北新地競馬交友録

メイセイオペラと地方振興券

この秋、消費税10%にアップした時の景気冷え込み対策・低所得者対策としてプレミアム商品券の配布が検討されている。
この手の商品券で一番古い記憶にあるのは『地域振興券』
財源は国が負担し日本全国の市区町村が発行。
一定の条件を満たした国民に額面1,000円の地域振興券を1人20枚ずつの1人2万円分、総額6,194億円を贈与という形で交付した。

お題目は、子育てを支援し、老齢福祉年金等の受給者や所得の低い高齢者の経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起と地域経済の活性化、地域の振興を図ること。
これが全く持っての役立たず。
交付された世帯では地域振興券を優先的に使用する一方で、そのことによって使用せずに済んだ現金を貯蓄に回したため、消費の押し上げ効果は発行額のわずか10%程度にとどまり、波及効果をほとんどもたらさなかった。

今回のプレミアム商品券も、額面以上の金額で買い物が出来るなら、ホイホイ喜ぶだろう。
国民を馬鹿にした愚策である。
史上最長の好景気と云いながら、何故消費が伸びないか?
その理由は明確なのに、その部分にはほっかむりをして、小手先のばら撒きで対策をやってます!のドヤ顔。
『地域振興券』発行当時の内閣官房長官の故野中広務が、「(以前から某党が主張していた地域振興券は)天下の愚策かも知れないが、7000億円の国会対策費だと思って我慢して欲しい」と、いみじくも後日語ったそうな。

「今回の『フェブラリーS』は面白れぇぞ〜。白い重戦車、善臣大先生のワシントンカラーに、水沢の雄、勲のメイセイオペラが挑戦状を叩きつけて来た。去年の暮れの『東京大賞典』では、アブクマポーロにこそ遅れを取ったが、豊のエムアイブラウンには5番身差を付けてオソボにしやがった。あの長くいい脚を使える走りは半端ねえ。厩舎関係者の気合も凄ぇ!去年川崎に遠征した際、現地の水を飲まず難儀したと、今回は水沢から水を持参してるんだとか。え?オースミジェットが怖いんじゃないかってか?いらねえ!まるでいらねえョ。屋根は誰ない?え〜?あんなの来る訳がねえだろう。
メイセイオペラとワシントンカラーの一騎打ちだ。俺ぁ〜ワシントンカラーも好きだが、落ちこぼれのコンプレックス山盛り人間だから、メイセイオペラを激しく支持する。中央でエバってる奴らをまとめて叩きのめしてくれるはずだ。単勝に一ズグで男の勝負!」聞かれてもいないのに長講釈はマスターの昔からの悪い癖である。

「4コーナーから直線!先頭はキョウエイマーチ!リードは1馬身!そしてメイショウモトナリ!内からマコトライデン!400を通過!間からワシントンカラー!外からメイセイオペラ!」
「おっしゃ!勲!行け!押せ!勲!いてこませ!」梅田ウインズで激しくシャウトするマスター。
「オースミジェットが大外から突っ込んで来る!その内!エムアイブラウンとタイキシャーロック!200を通過!馬場の三分どころメイセイオペラが抜けて来る!水沢のメイセイオペラ先頭!メイセイオペラ先頭!懸命にキョウエイマーチ粘っている!エムアイブラウン!タイキシャーロック!ワシントンカラーは伸びない!先頭はメイセイオペラ!ゴールイン!水沢の雄メイセイオペラやりました!見事!フェブラリーS!中央のG1を制覇しました」

1着 メイセイオペラ 菅原勲J
2着 エムアイブラウン 武豊J
3着タイキシャーロック 横山典弘J
単勝 470円
「お父さん!俺ぁ痺れた。こったら凄いレースをするメイセイオペラも強ぇが、あの勲の中央何するものぞの魂の騎乗はどうでぇ。漢の中の漢じゃねえか。イサオ!イサオ!イサオ!」
周りの小馬鹿にしたような視線が突き刺さるのもまるで気にせず、イサオ!コールをモニターに向かって繰り返すマスター。
因みに、現在に至るまでJRAのGIを制した地方所属馬はメイセイオペラただ1頭しかいないのだから、とんでもない偉業だったのである。

『地域振興券』には少しも地方の人間は喜ばなかったが、地方の人間に喝采の叫ばせたメイセイオペラと菅原勲。
1999年、もう20年も前の話しだ。