荒尾競馬グランドフィナーレ
最終レース終了後、ウィナーズサークルにてグランド・フィナーレが行われました。
騎手から、お世話になった調教師に花束の贈呈や
前畑市長の挨拶などが行われた後
「ここでファンのみなさまにサプライズイベントがあります!」
というアナウンスが。
荒尾競馬所属の佐藤騎手の結婚式を今から執り行うというのです。
新婦のメグミさんが寒空の下、
ウエディングドレスに見立てた白い衣装に身を包んで登場。
そして神父役をされたのは熊本県調騎会 会長 平山調教師です。
左:新婦メグミさん 中:平山調教師 右:佐藤騎手
中津競馬でデビューするはずが廃止となり
益田競馬を経て荒尾競馬に移籍してきた佐藤騎手。
「騎手として再スタートしたこの地で
新婦メグミさんに出会え、大切な場所になりました」
とおっしゃっていました。
この結婚式にはご家族もいらしていて
メグミさんの叔母さまは
「福岡県に住んでるけど、競馬場は今日初めて来たの」
荒尾競馬が、ふたつの家族を結びました。
荒尾競馬ラストデー
12月23日 荒尾競馬の最後の日に行ってきました。
入場門を入る所からたくさんの人。
多くの関係者が、カレンダーを配ったりグッズを売ったり
最後の日を盛り上げていました。
オリジナルTシャツの販売を手伝う
厩舎関係者の娘さんとそのお友達
その中のひとつに優勝カップがずらっと並べているブースがありました。
そこには
「おひとり様お一つでお願いします」
という張り紙が。
え?!タダ??
一瞬その張り紙を前に、目を疑ってしまいました。
しかし本当に、調教師の奥様方が
今までレースに優勝してもらったトロフィーやカップを
無償でファンに提供していたのです。
その中でひときわ笑顔で輝いてらしたのが畑田調教師夫人。
「これ、本当に全部譲っちゃうんですか?
せっかくもらった勲章なのに・・・」
と驚き、残念そうにしている私に
「私たちが持っているより、
こうしてファンの方達に喜んで持っていただける方がいいから。」
とおっしゃるのです。
このブースを出すにあたって少なからず経費が発生しているはずです。
これらを販売して、そういった何かしらの費用に充てることもできたと思います。
しかし販売するのではなく、あくまでも無償提供。
募金箱も設置されていましたが、決して目立つ場所ではなく
奥の方にヒッソリと、あくまで善意を集めるという形で置いてありました。
この優勝カップをもらうために
毎朝というより、夜も明けない深夜の時間帯から調教を積み
馬に寄り添い生活をしてきました。
悔しいこと悲しいこと、もちろん嬉しいこともたくさんあったでしょう。
思い出がいっぱい詰まった厩舎が、競馬場が、今日をもってなくなってしまいます。
そんな中、数少ない思い出の詰まったカタチある物のひとつなのに・・・
そんな思いを馳せていると、自然と涙が滲んできました。
でも辛いのは、今日初めて荒尾競馬場に来た私なんかではなくて
間違いなく、畑田調教師夫人。
そう思い、ぐっと涙をこらえていると
畑田調教師夫人が
「いいのよ〜、うちにはトロフィーいっぱいあるから!」
と茶目っ気たっぷりにおっしゃるのです。
なんだか立場が逆転して、私の方が励ましてもらってしまいました。
ブースから立ち去る時
「スタンドは寒いから、風邪を引かないように気をつけてね!」
という言葉に、初めてお会いしたのに母親のようなあたたかさを感じました。
しばらくしてから
「もう少し畑田さんとお話したかったなぁ」
と思いながら先ほどのブースに戻ってみましたが
すでに賞品はすべてなくなり、
畑田調教師夫人のお姿も見えませんでした。
一期一会
一瞬一瞬の出会いを大切にしないといけないなぁ
と少し後悔しながらパドックに立っていると
トントン、と誰かが背中を叩きます。
はて。知り合い来てたっけ?
と振り返ると、そこには畑田調教師夫人が!
「あちこち探したのよ〜!
