がなくなっていることが明らかでした。
しかし、そこで諦めずにJRAに再び戻ってきたことで、こうして重賞で上位争いをするんですから
競走馬の成長するタイミング、活躍するタイミングというのは千差万別だな、とも感じました。
宿泊事情
先週まで開催していた中京競馬。
新大阪から名古屋までは新幹線で約1時間と近くて日帰り可能なこと、
またコロナによる取材規制以降、GⅠレース以外では取材エリアに入らなく(入りづらく)なったことなどから
宿泊して土日とも中京競馬場へ、ということは減りました。
しかし、先週は土日ともに見たいレースがあり、とても久しぶりに名古屋泊。
知り合いの記者などは名古屋駅や金山駅周辺に泊まる人も多いのですが
個人的には名古屋方面への往復の電車が混雑しているのが苦手で、思い切って逆方面の知立・刈谷方面へ。
実は同様の考えでフリーカメラマンには知立や刈谷に泊まる人も多く、私も彼らからコロナ前にメリットを教えてもらっていて、以前も何度か利用したことがありました。
中京競馬場前駅からの所要時間はあまり変わりないのですが、人が多くないというのは何となく楽なもの。
久しぶりに知立駅で降りてみると、駅の工事が完了していてとても立派に。
乗り換えには3階コンコースまで上がらないといけないケースもあって、規模感に驚きました。
それと、昔ながらのビジネスホテルが多かった知立に、東横インができている!
これは個人的に一番の驚きだったかもしれません。
刈谷もデンソー本社やトヨタ関連企業があり、JRと名鉄双方が乗り入れてそれなりの大きな街を形成しています。
餃子専門店があって気になったのですが、あいにくその夜は満席で入れず。
次の中京開催は12月。
また機会があればリベンジしたいと思います。
JRA若手騎手の勢い
今月から始まったヤングジョッキーズシリーズ(YJS)のトライアルラウンド。
7月4日佐賀、17日高知、19日門別の3ラウンドを終えました。
YJS創設の2017年からずっと取材を続けてきましたが、今年はJRA騎手の勢いがレース中もレース後もあるな、と感じます。
レースについては、各2レース計6レースを終えて、全てJRA騎手が勝利。
JRA騎手が6連勝というのは過去に記憶がなく、おそらく初の出来事だと思います。
ここまでJRA騎手が連勝をしたことがなかった要因には
JRAの競馬場と違って砂が深いこと、小回りが多いこと、また地方馬への騎乗となるため、その背中や扶助に対する反応の違いなどもあるのではないかな、と推察します。
しかしながら、今年はそうしたディスアドバンテージを乗り越え、JRA騎手が大活躍。
史上最年少で函館リーディングに輝いた佐々木大輔騎手も門別で勝利を挙げるなどJRAでのいい流れをYJSでも継続しています。
YJSでは地方競馬全国協会(NAR)がレポートムービーを撮影していて
これまでは地方騎手の方が元気よく答えたり、時にカメラを意識した振る舞いが多かったのですが
門別ラウンドではJRA美浦の若手騎手たちが生き生きとカメラの前でレースを振り返ったり、同期愛を見せたりしていて、個人的にはなんだか新鮮でした。
例年と違い、トライアルラウンドが短期決戦となっている今年。
いまの勢いのまま最後のトライアルラウンドとなる10月11日笠松まで突っ走りそうな気もしていて、注目です。
▲YJS門別のレース前、JRA騎手たちによる馬場チェックの様子
筋トレとアルコール
宝塚記念が終わると、秋のGIシーズンまではJRAでの仕事が落ち着きます。
代わって全国各地でトライアルラウンドが行われるヤングジョッキーズシリーズ(YJS)や、8月末には札幌でワールドオールスタージョッキーズが行われ、地方競馬の騎手も出場するため、7月、8月は私にとっては出張シーズン。
外泊することに一番抵抗の少ない時期で、先々週は福島競馬場にラジオNIKKEI賞を見に行ってきました。
