中山グランドジャンプ
メジロラフィキのこと、みなさん覚えてらっしゃいますか?
昨年の中山グランドジャンプ
最終障害飛越後に転倒し、そのまま息を引き取った子です。
東日本大震災の影響で7月開催となった昨年の中山グランドジャンプ。
アワパラゴンをきっかけに障害レースのファンになった私は
初めて生で見る大障害コースにドキドキワクワクしながら内馬場にいました。
日差しが強く、初夏らしいとっても暑い日でした。
大障害コースにある赤レンガを、落馬することなく全馬が無事飛越した時には
どこからともなく歓声と拍手が沸き起こり
いよいよレースは直線へ。
全馬が落馬することなく直線入り口の最終障害まで来たとき
先頭を走っていたメジロラフィキが、突然転倒しました。
着地するときに、力尽きてもう前脚に力が入らなかった…そんな風にも見えました。
そのまま頭から前のめりに転倒しジョッキーは投げ出され
メジロラフィキはピクリとも動きませんでした。
投げ出された五十嵐騎手は呆然とメジロラフィキの方を見ていました。
背中しか見えないものの、
その背中は落胆という言葉では表せないほどの雰囲気でした。
「しばらくするともしかしたらメジロラフィキは動いてくれるんじゃないか…
お願いだから、動いて!」
そんな淡い期待も時間が経つにつれて薄れていきます。
どれだけ待ってもメジロラフィキは微動だにしませんでした。
そして馬運車がやってきて、わたしたちに見えないように黒い幕が貼られ
係の方たちが集まってきていました。
このレースの数ヶ月前に発表されたメジロ牧場の解散。
この日メジロラフィキは馬主が変わったため勝負服はまったく違うものになっていたものの
スタート前までメジロの白と緑のツートーンカラーのメンコをつけていました。
やっぱりメジロの冠名の馬はあのツートーンカラーだよね!
そんなホッとした気持ちになったメンコでした。
なくなってしまったメジロの名前を背負って走るメジロラフィキ。
最後の最後まで、力尽きるまでがんばっていたんですね…
とにかく涙が止まりませんでした。
多くのファンがメジロラフィキを悲しそうに見つめる中
「馬は経済動物なんや!そんなことで泣くなんて馬鹿らしい!」
そう大声を張り上げる人もいました。
それはそれで一理あるのかもしれません。
一頭の馬を競走馬として養うには莫大な費用がかかります。
走って賞金を稼いでナンボの世界。
だけど、それだけではすませられない感情が私にはありました。
最後まで一生懸命走り抜いたメジロラフィキを、せめて最後まで見届けたい。
少しでも自分の心の中にメジロラフィキのことを刻んでおきたい。
ボロボロ泣きながら、馬運車をみつめていました。
気持ちが落ち着いて、ふと
「あ、スタンドに戻らなきゃ…前に進まなきゃ」
と少し我に返り歩いていると
場内モニターでは優勝した柴田大知騎手の勝利ジョッキーインタビューが流れていました。
勝てない年もあり、辛く苦しい時期を乗り越えてきた柴田騎手が
多くのファンから 「大ちゃんおめでとう〜!」 とあたたかく迎えられていました。
そしてついに堪えきれず、男泣きする柴田大知騎手。
メジロラフィキばかり見ていてだれが優勝したのか気付けなかったけど
マイネルネオスと柴田大知騎手が勝っていたこと、
そしてこの勝利の裏にある柴田大知騎手の、想像を超えるであろう困難や苦労に思いを馳せると
さっきようやく引いた涙がまたとめどなく流れてきました。
涙、涙だった昨年の中山グランドジャンプ。
今年は全馬の無事完走を祈っています。
そしてこのレース以降再ブレイク中の柴田大知騎手。
皐月賞でのコスモオオゾラ楽しみにしています!