はい!現場の大恵です

機内で触れた人間ドラマ

今日から週明けまで高知競馬場でお仕事のため、飛行機に乗りました。

新型コロナウイルスの影響で航空各社が便数を減らしながらの運行。
そのためか、
あるいは昨日からGO TOキャンペーンが東京都も対象となったり地域クーポンが発行されるようになり
全国的に移動解禁ムードになっているためなのか
伊丹からのプロペラ機はほぼ満席。

窓側席に座って、乗ってくるお客さんたちをなんとなく眺めていると

「よろしくお願いします」

とお辞儀をしておばあさまが横に座ってこられました。

隣同士の席で、ご挨拶をされるなんてすごく久しぶり。
というか、ほぼ初めての出来事。

そういえば、亡くなった祖父母も似たようなことをしていたっけ・・・
とおぼろげな記憶を懐かしく辿っていました。

「ツアーでは飛行機に乗ったことがあるんですけど
1人は初めてで・・・」

と不慣れそうに離陸準備をするおばあさま。
荷物の収納などお手伝いをしながら

「ご旅行ですか?」

と聞くと

「いえ。息子が病気をしておりまして・・・。
本当ならもっと早く行きたかったんですが、コロナがあったので。
会いたい気持ち2割、残り8割はどんな姿になっているのか見るのが恐いという気持ちなんです」

とても小柄で、少し腰の曲がったおばあさまはそう答えました。

最愛の息子さんに会うことに不安を覚えるほど、病状が良くないのかもしれません。
ふと、座席下に収めた手提げカバンを見ると
大きなフェイスシールドが顔を覗かせていました。

時おり、目を潤ませながら
「いま私が死ぬわけにはいかないんです。
しばらく元気で生きていないと」
という言葉には私もこみ上げてくるものがありました。

再びコロナの感染拡大が心配ではありますが
こうして世の中が動き始めると、いろんな人間ドラマが見えてくるものですね。

高知空港に着陸し、レンタカーを走らせて向かった高知競馬・打越勇児厩舎では
きれいに身だしなみを整えた上品な女性がいらっしゃいました。

明日、高知競馬からデビューする井上瑛太騎手のおばあさまです。
元騎手のご主人とともに打越厩舎で厩務員をされていて
デビューを控えたお孫さんとの3ショットを撮影させてもらいました。

「明日はドキドキするので、自宅で見守ります」

とおばあさま。
デビュー2戦目となる高知4Rではおじいさまが馬を曳きます。

明日もまた、人を取り巻くドラマが見られそうです。