はい!現場の大恵です

男女平等とは何なのか

今夜、NumberWebで掲載された小田部雪 元騎手のインタビューを担当しました。

いまから約30年前、大分県の地方競馬・中津競馬場でデビューした女性騎手です。
90年代、アイドル的扱いを受ける一方で、重賞は3勝。
中津が突然の廃止を迎えた後は熊本県の荒尾競馬場に移籍して騎乗しましたが
ほどなくしてひっそりと引退していました。

しかし、引退から20年の時を経て、佐賀競馬の専門紙の予想家として競馬界に復帰。

そこには「九州の地方競馬で唯一生き残った佐賀には潰れてほしくない。競馬場の廃止なんて、もう見たくない」という思いがあったようです。

そんなタイミングで、今だからこそ話せる現役時代のことを聞きました。

ある程度想像はしていましたが、一般社会でも今よりもまだ女性の進出が未熟だった時代です。
取材をしてみると、中津には女子トイレがなくて男子トイレをこっそり使うなど
環境が整っていたとは決して言えない状況だったことが分かりました。

ただ、小田部さんはそれを憂うことなく、「嫌でした~」と話しながらも「仕方ないですよね」と、どこか懐かしんでもいました。
きっとそれは「女だから、という扱いを受けた記憶はない」と話すように
周囲の方々が「女性騎手」ではなく「一人の騎手」として接してくださったからではないのかな、という印象を受けました。

ポジティブな方なので、負の気持ちを見せないようにされていただけかもしれません。
仮にそうだとしても、「女だから、という扱いを受けた記憶はない」という事実は大きなことだと思います。

「男女平等」という言葉はとても難しく、女性を優遇することとは異なります。
個人的に思うのは、あくまでも機会を平等に与えるというもので
女性を過剰に擁護したり下駄を履かせるものではない、と。
もちろんこれは女性社会における男性に対してもそうです。

そんなことを色々と考えながら、もう一度インタビューを読み返したり、記事についたコメントを読んだりしていました。

いま、JRAでは今村聖奈騎手が新潟の年間リーディングに輝き
永島まなみ騎手は千直で内ラチ沿いを走って勝ってアッと言わせ
藤田菜七子騎手や古川奈穂騎手もそれぞれに活躍をしています。

過去の教訓を生かしながら、男女ともに平等に機会が得られる社会に向けて議論が進んで行けばいいなあと思います。