大恵 陽子 夢への第一歩


ラヴァズアゲインと取り巻く人たち

 

 

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競馬リポーター 大恵陽子が 「Oh Yeah!!」と感動したレースや馬にまつわるエピソードを

馬主へのインタビューやトレセンでの取材を通してお届けします。

毎月第1週目更新!

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第5回目は先月初勝利を挙げた2011年馬名募集馬ラヴァズアゲインと

彼女に関わる3人の人たちです。

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7月7日に初勝利を挙げた2011年馬名募集馬 ラヴァズアゲイン

 

 

 

 

2009年セレクトセール(当歳)で岡浩二様が落札されました。

 

まだ預託厩舎が決まっていない頃

岡オーナーは大久保龍志調教師にこんなことを聞かれました。

 

「大久保さん、この血統得意でしょ?」

 

 

それに対し大久保龍志調教師は

「はい。得意です!」 と。

そしてラヴァズアゲインの預託先が大久保龍志厩舎へと決定しました。

 

当時二人は、競馬場やセリ会場での面識はあったものの

預託馬はまだなかったのですが、

ラヴァズアゲインの兄弟のうち初年度スマイルビジョンを除く全頭を

大久保龍志調教師が管理されており

そのことをご存知だった岡オーナーからの言葉だったのです。

 

厩舎に会いに行ったラヴァズアゲインはとってもマイペース。

夏のため厩舎には冷却効果のあるミストが出ていたのですが

放牧先の大山ヒルズから戻ってきて2日目。

まだミストに慣れることができず、ずっと厩舎の奥で佇んでいました。

大久保龍志調教師がカイバ桶を叩いたり、口笛を吹いて呼んでもしらんぷり。

 

「なに?私そっちには行かないわよ」

 

という雰囲気すら感じる堂々ぶりに

憎めないかわいらしさを感じます。

 

 

 

 

 

生産・育成に携わったエクセルマネジメントの瀬瀬場長は

 

「牧場にいる時からこの馬は走ると思っていました。

ファルブラヴの仔はキツイ性格の馬が比較的多いんですが、

ラヴァズアゲインはおとなしかったですね。」

とおっしゃいます。

 

大久保龍志調教師も

「頭のいい馬で、おっとりしています。

なかなか今まで身がつかなくて、初勝利まで時間がかかってしまいましたが

今くらいの体をキープできていればいいかな。

秋にはメンタル面もどっしりしてくると思います。」

とのことです。

 

 

 

 

大久保龍志調教師は競馬一家のご出身。

厩舎脇にある調教師室に入るとすぐのところに木製の馬頭観音が祀られています。

これは祖父の代から引き継がれているもので

このブログでも何度かご紹介してる神戸・妙光院のそれを模したもの。

現在の妙光院の馬頭観音は2代目にあたるそうで、

その前の代の馬頭観音を大久保龍志調教師の祖父・故大久保亀治調教師が

青森の有名な彫師に依頼し造られたものなんだそうです。

ただ1点、妙光院のそれと違う点が。

それは馬頭観音の足元にウサギがいるのです。

というのも、故大久保亀治調教師の干支が卯だから。

この世でただひとつの馬頭観音は、

父であり三冠馬ナリタブライアンを輩出した名伯楽・大久保正陽元調教師を経て、

大久保龍志厩舎の馬の無事と健康を守ってくださっています。

 

岡オーナーは毎週の競馬で、ご自身の所有馬以外にも多くの馬について見てらっしゃいます。

例えば、セリで気にはなったけど馬体・価格面などから買わなかった馬について

その後の活躍をしっかりチェックし、次回のセリでの判断に活かしています。

 

ラヴァズアゲインの初勝利後には

「今の時期なら、まだ秋華賞に間に合うのでは?」

と期待を口にされていました。

 

今週8月5日(日)新潟7R ダート1800mに出走を予定しています。

初勝利を挙げた1400mからの距離延長となりますが

ここをこなせるようなら、芝を再び試すことも考えてらっしゃるようです。

 

というのも、3人が口を揃えておっしゃるのが

 

「芝向きの馬だと思っていた!」

ということ。

 

岡オーナーは

「決して肩幅があるわけではないのになぁ…」

瀬瀬場長は

「牧場時代から背中がやわらかくて

他のスタッフとも芝で走るだろうと言っていた」

大久保龍志調教師も

「何度か角馬場などでラヴァズアゲインに乗りましたが

乗った感じもやっぱり芝向きっぽいんだけどね」

とおっしゃいます。

 

それでも、ダートで勝っちゃうのですから競馬は奥が深いです。

 

日曜日、順調に2勝目→そして芝に戻して3勝目

となれば、秋華賞出走も夢ではなくなります。

 

 

左から 瀬瀬場長、岡オーナー、大久保龍志調教師