夢への第一歩

オースミイチバンと川島騎手

 

 

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競馬リポーター 大恵陽子が 「Oh Yeah!!」と感動したレースや馬にまつわるエピソードを

馬主へのインタビューやトレセンでの取材を通してお届けします。

毎月第1週目更新!

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第9回目はダートで活躍するオースミイチバンについて

母オースミハルカから手綱を取る川島騎手です。

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重賞4勝を挙げたオースミハルカの仔

オースミイチバン。

 

初勝利を挙げる直前、母の手綱もとっていた川島騎手は

「お前、お母さんの顔に泥塗るんじゃないぞ」

と優しく声をかけていました。

 

 

今年のゴールデンウィークには

地方園田競馬場で行われたダートグレード競走

兵庫チャンピオンシップを一番人気にこたえ勝利したオースミイチバンですが

初勝利を挙げるまでには5戦をようしました。

 

デビュー戦、2走目は芝でともに2桁着順。

必勝を期して地方笠松競馬の交流競走へ参戦しましたが

ここでも勝ち馬から4馬身ちかく離された5着と敗れます。

そして続くJRAのダート未勝利戦でも8着。

 

それまでは別の騎手が乗っていましたが

川島騎手へと手綱が変わり、挑んだ5戦目。

その返し馬で川島騎手がイチバンにかけた言葉が

「お前、お母さんの顔に泥塗るんじゃないぞ」

だったのです。

 

一見キツイ言葉にも思えるのですが

とねっこの頃から生産牧場の鮫川牧場で見ていた

イチバンのことを何より思ってのことでした。

 

すると、この言葉がきいたのか、これまでの惨敗が嘘のように

大差をつけての圧勝となりました。

 

「不思議なもんでね。別の馬になりました。」

と川島騎手もおっしゃいます。

 

遠く北海道にいるオースミハルカが

息子の背中を押してくれたのでしょうか。

 

 

そんなハルカも現役時代

ある馬に助けられていました。

 

それは、同厩舎にいたエストレーアという牡馬。

ある時期を境に調教に行こうとしなくなったハルカを

調教場へと連れて行ってくれたのです。

 

非常に大人しいエストレーアが一緒にいてくれたことで

「叩いたりするのではなく、人馬ともに楽しく調教へ行けました」

と川島騎手は振り返ります。

 

「エストレーアがいなかったら

ファインモーションに勝ったクイーンSも

その後の活躍もなかったかもしれない」

というくらい偉大な存在だったエストレーア自身も

JRA初の3連単1000万馬券の立役者になりました。

 

「ハルカについて厩舎みんなでどうすればいいかを考えて

取り組めたのが楽しかったし、

だからこそエストレーアの活躍も嬉しかったですね」

とおっしゃいます。

 

 

そして川島騎手ご自身もこんなことが。

 

 

 

 

2001年のデビュー時に所属していた安藤正敏厩舎は

天才と言われた岡潤一郎騎手がかつて所属していた厩舎。

兄弟子にあたる岡騎手の生涯勝利数は225。

その数字を抜く226勝目を川島騎手が挙げたのは

この夏の函館2歳ステークスでした。

オースミハルカ以来となる重賞制覇です。

 

「数年に1回は岡騎手の故郷・北海道様似へお墓参りに行っているんです。」

 

会ったこともない岡騎手を

川島騎手は兄弟子として敬い続けています。

そして胸元には解散した安藤正敏厩舎の厩舎服を縫いつけたジャンパーを着て

日々の調教に向かっています。

 

「いつまでも忘れないようにね。」

 

 

 

 

「エストレーアがハルカを、そしてハルカがイチバンの背中を押したように

岡騎手が僕の背中を押してくれたのかもしれませんね。

もっとも、岡騎手が約5年間で挙げた勝利数を

僕は倍以上の11年かかってしまいましたが。」

 

 

ちなみにこのジャンパーの背中はこうなっています。

 

 

 

 

昔キノコが好きで作ったのだとか。

「今でも逍遥馬道を歩いていて

キノコが生えていると思わず目がいっちゃいますね。

あ!タマゴテングダケだ♪とか。」

 

 

人や馬との縁、そしてキノコも?大切にする川島騎手。

イチバンが2歳で入厩し、初めて跨った時は

「体が弱くてね…」とのこと。

 

「今もまだ体は弱いですが

重賞を勝ってから馬が変わってきました。

1歳の頃、当時4歳の娘とイチバンの放牧場に入ったのですが

もちろん引き手とか何もつけられていない。

そんな状態で小さな子でも大丈夫なくらい大人しい馬だったんです。

ところが今では未勝利馬相手には立ち上がってはたきにいこうとします。

オープン馬相手にはしませんけどね。

人間みたいです。笑」

 

次走はまだ未定のようですが

オースミハルカの代表産駒として

川島騎手とのコンビでこれからも活躍されることを期待しています!