このハッピ、あなたにあげようと思って!」
ブースでのイベントの時に奥様方がお揃いで着てらしたハッピ。
それをわざわざ私に渡すために畑田調教師夫人も私のことを探してくださっていたのです。
ご主人の畑田調教師のことを聞くと
「うちのお父さん、今日の最終レースにも馬を出してるのよ。
荒尾では最も長く調教師をやってるうちの一人じゃないかしら。
ほら、この馬!」
と私の持っていた競馬新聞を嬉しそうに指差します。
その表情といったら本当に誇らしげで、
こちらまで嬉しくなっちゃうほどでした。
残念ながら最終日に畑田厩舎は勝利を収めることはできませんでしたが
畑田厩舎の馬たちの応援馬券は、私の宝物であり誇りです。
いよいよ最終レース後のグランドフィナーレのセレモニーも終わった後。
やはり畑田調教師夫人は笑顔で
「あなたも元気でね!」
とやさしいお母さんのように声をかけてくださいました。
「お父さんはこの後、牧場に行くの」
一度もお会いしたことのない畑田調教師。
でも今度は、その技術で牧場から競馬界を支え、盛り上げていただきたい、
そしてそのことが心強く思える、
そんな畑田調教師夫人との出会いでした。
兵庫ゴールドトロフィー
先週・今週のブログで紹介しましたオオエライジン
今日、園田競馬場で行われた
JRA交流重賞・兵庫ゴールドトロフィーに出走しました。
園田から1時間ほど離れたところにある私の地元。
普段は電車で競馬新聞を読んでいる人はほとんどいないのに
今日はまだ9時すぎにも関わらず園田の競馬専門誌を持った人や
スポーツ紙の園田面を読んでいる人がチラホラと。
車内で競馬専門誌を熟読しているおじいちゃんの隣で
私も自分の競馬新聞をジッと見ていました。
するとおじいちゃん、私のことが気になるみたいで
チラチラとこちらの様子をうかがってきます。
そりゃそうですよね。朝っぱらから女の子が園田競馬ですもの。
対する私も、朝から園田競馬の検討をしているおじいちゃんが気になってチラチラ。
どうやら相思相愛(?)だったようです。
電車を降りる頃にはお互い見えない絆で結ばれているような、
なんだか不思議な気分になりました。
もちろん園田競馬場もオオエライジン注目のムード。
「オオエライジンの単勝5000円買ったで!」
というファンや
「ライジンのためだけに来たのよ〜」というおばちゃま。
返し馬ではオオエライジンが駆け抜けていく瞬間、
ゴール前にずらっといるカメラを構えたファンが
一斉にオオエライジンを追ってシャッターを切っていました。
本馬場入場口はゴール板を少しすぎた1コーナー寄りにあるのですが、
そこからゴール手前のところまで2〜30mにわたって
ずらーっとカメラを構えたファンで埋め尽くされていました。
ある意味、圧巻の景色でした。
レースでは3着に破れ、連勝は10でストップしてしまいましたが
オオエライジンに湧いた一日。
ハンデ差があったとはいえ、スーニやセイクリムズン相手に
大健闘したレースでした。
知名度は徐々に全国区へ広がっています。
このまま躍進を続ければ
「大惠ライジン」なんて冗談、言えなくなる日がくるのかもしれません。
でもそれはそれで、嬉しいことかな。
このあいだ競馬初心者の知り合いに、来年のJRAカレンダー表紙の
オルフェーブルの写真をさしながら
「オオエライジンも、この仔によく似た馬なんだよ!」
と教えました。
来年はもしかしたら
オルフェーブルに変わって表紙がオオエライジンになってるかも?!
と、それはちょっと欲張りすぎですが
外見だけでなく強さもオルフェーブルに近づいてほしいですね。
大惠ライジン 〜最終回〜
よりつづきます。
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現在無敗の10連勝中のオオエライジン
次走は明日、兵庫ゴールドトロフィーです。
今回がJRA馬との初対戦となり
スーニ、セイクリムズン、ダイショウジェット、エーシンフォワードが参戦予定です。
また笠松からはラブミーチャンもやってきます。
これほど地元で強さを誇っているのに、ここまでJRA馬と対戦しなかったワケ。
それは決して連勝の数にこだわったからではなく
オオエライジンの成長に合わせてきた結果だそうです。
正直私も
「園田の中だけでなく、JRAや南関東のもっと強いところと対戦してほしい!」
と思っていました。
実際に周囲からも
「JRA馬と戦うべきでは」
との声があがっていたそうです。
でも我慢して我慢して、今までやってきました。
すべてはオオエライジンの成長のため。
いきなり強すぎる相手とやり、無理をして故障などにつながるより
成長度合いに合わせて少しずつレベルアップした方が良いと考え、
陣営も焦る気持ちを抑えてここまできたそうです。
オオエライジンの強さを一番理解しているだけに
すごくもどかしい気持ちがあったと思います。
園田競馬所属の馬は一周1051mのダートコースで調教をしています。
栗東のように坂路もウッドチップもプールもありません。
(向正面にウォータースライダーはあるけど、あれは人間用…ですよね?!)