2019年に初めて福島競馬場を訪れた時、パンフレットに「仙台空港行きのバスがある」と書いてあった記憶があったので調べてみたのですが、現在は土日には運行していない模様。
HPに時刻表は記載されていたのですが、取り消し線が引かれていたので、もしかしたらコロナ禍で運休になったままなのかもしれません。
なので、伊丹から仙台空港入り後は一旦仙台駅に出て、そこから高速バスへ。
こちらも福島競馬場前まで運行しているので、新幹線より少し時間はかかるものの乗り換えいらずで快適でした。
そして月曜日は仙台空港から福岡空港へ。
火曜日のYJSトライアルラウンド佐賀のための前乗りで、取材後は夜の新幹線で栗東入り、水曜日は早朝からトレセン取材というスケジュールでした。
コロナ前は地方の競馬場、特にレース撮影のために砂の深い馬道を何往復もする佐賀競馬場では取材が終わるとエネルギー0状態。
翌朝締切りのレースレポート原稿を書く体力が残っていないことが多々だったのですが
筋トレを始めたおかげか、今年はほんのすこーしだけ疲れがマシに感じました。
とはいえ、経験を重ねて競馬場での動きが省エネ化しているような気もしていて、そのおかげかもしれません。
実際、筋トレを始めて実感が沸く部位がある一方、筋肉量や体脂肪率に大きな変化は見られず。
佐賀の帰り道、ハイボールを飲みながら「なんでなんだろう?」と友達に相談していると、「それが原因じゃない?」と手に持ったアルコールを指されました。
研究によると、筋トレ後にアルコールを接種すると筋肉の合成率が2~3割ほど減ってしまうとか。
ただ、長時間空ければ影響は抑えられるようで、朝に筋トレをして夜に飲酒するマッチョもいるそう。
「騎手やスポーツ選手もアルコールを飲むけど、引き締まった体をしているもんね」
と都合のいい言い訳をしていましたが、こんなところにも落とし穴があったんですね。
特に騎手は早朝に調教、昼にトレーニングをして、飲酒をするとすれば夜。
自ずとこの理論に当てはまっていました。
「汗をかいた後のハイボールは美味しいなあ、と自己満足に浸っていた私とは大違いだな」
と思いながら水曜日にトレセン取材をしていると、前日に同じく佐賀にいた若手騎手たちも元気に調教騎乗していて、気力だけは負けていられないと思いました。
イクイノックス、パドックでの納得
先週の宝塚記念。
イクイノックスの強さを改めて感じるレースでしたね。
「このコースでプレッシャーがありました」とレース後にルメール騎手が話したように
内回りコースで馬場状態も含め決してイクイノックス向きだったとは言えない中
世界ランク1位の馬で臨む一戦は大きなプレッシャーもあったことでしょう。
陣営は初の関西輸送と美浦の坂路が閉鎖されていることを踏まえ
今回、栗東滞在を選びました。
報道では栗東滞在5日目となった朝、
「関西のノリツッコミにどきまぎしている感じ」とジョークを交えた木村哲也調教師のコメントが紹介されていました。
あれほどまでの強さを誇る馬ですが、このコメントからは新しい環境には慎重なタイプだということが伝わってきます。
それは宝塚記念のパドックでも見て取れました。
装鞍所から地下道を通ってパドックに入場してくると、他馬より一つ頭を高くして、周りの様子を観察している雰囲気。
目線も観客席の方に向いたりキョロキョロしつつ、尻尾は少し浮いた状態でした。
「イクイノックス、この環境にまだ馴染めていないですね」
顔なじみの記者さんとそんな話をしながら様子を観察していると、5~10分ほどした頃でしょうか。
あれほど「ここはどういう場所なんだ?」と探っていたのが
ふっと首が下がり、「阪神競馬場のパドック」という場所に納得したかのように落ち着いて歩くようになりました。
ナーバスで慎重だけど、テンションが上がり過ぎることはないし、一定の時間があれば本人も納得する。
そして、レースで自身の力をしっかり発揮できる。
レース内容だけでなく、そんな点にもこの馬の強さを感じました。