北新地競馬交友録

金襴緞子

『花嫁人形』

金襴緞子の帯しめながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ

文金島田に髪結いながら
花嫁御寮は なぜ泣くのだろ

あねさんごっこの花嫁人形は
赤い鹿の子の 着てる

泣けば鹿の子の たもとがきれる
涙で鹿の子の 赤い紅にじむ

泣くに泣かれぬ花嫁人形は
赤い鹿の子の 千代紙衣装

先日、どうしても窓口で処理しなくてはいけない要件があり、嫌々銀行に行ったが…………想像以上に待たされた。
関西イラチ協会チャンピオンとしては、気を紛らわすには可愛い女子行員でも見るしかない。
女子行員で思いだすのは、『三和銀行オンライン詐欺事件』の伊藤某である。

大阪府茨木市の三和銀行茨木支店に勤務していた伊藤某が、開店とほぼ同時に同支店のコンピュータ端末から、オンラインで三和銀行の吹田支店、豊中支店、新橋支店、虎ノ門支店の計4支店に開いた架空名義の口座へ、合計1億8000万円を架空入金。
その後、歯痛を理由に早退し、吹田、豊中の両支店で架空入金した金の一部を引き出した後に、伊丹空港から飛行機で東京へ向かい、新橋、虎ノ門の両支店でも現金を引き出した。
そして、羽田空港から台北、香港経由でフィリピンの首都マニラへのトンズラを決め込んだのだ。

そんな大それた犯行を行う動機は、JCメンバーで旅行代理店を経営する男との出会い。
これがとんでもないクズだったのである。
既婚者であったが、「いずれ離婚する」という言葉を信じ、30万円、50万円とさまざまな理由をつけ借金をせがみ続ける男に金を渡し続けるも、遂に12年間の蓄えが尽きてしまう。
まだまだ毟れると、クズ男にオンライン詐欺を持ちかけられ、当初は拒否するも、「2人でマニラに行って日本料理屋でも開いて暮らそう」と説得され決行。

当然、男はマニラに来るはずもなく、国際指名手配でマニラ入国管理局に身柄を拘束され、日本に移送され逮捕される事となる。
マニラでのインタビューに、「好きな人のためにやりました」
何とも不憫な事件だったのである。

「今年の『桜花賞』は3戦無敗、前走の『4歳牝馬特別』重馬場をものともせずぶっこ抜いた政人のブロケードでいいだろう。しかし良く降るよな〜泥んこで田んぼみてぇになっちゃって、そこいらの百◯が田植えでも始めんじゃねえか。お父さん!ブロケードの意味知ってるか?え!どうでもいいって?聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥て言葉知らねえの?おせぇ〜てやろう。嫁っ子に行く時の着物、金襴緞子に使われる織物の事ョ。どうでぇ〜艶やかな名前じゃねえか。」

「まあ、それは天井裏にでも置いといて、軸はブロケードで相手筆頭は洋行のタケノダイヤ、功のテンモン、冨士雄のカズエコーラス、秀夫のマーブルトウショウまで。枠で厚薄を付けて買や〜何とかなるだろう。今年は悔しいが関東馬が上位を独占すんじゃねえかと思う。関西の期待はハードトレーニング戸山厩舎のマーブルトウショウぐれえなもんで、後は一山ナンボだ。この馬場で22頭も走りゃ〜紛れはあんだろうが、前目に付けれるブロケードなら安心だぜ。」と、長講釈はマスターの昔からの悪い癖である。

「第4コーナーから直線!内中外!各馬大きく広がったがブロケード先頭!内からネーハイフォルティ!ヒロウイナーも粘っている!外からタケノダイヤ!テンモン!テンモン来た!ブロケードが逃げる!逃げる!金襴緞子が泥にまみれてゴールへ!ゴールへ!テンモン2番手!先頭はブロケード!強い!強い!金襴緞子が泥にまみれてゴールイン!」
1着 ブロケード 柴田政人
2着 テンモン 嶋田功
3着 マーブルトウショウ 小谷内秀夫
枠連 3ー3 1050円

雨の日のウインズは長居するところじゃないと、梅田ウインズ近くの居酒屋で、昼間からタコハイをグビりながら、関西テレビの中継を見ていたマスター。
杉本清の名調子に、「おう!これでいいんだ!これでョ。俺の大好きなゾロ目のまっちゃん3ー3で千円付きゃ〜万歳三唱だっちゅ〜の。チイとばかし配分を間違えた、こんな事なら平に買ってりゃ大儲けだったぜ!」と、毎度お馴染みタラレバ発言もご愛嬌であった。

伊藤某は、金襴緞子が着たいが故に、日本全国を驚かすような犯罪に手を染め泥にまみれたが、ブロケードは泥にまみれながらも、見事に優勝の栄冠に浴した。
1981年、もう38年も前の話しである。