北新地競馬交友録

明日があるさ

明日があるさ by ウルフルズ

明日があるさ 明日がある
若い僕には夢がある
いつかきっと いつかきっと
わかってくれるだろう
明日がある 明日がある 明日があるさ※

会社をおこした奴がいる
会社に残ったオレがいる
あせることないさ あせることないさ
自分に言いきかす
明日がある 明日がある 明日があるさ

新しい上司はフランス人
ボディーランゲージも通用しない
これはチャンス これはチャンス
勉強しなおそう
明日がある 明日がある 明日があるさ

「来たな」とマスターが小さく呟いたのは、日曜日の京都メイン『日経新春杯』が終わった直後。
「え?マスターの買ったグローリーヴェイズは1着になりましたが、ワイドの相手川田Jのムイトオブリガードは6着ぐらいじゃないですか?」は熊本天草出身○原さん。
「そったら事は立派なお目々が付いてんだ判ってら。違うョ、バズレの波がついにお出ましって事だ。賭け事は照る日、曇る日、大概土砂降りって云うだろう。一旦負けの波が押し寄せると、生半可な事じゃ〜押し戻せねえ。年末からチョイといい波が来ての5連勝だったが、ここいらで流れが変わったって事だ。まあいいや、松○でも行こうぜ」と、神戸元町で一等安いと評判の居酒屋に向かう、マスターとまあまあ愉快な仲間たち。

「何だ?暇だなお兄ちゃん。何時も馬券愛好家のホンビーどもが大挙押し寄せて、無茶苦茶流行ってんのに」
「ダメですよ〜、年明けから荒れまくり。まともに買ってたら当たる訳ないっしょ。しかも明日も競馬。皆んな真っ直ぐ帰るんじゃないですか」と、顔なじみの店員のトーンもドカ下がりである。
「マスター、今日のムイトオブリガードもプラス10キロ、昨日のイーグルバローズもプラス10キロ。太め残りだったんじゃないですか?」は一部上場会社勤務で楽なK君。
「そうかも知んねえな。冬場の調整は難しい。しかも正月の変則開催だからョ。まさか馬が餅食ってる訳でもねえだろうが。俺ぁ〜3日間開催に悪態付いてたが、この2連敗の状況からしたら有り難い。もっとも1週間で10万以上買えねえから、残り予算は3万だけどな」

「明日はいいレースありますか?」と帰りのコンビニで買った競馬ブックに目を落とすK君にアッチチ!アッチチ!ひろみ郷の熱燗を飲みながらマスターもざっと目を通すものの………「難しいな〜」
「10R『紅梅賞』のプールヴィルは、『阪神ジュベナイルF』でダノンファンタジーと差のない5着。これでしょう」
「単勝の予想オッズが2.4。これじゃ〜3万張っても追いつかねえ。『京成杯』はドングリころころで何が勝つか判らねえからケンだし。京都メインの淀短でいてこますか。学のアンヴァルから枠連、2ー4を4千。3.6.7.8に各1千5百、してから3連複」
「え!マスター、3連系は2階から目薬をさすようなもんで上手く行く訳がないと何時も云ってるじゃないですか」

「まともなら俺も死んでも買わねえョ。バットこの変則開催で来るはずかねえ馬が普通に頭に来てるじゃねえか。一発まぐれ頼りで張り付けでみる。学が飛びゃ〜いい配当にならあね。内から豊のビップライブリー、将雅のダイメイフジ、学のアンヴァル、弘平のグランドボヌール、康成のナインテイルズ、竜二のエントリーチケットの6頭ボックス20点1千でどうだ」と結論付けた。
「マスターさん、明日は何時ぐらいに来ますか?」
「来ねえョ。夕方からうちの顧問弁護士T先生と、その友達のこれまた弁護士M先生、してから商社マンのY君と麻雀すっからョ」とつれない返事。

「マスターさん、麻雀強そうですね」
「うんにゃ、無茶苦茶弱ぇ、第一点数計算もまともに出来ねんだもん。多面待ちになるとてんで判らねえし。この前も親でチョンボしてよ〜。したら弁護士の2人が間髪入れず『チョンボ!』の合唱だぜ。さすがに人のアラを探すのは上手えョ」
明日がある、明日があるで僅か3万円でまぐれ当たりを期待するマスター。
本当にこの親父に明日はあるんだろうか?_φ(・_・