3走前に大井・黒潮盃を勝ったときには、そういった調教施設のことも含め
「生え抜きの園田所属馬ですごい!」
と驚きの声もあったようです。
デビューから園田競馬に在籍している馬(サラブレッド)で、
南関東の重賞を勝ったのはオオエライジンが初めてでした。
オオエライジン・ファンとしては
明日の兵庫ゴールドトロフィーでJRA勢を一蹴するところが見たいです。
そして、どこまで強くなるのか、連勝がいくつまで伸びるのか
そこばかり注目してしまします。
しかしオオエライジンの担当であり、
調教師の右腕でもある橋本忠明調教師補佐は
「勝ってくれたら嬉しいけれど
それよりなにより、まず無事に走ってきてほしい。
まずはそれが第一ですね」
とおっしゃいます。
連勝にこだわるのではなく、オオエライジンの無事を祈って。
その馬房の扉には、新神戸の有名な馬頭観音・妙光院のお札がありました。
案外、連勝やタイトルにこだわるのは
関係者よりもファンなのかもしれません。
描いているヒーロー像に少しでも近づき、
さらには想像を超えるような強さを、伝説を見せてほしいと願うのでしょう。
でも、橋本調教師補佐にもオオエライジンで叶えたい夢がひとつあります。
それは
「第二のオグリキャップになること」
来年はJRAのレースにも参戦プランがあります。
今こそオオエライジンで、園田競馬を盛り上げたい!
という熱い想いがあります。
この想いは、園田競馬に関わる人、そして私のようなファンも抱いている想いでしょう。
名物のたこ天があります。
パドックでは地方競馬ならではの面白いヤジもとびます。
リーディング上位には木村騎手や田中騎手など豪腕ジョッキーがいますし
松平騎手や有馬騎手をはじめ渋くて素敵な騎手もたくさんいます。
ウィナーズサークルでは最後の一人まで、騎手がファンサービスをしてくれます。
松平騎手(オオエライジンには乗りませんが…)
そんなアットホームなのが園田競馬場です。
園田を盛り上げたい!そんなみんなの気持ちを背負って
オオエライジンが11連勝目をかけて走る
兵庫ゴールドトフィーは明日15:50発走です。
近畿圏内にお住まいの方、年末休暇に入られた方、
ぜひ園田の怪物を見に来てください!
とまぁ、ここまで熱く園田のことを語っちゃいましたが
ここ、京都馬主協会さんのHPなんですよね、すみません。
年末年始は中央競馬もお休みということで・・・許してください。
大惠ライジン 〜性格編〜
「大惠ライジン 〜初対面〜」よりつづきます。
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オオエライジンがなぜ人に噛み付くのか。
担当されている橋本調教師補佐はこうおっしゃいます。
「ライジンは、やさしいんです。
そして恐がりだから、相手にやられる前に
自分を強く見せるために、噛み付こうとしているのだと思います。」
たしかに、草食動物である馬は自分が敵にやられないように
恐いときは自分から噛み付いたりして相手を威嚇するという話を聞いたことがあります。
噛み付く競走馬に対して
「それはいけないことだから」
と怒る人を多く見てきました。
しつけのひとつでしょう。
しかし橋本調教師補佐はライジンの噛み付く行為に対して一切怒りません。
それどころか
「2歳時に入厩してきて以来、一度も怒ったことがない」
とおっしゃいます。
それは
「噛み付く行為はライジンのストレス発散のひとつ」
と考えているからだそうです。
「少しでもストレスの捌け口ができるように…
ライジンにはなるべくストレスをかけたくない。
噛み付いてきた時に僕が怒ったら、そこでライジンはまたストレスを感じてしまう。
それは避けたいから、やりたいようにさせているんです。」
オオエライジンのことを聞いた時に
「やさしい」
という単語がまず出ることに驚きました。
「強い」や「噛み付く」ではなく「やさしい」
それはきっとライジンがやさしいというよりも
橋本調教師補佐のやさしさがライジンにうつったのでしょう。
現在3歳のオオエライジンは昨年入厩して以来、
放牧には一度も出ずに、ずっと厩舎で面倒をみられています。
橋本忠男厩舎は兵庫県競馬で現在リーディング3位
オープンクラスのレースでは常連厩舎で
じつに32馬房を抱える名門厩舎です。
そんな名門厩舎の調教師の息子さんが手塩にかけて育てている
オオエライジン
いかに厩舎の期待が大きいか、窺い知れます。
大惠ライジン 〜初対面〜
「大惠ライジン 〜初対面へのプロローグ〜」より続きます。
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オオエライジンと初対面をはたしたのは
園田競馬の開催がお休みの日の午後でした。
オオエライジンの馬房に行き
「私もオオエだよ〜」
などと挨拶をしているとスリスリと鼻を寄せて来てくれました。
するとその様子を見た橋本調教師補佐がビックリした様子で
「ライジン、ちゃんとわかってるんやな〜!
