夢への第一歩

「一番」―渡辺薫彦騎手

 

 

私が一番最初に

「競馬に関わる仕事をしたい」

と心から思ったのは

渡辺騎手がナリタトップロードで菊花賞を勝った時でした。

 

 

弥生賞の頃から

ナリタトップロードと渡辺騎手が一番好きで

ものすごく応援していました。

 

皐月賞では健闘するも3着。

日本ダービーでは悔しすぎる2着。

 

その後、周囲からの厳しい言葉もあり

渡辺騎手は悩みに悩んで、

そして師匠の沖調教師と山路オーナーは広い心で渡辺騎手を菊花賞でも起用した、と

当時競馬雑誌で読みました。

 

 

そうして迎えた菊花賞。

 

見ている私も自然と力が入ります。

とにかく悔しいこと続きだった春。

なんとか!なんとかGIを獲ってほしい!!

テレビの前で正座をして、グーにした手を握りしめた3分間。

 

最後の直線。

満を持して、先頭に立ったナリタトップロードに

強敵テイエムオペラオーが猛然と追い込んできました。

 

「そのままっ!そのままーーっ!!」

テレビの前で叫び続けました。

 

一番のゼッケンをつけたナリタトップロードと渡辺騎手は

粘り抜き、一番でゴール。

 

その瞬間、とめどなく涙が溢れてきました。

 

検量室前では多くの騎手が渡辺騎手に祝福を送っているシーンが

テレビにも流れ、さらに胸が熱くなりました。

 

 

信じ抜いて、それが成し遂げられた時

こんなに素晴らしいものなのかと感じました。

 

 

中学生なりに将来のことを色々考えていた頃。

渡辺騎手の姿を見て

「好きな道、やりたいことを信じて貫いてみよう。」

そう思いました。

 

 

今の私の競馬人としての原点は、ここにあります。

 

渡辺騎手からすれば

一方的に言われて迷惑かもしれませんが

 

「ありがとうございます。」

 

本当にこの一言につきます。

たくさんの感動、思い出、楽しいこと悔しいこと。

一番教えてくれたのは、渡辺騎手とナリタトップロードでした。

 

 

渡辺騎手の引退は衝撃で、悲しかったです。

 

今後は調教師を目指されるとのこと。

新しい道でも、またこうして感動を与えてくれることと思います。