マコトナワラタナと岡崎調教助手
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競馬リポーター 大恵陽子が「Oh Yeah!!」と感動したレースや馬にまつわるエピソードを
馬主へのインタビューやトレセンでの取材を通してお届けします。
毎月第1週目更新!
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第6回目は今週末のセントウルステークスに挑む、驚異の末脚をもったあの馬です。
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鮫島厩舎には
「マコちゃん」と呼ばれている子がたくさんいます。
「マコト」の冠名で知られる尾田左知子様の馬が鮫島厩舎には多くいるのですが
みんな「呼びやすいから」と、各々が担当馬を「マコちゃん」と呼ぶようです。
そのうちの一頭がマコトナワラタナ。
担当の岡崎持ち乗り調教助手とは
まるで長年連れ添った夫婦のような空気感です。
馬房では非常に大人しくリラックスムードのマコちゃん。
夜は横になって両手両脚を放り出して寝ているようで
朝、岡崎助手がやって来ても寝たまま起きる気配なし、という時もあるようです。
そんな時はそのままそおっとしておいて
邪魔にならないように、牧草の補充などできる作業からちょこちょこやるのだそうです。
すると、いつの間にかマコちゃんも自分のタイミングでむくっと起きてきて
調教に向けて準備を始めるのだそうです。
また、マコちゃんがどこを撫でられると気持ちいいのか
よく分かっていて、岡崎助手がブラッシングを始めると
「あー、そこそこ!気持ちいいんだよなーっ」
そんな雰囲気になります。
この写真はマコちゃんともう一頭の担当馬イッセイダイヤですが
耳を横に向けてうっとり気持ちよさそうな顔をしています。
マコトナワラタナと言えば
3月に快勝した500万下のレース。
その時の末脚が強烈すぎて
「あんなすごい末脚を使う馬は、普段いったいどんな子なんだろう」
とずっと気になっていました。
すると、今まで見た馬の中で最も大人しく素直な子でした。
鮫島調教師も
「馬房では大人しくてね~かわいいんですよ」と目尻を下げます。
皮膚がやわらかくて薄い馬で
先生自ら「ほらね」と皮膚をつまんで見せてくれました。
たしかに首筋の皮膚をつまむと、薄いっ!
そしてやわらかい~。
「皮膚の薄い馬はよく走る」とはよく言いますが
皮膚が薄い=余分な皮下脂肪が少ないということなのでしょう。
しかし人が乗るとスイッチが入るようです。
これまでにも3回放馬歴あり。
カラスに驚いたり、急にくるっと回って人を落としたり。
デビュー前には馬場で放馬した後、自ら4周も走る積極性を見せたかと思いきや
別の時には、放馬して厩舎まで自分で走って帰ってきたこともあったとか。
ちょうど厩舎近くの道を歩いていた岡崎助手は
前から放馬した馬がやって来たので
「放馬やぞ~!」と
周囲へ注意を促すため叫んでいると、
「ん?どこかで見たことのある馬…って、自分の馬やんかっ!!」
とビックリしたそうです。
オンとオフがはっきりしている馬、なのかもしれません。
取材の終盤にはちょうど食事の時間となり、その様子を見ていると
豪華な食事!ニンジン、キャベツ、リンゴ、バナナ、そしてすりおろした大根が入っていました。
大根をすり金ですりおろす音が聞こえ始めると
馬房の奥にいたマコちゃんがピクっと反応して前へ出てきて必死に前掻きアピール!
そして岡崎助手と仲良くご飯。
そんな長年連れ添った夫婦のような1頭と1人。
今週末のセントウルステークスで、あの驚異の末脚を見せてくれるのでしょうか。