なにか通じるものがあるんやろな」
とおっしゃるんです。
「はて??」
言葉の意味が分からずにいると、
「ライジンはすぐ噛み付くんですよ。
木村騎手が着ていた服もベリッと破いてしまったんです。
なのに大惠さんには全然噛み付かない!」
ということらしいのです。
すごいっ!
馬もちゃんと私が大惠ってわかってるんですねー。
もしかしたら親戚かもしれないって?!
などと感心しつつ、
橋本調教師補佐にライジンのお話を一通り伺って
「さぁ、Wオオエの記念撮影を♪」
と再び近寄ると・・・
あれっ?!
めっちゃ噛み付こうとしてくる。
え、なんやったん。さっきなついてきたのは!
ということで撮れた写真がこちら。
噛み付かれないように横に逃げての苦肉の策です。
でもなぜオオエライジンは人に噛み付こうとするのか。
そして担当の橋本調教師補佐はそんなオオエライジンにどう接してらっしゃるのか。
次回につづきます〜
大惠ライジン 〜初対面へのプロローグ〜
オオエライジン
園田競馬所属で、デビュー以来無敗の10連勝中です!
(以前「大惠ライジン」というタイトルでも少し書きました)
ブログで堂々とオオエライジンのことを書いていますが
名前も同じですが
実際はなにも関わり合いがありません。
ただのオオエライジンファンです。
ところが先日。
そのオオエライジンとご縁ができました!
このHP内「リレーコラム・馬時京風」の第2回を担当された
池山心さんのお店「おばんざい心」にお邪魔した時のこと。
隣の席にいらしたのが
オオエライジンの担当をされている橋本忠明調教師補佐だったのです。
※ちなみにお父様はオオエライジンを管理する橋本忠男調教師です。
少しご挨拶をしただけだったのですが、
その後、このブログも読んでくださったようで
「ぜひオオエライジンに会いに来てください!」
とあたたかいお言葉をいただき、
念願の初対面が叶いました。
人とのご縁って不思議なものですね。
そして良いご縁にめぐりあえたことに感謝です。
友道厩舎
「北海道の牧場に仔馬を見に行くのが楽しくって!」
そう笑顔で語られるのは
アンライバルドやアドマイヤジュピタを管理されていた友道調教師。
「厳しくしていると馬に伝わるので、
うちの厩舎はみんな楽しくやってます」
そうおっしゃる友道調教師ご自身も
やさしくて物腰のやわらかいお方でした。
そして先日
「少しでも勉強になれば」
とお忙しい中、調教師ご本人の案内で調教見学をさせていただきました。
坂路横の建物から見たトレセンの景色は圧巻!
そこからは坂路はもちろん、その奥にコースやスタンドまで見渡せるんです。
調教コースは一番外のEコースで一周およそ2200m
東京競馬場より大きいんです。
見学をさせていただいた日は、追い切り日ではなかったので
各馬速いタイムは出していませんでしたが
次々に坂路を駆け上がってくる姿は壮観でした。
ホントならここでその時の写真を載せたいんですが
感動しっぱなしで、すっかり写真を撮り忘れてしまいました・・・笑
その後、友道厩舎も見せていただきましたが
そこで思い出されるのが前述のこの言葉。
「厳しくしていると馬に伝わるので、
うちの厩舎はみんな楽しくやってます」
調教時間中ということもあり、
厩舎には半分ほどしか馬がいませんでしたが
どの馬も素直そうな雰囲気で、大人しいんです。
今までにいくつか他の厩舎を見学させていただいたことがありますが
何頭かはちょっとうるさい馬がいるものでした。
友道調教師曰く、
「調教が終わって、ご飯も食べたからみんな大人しいんだよ」
とのことでしたが、
馬から伝わってくる素直そうな雰囲気というのは
厩舎の雰囲気がそれだけ良いということなんだろうな〜
と感じました。